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てんごくとじごくの違い

みなさんはどう思っていますか?
天国に行きたいなぁ~、それとも、地獄には行きたくないなぁって感じでしょうか。

実は何を隠そう、現在、いやずっとずっとずっと昔から、天国と地獄は同じ場所。
同じ空気で、同じ空で、同じ風が吹いている。
ただ一点だけ違いが、それはそこに住んでいる人間―

ここはあの世にある、天国と地獄に住む人間が眠るところ。
「住人たちの寝床」と呼ばれている。
お互いを隔てているのは間にある薄い壁一枚だが、お互いを行き来することはできない。向こうからこっちは見えないし、こっちから向こうも見えない。
天国と地獄にある「住人のたち寝床」の最大の特徴、それは共に枕がないこと。


「ZZZ・・・、ZZZ・・・。」
ここは天国。気持ち良さそうに眠る天国の住人。スヤスヤと穏やかな表情を浮かべている。
寝ている住人の頭は、横で寝ている同じ天国の住人の太もも辺りに乗っかっている。その寝ている住人の頭は、その横で寝ている住人のお腹当たりに乗っかっている。
このように寝ている相手の頭を支えながら寝ている人が何人も連なり、お互いが支え合って、気持ち良さそうに眠っている。
天国に枕はないが、同じ住人同士が支えてあって暮らしているから、平穏で平和な毎日が続いている。


「ゴォォォォ~~、ゴォォォォ~~」
ここは地獄。広大なスペースの真ん中で、大きないびきをかいて眠っている男がいる。
「地獄の主」と地獄で暮らす極悪人たちから呼ばれている、手が早くて、口の悪い超極悪人だ。

地獄の主以外の住人たちは、まったく眠れていないので、目の下にクマを作り、足元もおぼつかない様子でフラフラ~、フラフラ~っと、行き場もなくウロウロしている。
地獄は、寝る場所を確保するために諍(いさか)いが絶えず、寝ていると荷物を盗られたりと、ゆっくり眠ることができないのだ。そして何より枕がないから寝心地が悪い。


天国の住人は寝る時間になったら一斉に寝て、起きる時間になったらみんなで起き、共に生活している。自分さえ良ければいい、という考えを持った人間は天国にはいない。
天国にも当然いびきをかく住人もいるが、頭を支える住人が少し角度を調整してあげると、いびきはスゥ~と収まっていく。
お互いがコミュニケーションを取りながら、相手を尊重して生活しているので、争いごとはまったく起こらない。


地獄の住人同士はいつもいがみ合っている。寝てないから気が立っていてすぐに争いが起きるし、争いがすぐに起きるからぐっすり眠れない。コミュニケーションを取って、相手を尊重して生活すればいいのに、と思うがそれは容易いことではない。
自分さえ良ければ、そんな人間しか地獄にはいない。


最近、こっちの世界にやってくる人間は、地獄に行く人間が増えている。
閻魔様も頭を抱えていた。


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