【山人】平地人よ、奥深き山々を想って戦慄せよ!
山の麓にいる感覚が好き。
山の真下は土砂崩れが危なく怖いけど、
山から数十キロはなれて、
時々、空の向こうに
山々の峰が見られると
心がなぜか安堵するというか
昔から心が落ち着きました。
関東平野は広い。
正直、あまりに広い。広すぎる。
東京にいて、都心で働き、
都内に暮らしていると、
山や海の存在を忘れ暮らしてます。
ところが、八王子や立川に行くと、
ちょっと高い建物からは
向こうに、山梨や長野?の山々が
広がってるじゃないですか?
ああ、山がこんなにもあった?!
と、なぜだか安心します。
都心では人間ばかり溢れ、
人間ばかりとやり取りしてる。
どこかで不遜な心になる…。
虚心を忘れてしまいがちに…。
でも立川や八王子に行くと、
ああ、関東にも山があったんだ?!
人間より遥かに大きくて高い
存在があったんだあ?
そう「発見」するだけで、
虚心坦懐な気持ちになれるんです。
都心でずっといるのは
危ない気がします。
じゃあ、タワーマンションの
最下階にいればいいでしょうか。
下からタワマンの上の階を
見上げれば、
虚心坦懐になるでしょうか。
いや、タワマンは
ちっとも人間を虚心には
してくれないですね。
虚栄心や欲望ばかり出ますね。
なぜでしょうか?(笑)
それはさておき、
人間の暮らす街の周りには、
山がぎっしりあるんです、本来!
この事は忘れてはいけない気がします。
高くて大きな存在が人間を
いつも見下ろしているんです。
私たちはいつも
見下ろされているんです。
ゆめゆめ、忘れまいと思います。
そう思うだけで、
自分がちっぽけに思われ、
また、そのちっぽけさが
愛しくも感じられます。
広い平野は人を驕らせ、
山の峰は驕った人の心を
元の小ささに戻してくれます。
柳田国男『遠野物語』序文より、
こんな一文を見つけました。
『国内の山村にして
遠野よりさらに物深き所にはまた
無数の山神山人の伝説あるべし。
願わくはこれを語りて
平地人を戦慄せしめよ」
平地の人間は戦慄せよ?
私も賛成です。