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故郷へ〜中篇(KFK-45)

 故郷へ向かう車中で、私は伯父から父の本当の姿を教えられた。

 浮気グセがあること。
 一度夜逃げ同然に茶色い街へ行ったのは、浮気がバレたあと、もう一度一家でやり直す爲だったこと。

 そしてやり直しの場であった茶色い街に、実は父の浮気相手が住んでいたこと。
 だから、再び浮気して完全に母と分かれる事になった事。

 その後も続く。伯父も余程腹が立っていたのだろう。まくしたてるように、父の所業を言い続けた。

 母と離婚後、次のお相手が見つかって再婚したそうだ。娘(私にとって腹違いの妹)が産まれたあと、また浮気病が始まり離婚した。

 その後父は、とある街に流れてタクシーの運転手を始めた。仕事は真面目だったので社長に気に入られたそうだ。

 所が、あろうことか、その社長の奥さん手を出してしまった。当然会社はクビになった。
 転職を試みたが、悪い噂が広まり就職できなかったそうだ。

 そして手元には借金で買った赤いスポーツかーしか無かった。
 祖父が生きてる頃はお金のこと無心をして、何とか食いつないでいたものの、祖父が亡くなった後、兄弟の誰も助けなかった。

 助けたら自分の生活が破壊されると思って、警戒したらしい。

 最後はアパートの自室で首を括って死んだそうだ。

 その後何度も伯父は『死ぬる奴に言っても』と前置きしながら、ずっと父の批判をしていた。聴いていて、私は頭がどうかなりそうだった。

 妹も『そういえば、Junには悪いことしたな』って言ってたと、追い打ちをかけられた。妹は父の亡くなる数週間前に会ったそうだ。

 私は何も悪いことをしてないのに、何だかとても罪悪感を感じてしまった。
 両親が離婚したとき、本当は父の側にいるべきだったのでは?という考えも、頭をよぎった。

 こうして散々父の悪行を聞かされて、やっと故郷へ到着したのだった。

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