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ファンドレイジングを伸ばすホップ・ステップ・ジャンプ

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

今回は、長年地域に質の良いプログラムを貢献してきた中堅の非営利組織が、ファンドレイジングを開始したことで大きく飛躍した事例と、そのポイントを紹介しようと思います。

事例概要
『バージニア州バーリントンのコミュニティセーリングセンター』

・ヨットなどの水上スポーツを通じて、地元の子どもなど多くの人々への教育の機会を提供している
・年間予算60万ドル
・建物などの施設やヨットなどの設備の維持費に予算の大半がさかれ、さらにプログラム費を除くと、新規投資に必要な資金がない一方で、施設の老朽化が喫緊の課題

1.〈ホップ〉種火をもとにしたファンドレイジング

センターは、施設の修復費の一部にあてるために、補助金の申請を行いました。その際に、昔からセンターを応援している支援者の1人がこの事実を知り、25万ドルを寄付しました。彼は、施設改修に向けた計画に使われることを望んでいました。

センターは25万ドル(の一部)を活用して、さらなる資金を得るためのファンドレイジング・キャンペーンを開始しました。

最初に、理事の1人に、有給ファンドレイザーとして関わってもらうことをお願いしました。また、普段はヨットなどのインストラクターをしているスタッフなどを集めて、ファンドレイジングの勉強会を開催して、少ないリソースのために組織一丸となって活動できるようにしていきました。

ここまでのポイント
種火となるお金(この事例では25万ドルの一部ですが、組織基盤強化に利用できる助成金や補助金なども活用できる)をもとに、ファンドレイジング活動を決断したことが、大きな転機となっています。

また、組織のことを理解している理事をファンドレイジング担当に据えることでスピーディなスタートを切れ、足りないリソースは勉強会を通じて組織一丸となることでカバーしました。

2.〈ステップ〉熱意を持ったファンドレイジング

センターは、キャンペーンを始めて間もなく、地元の不動産会社が100万ドルのプレッジ(寄付の約束)を取り付けました。

さらに、定期的に開催していたファンドレイジングを目的としたランチ会で、参加者の1人が、地域で著名なセーリングを愛した故人を称えるための寄付キャンペーンを、個人で展開してくれることを約束しました(※米国では、このような支援者が中心となって行うファンドレイジング『ピアツーピア』が多い)。彼は、センターのバックアップのもと、友人と家族で80万ドルを集めました。

この二つの成功体験により、センターのスタッフ皆のモチベーションと結束が大きく高まりました。そして、これまでに関わりがあった方を中心に、年間数十万ドルの寄付を集めることができました。

ここまでのポイント
地元の方やセーリングファンからの寄付や協力は、これまでにプログラムを通じて地域やセーリングファンに貢献したきた質の高い活動が、ファンドレイジングに活きてきました。また、中心的に活動していたスタッフは、本業とは異なるファンドレイジングについてはノウハウがない一方で、高い熱意を持って行うことで、これまでに関わりのある人を巻き込むことに繋がりました。

3.〈ジャンプ〉ノウハウを活かしたファンドレイジング

翌年には、外部から専任のファンドレイザーを雇い、そのノウハウを組織内に展開するとともに、ドナーデータベースなどのファンドレイジング基盤の強化をはかりました。

その結果、年間100万ドル以上で、寄付者の半分は新規の寄付者から集めることができ、その後の3年間では寄付は520万ドルにまで登りました。

ファンドレイジング・キャンペーンを中心的に推し進めた担当者は「キャンペーンを通じて、お金が集まっただけではなく、組織にファンドレイジングの文化を浸透させ、支援者との関係を大切にする意識が高まりました」と述べていました。

ここまでのポイント
ノウハウを持ったファンドレイザーが入ることで、新規の獲得ができ、さらに全般的なファンドレイジング活動もより効率的・効果的になりました。

最後に
この事例では、
・ホップ(種火となる資金をもとのファンドレイジングを開始)

・ステップ(手元にあるリソースを使って既存の関係者へのファンドレイジング)

・ジャンプ(外部からのノウハウを活用した効率・効果のアップ)
という形が見て取れます。
また、忘れてはいけないのは、普段の質の良い活動があって、ファンドレイジングはより活きる、と言えるのではないでしょうか。

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

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