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最新のファンドレイジング事情~ユニセフUSAの事例

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

今回は、ユニセフUSAの最近の取り組みについて、紹介しようと思います。

ユニセフUSA
・ユニセフの米国ブランチ
・2018年の金銭的支援ランキング(米国)で、4億4,600万ドル(前年より23%増)を集めて36位にランクイン

1.遺贈寄付

前年比増の要因として、ある1人の支援者から1,000万ドル以上の金銭寄付があったそうです。その人は、少額ながらも長年寄付し続けた、関与の高い人でした。こうした関与の高い人をつなぎ留めることができるのが、ユニセフUSAの強みとも言えそうです。

ユニセフUSAには、全国に9つの地域事務所があり、それぞれに3-4人のファンドレイザーいます。各ファンドレイザーは、平均して年間約200万ドルを集めるようです。また、地域事務所ごとに理事会が組織され、合計して約190人の地域理事会メンバーが、そのネットワークを積極的に活用してファンドレイジング等に貢献しています。

このような組織的な厚みもさることながら、金額面だけで支援者対応を絞るだけではなく(おそらくメジャーギフト対応は別途やっていると思います)、多くの支援者との繋がりを意識した活動も行っています。この支援者との距離感の近さが、遺贈寄付に繋がってもきているようです。

ユニセフUSAの遺贈寄付
2017年 1,060万ドル
2018年 1,460万ドル

2.デジタル活用

支援者へのアプローチ方法として、ユニセフUSAでは未だにダイレクトメールの効果も継続して出ている一方で、最も急速な成長はデジタルチャネルのようです。特に電子メール(アメリカでは携帯のショートメールによるアプローチが近年盛んになっている)。

2018年8月に、ハリケーンがバハマを襲ったときのことです。ユニセフUSAは、アメリカ人がこの災害に強く関心を抱いていることを即座に把握し、更新してきたデータベースを基にして、その地域に特別な関心を持つ人々にすぐにメールを送りました。その結果、1週間も経たないうちに、メールだけで約60万ドルを集めました。

3.マスコミュニケーションの進化(ただし、挑戦途中)

この夏、ユニセフUSAは、「Addressable TV」というサービスのテストを開始しました。これは、Hulu、Spectrum、およびその他のストリーミングサービスのユーザーを郵便番号でセグメント分けして、広告配信が可能となるサービスのようです。

このサービスが、従来のテレビ広告と比較して、支援する可能性が高い人々に対して、より効率的にリーチする可能性がある考えているようです。


参考:『The Chronicle of Philanthropy 2019年11月号』

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

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