スタートアップ営業からスタートアップCSO(最高戦略責任者) になってみた。 今こそじっくり戦略ビルディングを。
はじめに:本記事について
こんにちはジェイ(@junta_suzuki)です!
株式会社Rocketsで2019年11月からCSO(最高戦略責任者)をやってます。
これまでも(特に0→1フェーズの)スタートアップ営業を数多く経験してきました。今ではスタートアップの営業支援、アクセラレーターでの営業講師、カンファレンスの登壇などもさせていただいております。
Twitter、noteなどで継続的に営業について発信しつつ、営業にまつわるコミュニティなども運営しております。Voicyでは「スタートアップ営業ラジオ」というチャンネルで、平日毎朝10分程度の音声を配信しております。
- CSO(最高戦略責任者)としての結果
さて、今まではただの営業だった僕。2019年11月から晴れてCSO(最高戦略責任者)になり、間もなく半年が経とうとしております。
結果どうだったか?
はい、このご時世の中、ありがたいことに2020年4月の顧客数が過去最高になる見込みです。そして、単純に右肩上がりなだけではなく、しっかりと土台が整備され、これからやるべきこと、打ち手も明確に見えております。
今まで事業開発セールスとして現場で培ったものを徹底的に言語化し、ビジュアル化していきました。さらにそれを、自分で現場で話して検証し、信頼できる方々に相談し、社内メンバーとアツい議論を重ねてきました。
- 今こそじっくり戦略を考える時
今回の記事は、そんな半年間で考えてきたことを、細かい説明は端折って、エクストリームにまとめてみました。
深掘りしたい方は、気になった箇所をググって調べていただくか、頑張って探した関連リンクを貼り付けておきましたので、そちらをご参照ください。もしくは、この記事の最後のbosyuで僕に連絡ください!
前回のnote「スタートアップ営業0→1戦略 STPSS」とリンクする内容も多いですが、今回はマインドマップを使って、一つずつ考えられるように構成してみました。
このご時世だからこそ、付け焼き刃の対策に陥らず、しっかりと戦略などの土台を整えていきたいものです。その際、僕が考えてきたことが、少しでもあなたの参考や、何かのキッカケになれば嬉しいなと思い書いております。
※基本、我流、僕なりのやり方なので細かいところはご勘弁ください。
1. 戦略
ではまず、1.戦略についてです。
1-A 買う理由
まずは、そもそも買っていただく理由について徹底的に言語化しました。WHY YOU、WHY THIS、WHY NOWを元に自分たちのサービスを買っていただく理由を突き詰めて考えていきました。
特にWHY NOWは、コロナ影響下の今、あなたの商材を買う理由が明確化されていますか?
それが明確になっていないと、いくらオンラインセールスを強化しても難しいんじゃないかなと思います。
関連:お客様が商品を買う3つの理由
1-B 課題理解
つづいて課題理解です。
想定ペルソナはしっかりとイメージできていますか?お客さんをリード数、受注数などの数字でしかみてない状況はやばいです。
ちゃんと実感のあるペルソナ、実感のあるお客さんが見えていて、彼らが困っていることを理解します。理解するためには、ペルソナや実感のあるお客さんのカスタマージャーニーを考えることです。
以上のようなことは、現場にいる方への徹底的なヒアリングが大事ですし、一定の土地勘が必要です。自分の商材ドメインの土地勘は必須でしょう。黙ってプロダクトだけで解決できるほど甘くないのです。
土地勘のある人がいない場合は、急いで採用した方がよろしいかと。僕の場合は、ドメインは営業業界です。土地勘があります。
関連:なぜカスタマージャーニーマップを作るのか?その目的と作り方
1-C 市場理解
そしてその実感のあるお客さんたちがいるマーケットの理解です。市場プレイヤーカオスマップを自分で作ってみたり、マトリクスにして市場の中での自分たちのポジショニングを考えたり、戦略キャンパスを使用しました。
具体的に競合プレイヤーたちとの比較を良いところも悪いところ、徹底的に洗い出します。機能、価格、サービス、フォロー体制などなど、30項目ぐらいは比較します。
関連:戦略ツール「戦略キャンバス」と「4つのアクション」を使いこなす
1-D 事業理解
最後に事業理解。
自分たちの事業が5年後10年後まで続いていくイメージはありますか?
事業が続いていく事業ロードマップを作成し、何に投資し、回収し、再投資するのか。プロダクトライフサイクルを何回も回していく必要があるので、継続的に事業が存続するためには何が必要か、何に投資すべきかを徹底的に考えます。
たとえば、「顧客が増えれば増えるほど自社DBにデータがたまり、次の機能や、次のサービスに展開することが可能」など。投資→回収→再投資のサイクルを考えます。
その際、フライホイール(弾み車)のフレームワークも使い考えました。
関連:プロダクトライフサイクルとは?
関連:ビジョナリー・カンパニー 弾み車の法則
2. ターゲット
次に2.ターゲットについてです。
2-A ターゲットマトリクス
まず、ターゲットを考える上で、2つの考え方があります。緊急度の高いターゲットと、重要度の高いターゲットです。緊急度の高いターゲットに関しては、緊急度が高いであろう仮説を元に、オファー的なアプローチをしていきます。
たとえば、「この媒体に掲載しているということはこれこれに困ってますよね?」「リモートワークでこれこれに困ってますよね?」などです。
重要度の高いターゲットに関しては、LTVが高いだろう仮説の上で、ゆっくりとリードタイムが長くてもお付き合いしたいので、畑を耕すようなストック型のアプローチをしていきます。
たとえば、「これからの業界についての考察をまとめました。」「ぜひ一緒にこれこれについて考えていきたいです。」などです。
つまり、
自社商材に対して、緊急度が高そうなセグメントはどこか?
自社商材にとって、重要度が高そうなセグメントはどこか?
を考え、そして、各々に対するアプローチ方法を考えます。
関連:スタートアップ営業0→1戦略 STPSS(僕の記事ですw)
2-B 既存顧客からの分析
既存顧客からの分析も大事です。もし一定数の既存顧客がいる場合は、その顧客のフォロワーセグメントに横展開ができる可能性があります。
顧客のフォロワーとは、その顧客のことをフォローしている企業セグメントです。つまり、逆にいうと、影響力のある顧客をセグメントごとに獲得していきたいということになります。
また、そういう意味で、既存顧客は自社の資産になります。他の会社に紹介していただいたり、関係各社に推奨していただいたり。新規のターゲットもそうですが、既存顧客からの広がりも大事なリード獲得として考えなくてはいけません。
2-C タイムライン
最後に大事なのはタイムラインを読むということです。一般的にターゲティングは業種や業態などのセグメントの分析にとどまりがちですが、その会社やプロダクトのタイムラインを読む必要があります。
ここでは、前出のプロダクトライフサイクル(前出は自社のでしたが、ここではターゲット企業のです)や、キャズム理論を元に考えております。
つまり、そのターゲット企業は今まさにどういう状況なのかを把握していくということです。当たり前ですが、業種、従業員規模、エリアなどが同じセグメントの企業群でも、事業やプロダクトのフェーズは違うものです。
関連:キャズム(きゃずむ)
3. パイプライン
戦略およびターゲットの後は、実際の3.パイプラインを考えます。
3-A 認知から推奨までのパイプライン
さぁいよいよ実際に案件が流れるパイプラインを考えます。決して受注するためのパイプラインではありません。大事なのは、認知から受注までのファネル、受注から推奨の逆ファネルの2つを考えることです。
これをダブルファネルと言います。感覚的には、認知→受注→成功(結果)→推奨がパイプラインになっていると良いと思います。
「どうやって認知させ、どうやって受注し、どうやって成功させ、どうやって推奨者になってもらうのか」について徹底的に言語化します。
関連:マーケティングにおける「ダブルファネル」ってなに?
3-B リード獲得方法
では、パイプラインの上流の部分、認知に関してどう進めるかです。大きくは、インバウンドとアウトバウンドがあるかと思います。
とにかくできる施策を列挙し、自社の強み、メンバーの強み、市場の状況、事業としての投資対効果を考え、優先度をつけて試していきます。
うまい企業は、「他で話題の効果のいい施策」、「他でCPAのいい事例」に飛びつくというより、試行錯誤を繰り返し、強みとの掛け算、施策の相乗効果などを組み合わせて、独自の手法を作り上げている印象があります。
また、できる限り思いつく方法を列挙し、実感を持って考えておくことが大事だなと思います。突然、トレンド的に、オンラインだけで営業しなくてはならなくなった時に、初動がだいぶ変わるかと思います。
関連:BtoBマーケティングの手法大全 – 社内会議で使える88個の施策アイデア(いつも勉強させてもらっている才流代表の栗原さんの記事に全部書いてあります)
3-C リード獲得の最大化
ある程度、やるべきリード獲得手法が決まってきたら、下記のように考えてます。前提として、認知には単純接触効果が非常に有効だと思っています。
ここでは、買う理由×ターゲットリスト数×チャネル数×回数の最大化を考えます。冒頭でお話しした「買う理由」を元に、適したターゲットに適したチャネルでアプローチし、ある程度回数を重ねていく必要があります。回数を重ねるためには、後述するCRMが必要になってきます。
関連:ザイオンス効果 - ferret
3-D CRM
単純接触効果で回数が大事だと話しました。僕が思うCRMとはシンプルに単純接触効果を最大化するものです。単純接触効果とは諸刃の剣で、うまくやれば効果が上がりますが、下手にやれば、スパムとなりマイナスな結果になります。
そこで、まず大前提、定期的にアプローチする仕組みを作ります。ただし、しっかりとログを残します。いつ、どんな話題でアプローチしたかです。
インバウンドで貯めてきたコンテンツを活かしつつ、相手目線で役に立つ話題を、前述したオファーとストックの概念も意識してアプローチします。そのコンテンツはオファーなのか、ストックなのかですね。
関連:今更ながらCRMとは?:究極の目的はそれぞれの顧客に合った商品やサービスを提供すること
3-E 熱狂戦略
ここまで上流部分、受注までのファネル前半部分をお話ししました。続いては下流部分、推奨者になってもらうまでの逆ファネル部分です。認知→受注→成功(結果)→推奨でいう所の、成功(結果)と推奨の部分です。
まず、成功していただくために、成功を定義し、お客さんと成功の認識を合わせる必要があります。これは上流の部分から言えることですが、この認識が合っているかどうかが後々のLTVに影響してきます。
その上で、成功と推奨についてですが、定量的なものと定性的なものが影響してくると思っています。定量的なものは文字通り数字で測れる成果ですね。これはわかりやすいので、簡単です。(成果を数字で出すのは難しいことですが、認識合わせとしては簡単です。)
逆に、定性的なものは難しいものです。現時点では数字的な成果はまだまだですが、将来的には数字が合ってくる見込みが望める。単発での成果の定量化は難しいが、他施策との掛け合わせで効果が最大化している。など。
さらにいうと、会社のビジョンやカルチャーなど、なかなか数字で計れないものも影響していきます。後述するブランディングの部分です。
これらを徹底的に言語化し、何が成功なのか、何を推奨してもらうべきかを考えていきます。
関連:マーケティング4.0の「究極の目標」は、顧客を推奨者にすること
4. 持続可能性
成功させ、推奨者までの道筋ができたら、4.持続可能性を検証します。
4-A 投資→再投資
1-A 事業理解で考えたものが、ちゃんとできているかを検証します。何に投資し、回収し、再投資するのかですね。
たとえば、「顧客が増えれば増えるほど自社DBにデータがたまり、次の機能や、次のサービスに展開することが可能」ということならば、そのデータが受注することで、キチンと着実にたまっているかどうかを確認します。
4-B 勝ちパターン
受注、推奨まで顧客を持ってこれたら、ユニットエコノミクスやマーケットフィットを考えます。
顧客獲得コストが見合っているか、プライシングやリード獲得チャネルを再考します。また、プロダクトがキチンと課題解決をし、推奨者まで作れているか。ターゲットセグメントは合っているか。などのあらゆるフィットを検証します。
あらゆる仮説を検証していき、勝ちパターンを蓄積していきます。
関連:ARR 10億円に向けて考えるべきSaaSの「4+1」フィット(PMFの再考)
5. スケール
ちょっと残りのHP(体力)が減ってきました。
最後にスケールです。勝ちパターンをスケールさせていきます。ここは、僕らもまだまだこれからなので、あっさりと。
5-A アライアンス強化
勝ちパターンが明確になれば、あとはスケールですので単純に人数や接触数を増やしてスケールさせていくことになります。ここで考えられるのは、アライアンス強化です。
勝ちパターンに合った組み方で、共鳴してもらえる会社とのアライアンスを進めることでPR含め、最大化することができます。ここには代理販売のアライアンスも含まれます。
実はアライアンスによるスケールは、僕はこれまでに結構やってきたので、これからが楽しみです。
5-B 組織づくり
スケールには組織を大きくしていくことももちろん入りますね。ここまで考え抜いたことは、実はビジュアル化して社内で共有しております。今回は1項目あたり4行くらいのテキストで説明してますが、実は1項目あたり大きなホワイトボード1枚分くらいのビジュアル化をしてます。
それを採用候補の方には生々しくお見せするようにしております。
関連:代理店戦略、組織づくりについては、いつか書きますw
6. ブランディング
実は冒頭でお見せした全体のマインドマップには 6.ブランディングという項目があったのですが、今回は長くなりすぎたので次回書きますw
営業について戦略を考えれば考えるほど、ブランディングが大事だなと痛感しております。それは、競合優位性にも繋がるし、推奨者になってもらうために必要なものでもあります。スタートアップが大企業と肩を並べる際のポイントにもなると思います。
営業から見るブランディングでのテーマは下記3つです。
1. MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)
2. ブランディング(世界観、コミュニケーション、体験作り)
3. ビジネストレンド(リモートワーク、オンライン、AI)
実際、Rocketsではこの3つもバチバチに言語化、ビジュアル化してます。
おわりに:bosyu
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます!
僕のnoteの中では短期間(2日間)で作成し、画像の色味もあまりない感じに仕上がってますが、頑張って書きました。
冒頭でも書きましたが、僕が考えてきたことが、少しでもあなたの参考や、何かのキッカケになれば嬉しいなと思い書いております。
そして、僕なりの具体的なアクションとして、bosyuで営業相談を先着10名で募集します。ぜひご興味あれば!
bosyu:ジェイに営業相談(無料)する
以上、長々とお付き合いいただき、ありがとうございます。
最後までお読みいただいた方は、ぜひぜひぜひ、僕のTwitterと、noteと、Voicyをフォローいただければ!(欲張りw)
あなたのそのフォローで頑張れます!
このようなご時世ですが、同志として、共に確固たる覚悟を持って、気迫のある事業をしていきましょう。
まとめの画像
最後にまとめのビジュアルを貼っておきます!
最後までお読みいただきありがとうございました!