アート&メディア・フォーラム「ポスト・オープンデータ時代のカルチュラル・レジスタンス」

気合を入れて進めていた企画の告知が出ました!

アート&メディア・フォーラム(Social Practice in Art/Media)
「ポスト・オープンデータ時代のカルチュラル・レジスタンス」
主催:アーツカウンシル東京
出演:Forensic Architecture/ g0v/ 長谷川愛/ 川崎和也/ 砂山太一/ 山峰潤也
企画:山峰潤也
日付:12月15日
会場:東京都写真美術館1Fホール
詳しくはこちら↓
https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/what-we-do/network/arts-council-forum/39792/

*経緯&etc
今日的なテクノロジーを使ったアート、デザイン、建築などの観点から、実社会にアプローチしていくような取り組みや、社会彫刻とメディアアートといった観点からシンポジウムを検討してもらえないだろうか、というオファーを受けて、進めて来た企画です。
僕としては、情報環境やメディア、映像といったことをテーマにやって来ましたが、根底には演出表現としてのメディアアートではなく、個人が扱えるメディアを通して社会にアンチーテーゼを問う、という方が自分の本流で、これまでもそのスタンスを共有しうる作家との仕事を中心にやって来たつもりです。
ですが、美術館という一つの箱の中で表現しうることと、社会に対して実行力を浸透させていくことは大きな隔たりがあることに常に直面していましたので、今回はアートとして、という側面よりもより実社会的な活動に取り組んでる方々を呼びました。
一つは、イギリスを拠点に活動しているForensic Architectureというコレクティブで、建築や情報、都市の観点から調査を重ねて、紛争地域における暴力や抑圧を暴いていく活動をしています。有名なプロジェクトに、SNS上の画像を解析し、非市街地に投下したと発表されたミサイルが、実際は病院に着弾していることを突き止めたプロジェクトがあり、これは恵比寿映像祭で紹介された作品です。
もう一つのコレクティブは、g0vという台湾のシビックテックのグループです。彼らは、台湾の政権交代前より活動を始め、政府予算を視覚的にわかりやすく表現してより多くの人に伝わるようにしたり、選挙情報をより噛み砕いて解説するためのワーキンググループなど、ハッカソン形式でさまざまな活動を行って来たグループで、ひまわり革命運動の際に広く知られるようになりました。この中心的な役割を果たした一人に台湾のデジタル担当政務委員(日本でいう大臣)を務めるオードリー・タンという、日本でも最近知られるようになった人物がいます。今回は、Bess Lee氏が登壇してくれます。
海外からこれらの実践者を呼び、長谷川愛さんや川崎和也さん、砂山太一さんとともに進めていきます。今回はシンポジウムというあくまでも閉じた空間での話ですが、僕としては、理想やモデルを言い合うのではなく、思考実験というモックアップを超えて実践で勝負して来た彼らから学んで、このシンポジウムの先に、実践を起こしていくことに向かいたいという気持ちがあります。
こうした考えの背景には、あいちの問題で露見したような、あるいは、「主戦場」という映画で語られたようなイデオロギーの拡大とそれに伴う圧力が目に見えない形で浸透している、という点や、「SNS最大のスキャンダル」というSNSから吸い上げた情報を元に始まったアジテーションの手法に対して、人々が、社会が、あまりにも無防備なままに、数が多いものが正しいという論理に回収されている、と感じます。多様化し、異なる属性が多数になった時代に、数が多い属性が力を持って、そこを中心とした同調圧力がかかるような社会でいいのか、という問いがあるからです。
シンポジウムのタイトルには、Cultural Resistanceとしています。文化的抵抗ということで、白と黒を分けて対立構造を深めていく方法ではなく、文化を通した対話からグレーゾーンを広げてにじり寄っていくような、柔軟で浸透性のある、つまりレジリエンスを持った実社会的な活動にむけたものであります。
そして、このプロジェクトの英語名を「Social Practice in Art/Media」としましたが、裏称「SPAM」(!)、硬直した既存の社会へに変化を促す煩わしい、存在として、というアイロニーが込められています。
つまり、既存構造にとって煩わしいような、新しいCultural ResistanceがSPAMみたいに大量発生したら、社会は変わっていくんじゃないかな、というような気持ちで企画しました。
Forensic Architectureが来れるのは奇跡みたいなことなので、みなさまぜひ!長くなりました。

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