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【作家の本棚】柳美里の「本棚」はあまりに奥深かった?

ある本を買って読んで、
「え?ウソ?ほんまに?」と先日
ビックリしたことがありました。
 
作家・柳美里の読書エッセイ集
『窓のある書店から』(ハルキ文庫)が
今月、出たんです。

去年、全米図書賞を得た
ベテラン作家、柳美里。
彼女は少女時代から在日だからと
差別を受け続け、
常に反権力的なスタンスで
10代から劇団や小説で活躍してました。
多分、私と同年代です。

何より彼女に注目してしまうのは、
大学時代の彼女が、柳美里と
全く同じ在日の女子で、
よく子供時代の差別を涙ながらに
話してくれたからです。

ありのままのノンフィクションを
続けて発表する彼女は、
余りに過激でした。
生き辛さをこぼす現代とは違って
柳美里はいつも戦っていました。

サイン会をしようとしたら、
在日に反発的な右翼団体から
「サイン会を中止せよ、
さもなくば爆弾を仕掛けるぞ」
といった恐喝が出版社に。
柳美里も大人しく黙っては
いませんでしたが、
最終的にはギリギリで
サイン会は中止に。

そんなセンセーショナルな
ニュースに20代はよく接したので、
彼女の中に成熟した一面が
あるとは想定してなかったんです。

そんな反骨な在日の柳美里が
実は、司馬遼太郎の愛読家で
ほとんど読んでいるそうです。
ビックリしました。

司馬遼太郎は
『坂の上の雲』では
日本の朝鮮侵出を
いたしかたない動きとも
描いている保守派作家です。

反骨の柳美里が司馬さんを?
しかし、その司馬さんの
ライフワーク『街道をゆく』の
「韓のくに紀行」を読み込むくだりで
彼女の司馬遼太郎愛は誠に深いなあと
痛感させられました。

柳美里→在日→左翼→反保守→
司馬遼太郎など読むはずがない?
という私の浅はかな思いは、
ふっ飛ばされました。

さあ、そんな柳美里が
その読書エッセイで
取り上げてる本はどんな
ものたちであるでしょうか?
以下にタイトルを列記してみます。

名作『ゴールドラッシュ』や
『JR上野駅公園口』などを生んだ
柳美里の「本棚」をご覧ください。

『エレンディラ』ガルシア・マルケス
『夜の樹』トルーマン・カポーティ
『夏の夜の夢』シェイクスピア

『十六歳の日記』川端康成
『小津安二郎日記』都筑政昭
『イーディスの日記』
パトリシア・ハイスミス
『父の遺産』フィリップ・ロス
『象が空を』沢木耕太郎
『声』ジャン・コクトー

『書く行為』大江健三郎
『ある作家の日記』
ヴァージニア・ウルフ
『文鳥・夢十夜』夏目漱石
『夢について』吉本ばなな
『ボルヘス怪奇譚集』

『ビリー・ワイルダー・イン・ハリウッド』モーリス・ゾロトウ 
『黒猫』エドガー・アラン・ポー
『おとうと』幸田文
『ガラスの動物園』
テネシー・ウィリアムズ

『花神』司馬遼太郎
『街道をゆく』司馬遼太郎
『深川安楽亭』山本周五郎
『本所しぐれ町物語』藤沢周平

『青い麦』コレット
『けむり』ツルゲーネ
『デミアン』へルマン・ヘッセ

『青少年のための自殺学入門』
寺山修司
『春琴抄』谷崎潤一郎
『秋』芥川龍之介
『狂人日記』色川武大
『マイ・バック・ページ』川本三郎
『愛でもない青春でもない旅立たない』
前田司郎

この『窓のある書店から』には
まだまだたくさんの作家や作品が
取り上げられています。
上に紹介したのはその一部です。

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