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日本の債務残高1200兆円がそろそろ危険水域に到達しそうだ

(原文 2022年06月13日)

失われた30年の間に、日本の債務残高は1993年の200兆円から2022年の1200兆円に膨張して来た。何故に、こんなに借金漬けになってしまったのか?その理由は人口構成の変化に伴い社会保険料の増大と、経済成長が無かったからだと、巷では述べられている。

僕はもう一つ大きな原因があると思う。それは1992年の細川連立政権の始まりにより自民党が政権の座から転がり落ちた在野の辛酸経験から、公明党との連立政権が始まり、期を同じくして日本の未来の為の政策立案、投資ではなく、景気浮揚の掛け声とともに、選挙に勝つための露骨なバラマキ政策が行われた事で国家財政が悪化の一途を辿ったと考えている。常に公明党が国土交通大臣のポジションを自公連立政権で抑えているのも、選挙バラマキ対策の胴元の必要悪からだ。普通、民間企業なら、事業計画を立て借金をして15年で借入金を返済して、税金も払い、事業計画が上手く進まなければ、資本家がお金をつぎ込むか、失敗すれば倒産か破産に至る。人生も家庭も破綻に至る。

一方、国や地方自治体は優秀な官僚諸兄が壮大な事業計画を立てて、フィージビリテイスタデイ(FS)を行って、予算を獲得して工事を行うが、工事が終了してもFS通りに投資金が返済できなくても誰もお咎めなしだ。総工費1兆3600億円をかけて1998年に完成した明石海峡大橋。しかし、今でこそETC片道通行料が普通車910円と値下がりしたが、旬工時は片道通行料が2000円位して、当初のFSで予測した通行車両数の10分の一程度の利用率で、橋の維持費さえ捻出できない不良投資案件だったと記憶している。1994年に1期工事1998年頃に2期工事合計3兆円以上の投資で鳴り物入り開業した関西国際空港は、投資回収は諦めて、オリックスとフランス企業との合弁会社に運営を丸投げした。同時期に開港した神戸空港は1500億円程度の投資であったが、投資回収が始まったという話は聞いたことがない。700億円程度の投資だった但馬空港はぺんぺん草が生えていると聞く。    

これら30年にわたる景気浮揚という美名のもとの収支を度外視した無謀なバラマキ投資の積み重ねが1000兆円もの債務残高に繋がっている。もちろん工事受託会社はそれなりに利益も上げて経済を回してきたのだから全て悪いとは言えないが・・・善良な日本人はこれらお上の失政を咎めることなく、FS通りに事業収支が実行できない不功績な投資責任者も牢獄にほり込まれる事もなく平穏に時は過ぎて来た。無神経で勉強不足なマスコミも何ら騒ぎ立てたりしない。

特に日本人の2022年の金融資産が2000兆円を超え、そのうち半分の1000兆円が預金であることから、日本国民は政府の返済不能の不良投資1000兆円の肩代わりを二束三文のほぼゼロ金利で行っているともいえる。だから日本はギリシャの様に財政破綻しない筈と政策通の政治家や経済評論家は都合よく講釈している。逆に考えれば、政治家が選挙と自分たちの地位保全の為にしてきた無謀な投資のツケを、日本人の人の良さに押し付けて来たカラクリ策とも言える。

しかし馬鹿げた失政のつけを国民も甘んじて受け続ける時は過ぎ去ろうとしている。何故か政府は、自分たちに都合のよかった日本人の貯蓄癖を改めて、投資に向けさせようとしている。外国人並みに投資マインドの日本人が増えれば1000兆円の預金が減少する。その穴埋めに外国人投資家を呼び込まなければならない。今、日本の国債の外国人保有率は13%でその比率は増え続けて行くはずだ。つまり外国人投資家が持っている150兆円の国債が増加する事になる。彼らが採算度外視の回収不能な投資ばかり日本政府が行っている惨状が判って、売り浴びせたら一気に国債の価値は暴落する。まさにギリシャの様な財政破綻が日本を襲うことになる。今後の日本政府の事業投資が民間企業並みにシビアで回収可能な健全なものに一刻も早く切り替えられなければ日本の未来はない。我々、国民こそが厳しい目を向けなければならない。

例えば、僕が住んでいたカリフォルニア州オレンジカウンテイでは放漫財政で財政破綻して、当時の行政担当者数名が責任を問われて投獄された。膿を出し切った今は健全な行政が行われている。元放漫財政で有名な神戸市では、いまだに隠れ債務が1兆円程度あると言われているが誰も捕まらないし、変わったのは市指定のゴミ袋の値段が異常に値上がりした事だけだ。韓国のインチョン国際空港工事では当時の工事予算3000億円が5000億円に不節操に膨らんだとして、当時の責任者は投獄された。一方、沈み続ける債権回収不可能で運営会社に管理を丸投げする羽目になった関西国際空港を誘致した政治家も担当者も誰もお咎めなしだ。この責任を問わない、問われない甘えの構造こそがGDPの256.9%もの国家債務残高でも平然としている日本の政治家・マスコミそして日本国民の最大の問題だ。

尚、常に財政危機を噂されている韓国の国家債務残高はGDPの34%で至って健全である

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