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『サンキューコール』は次の寄付に繋がるのか?~最新の研究から見えたこと

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

例えば、ある非営利組織に寄付をしたとします。すろと、数日後に携帯電話が鳴って、寄付先のスタッフの方からお礼を言われることがあります。このような寄付後に電話でお礼を伝えることを『サンキューコール』と言っています。日本でも一部のNGOが行っており、アメリカではファンドレイジングの常套手段でもあります。

『サンキューコール』の費用対効果

この『サンキューコール』について、2019年に発表されたある論文が話題になっています(※1)。論文では、2011年から2016年までに初めて寄付した50万人以上の寄付者に関する情報をもとに、ランダムに抽出してサンキューコールを行う層(A層)と行わない層(B層)に分けて、2回目の寄付に影響を及ぼしたのかを調査しました。

その結果、AとB層とで違いが全くなかったそうです。また、寄付の金額による違いも見られなかったそうです。
調査期間としては、サンキューコールを行ってから最大5年間観察した模様です。

『サンキューコール』の目的は何か

『サンキューコール』は、海外では外部委託することも多く、費用は1寄付者あたり平均1$と言われています。日本でも、外部委託まではいかなくとも、内製化している場合などその工数は発生します。費用対効果を金額だけで考えた場合には、この論文は一つの視座を提供してくれたように思えます。
一方で、寄付者の満足度は、当然にも金額だけが指標ではありません。何のために『サンキューコール』を行うのか、その目的を丁寧に考える必要がありそうです。

※1 参考
『Do Thank-You Calls Increase Charitable Giving? Expert Forecasts and Field Experimental Evidence』
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3371327

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