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スタートアップ営業0→1戦略 STPSS(スタップス):営業支援を重ねて得た独自フレームワーク

※最下部に全内容をまとめたビジュアルが貼ってありますので、ぜひ!

はじめに:本記事のターゲットについて

こんにちはジェイ(@junta_suzuki)です。

このnoteは、2020年1月15日に行われた『SalesX Night vol.1 営業パイプラインを0→1フェーズでいかに作るか』での僕の登壇内容をベースにしつつ、パワーアップさせた内容になっております。

スタートアップの営業を多く経験してきて、特に0→1フェーズで考えるべきことを自分なりの方法論として纏めております。

・スタートアップ or 新規事業立ち上げの方
・ BtoB営業に携わっている or 興味がある方

のお役に立てれば幸いです。

営業以外の方も、「うちの営業に見せよう!」とシェアしていただけるように頑張ります。

1. なぜ営業活動をするのか?

そもそも、なぜ営業活動するのですか?
→お客様に成功してほしいから!

営業は、本気で「お客様を成功させる」という覚悟を持つことが重要です。特にスタートアップや、事業立ち上げ期は、営業がこの気持ちを絶対に忘れてはいけません。そしてこの気持ちは譲れません。

また、単純に売るだけではお客様を成功させることは難しいと思います。なぜなら、立ち上げ期はまだプロダクトやサービスが形になっていないから。

では、「お客様を成功させる」ために何が必要でしょうか。

まず、「自社の強み(プロダクト)で、どのような市場のどのような人の役に立つのか」を明確に言語化することです。

これを僕は「営業の背骨作り」と呼んでいます。

事業全体を見る視点を持ち、戦略をもとに営業活動の背骨作りを行い、それを元に営業を行うことが重要です。

<営業活動の背骨作り>
どんな状況の
どんな市場の
どんな人に
どんな価値を
どうやって届けるか

上記、営業メンバー全員がスグに言えるようになっておく必要があります。
そして、すごく大事なのは、こちら側の考える「成功」とお客様が考える「成功」を合わせておくことです。

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これらの前提が言語化できたら、0→1フェーズで大事な5つのことを考えます。

2. STPSS(スタップス):営業支援を重ねて得た独自理論

営業0→1フェーズでは以下5つのことを頭に入れておくといいと思います。

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これらの頭文字をとってSTPSS(スタップス)とします。

①戦略(S:Strategy)
②ターゲット(T:Target)
③パイプライン(P:Pipeline)
④持続可能性(S:Sustainability)
⑤スケール(S:Scale)

いずれもかなり大事です。
ひとつずつ見ていきましょう。

①営業は戦略からなる(S:Strategy

前述の通り、単純に売ればいいわけではないので、事業として「どこを目指していくべきか」「何を解決していくのか」戦略や背骨の部分が重要になってきます。

具体的には下記のようなものになります。

サービスの根幹のビジョンはなにか?
どのような人が使うのか?
どのような市場の何を解決するのか?
自社の強みはなにか?
競合はどのようなものがあるのか?
サービスを継続させるには何が必要か?

このように、「誰の何を解決するのか」という課題理解と、「取り巻く環境はどうなっているのか」という市場理解、「自社の強みとビジネス継続性」を考える事業理解の3つの理解を高めていきます。

また、スタートアップや、事業立ち上げ当初はメンバーが限られています。つまり、これらの戦略や背骨を、びしりとメンバー間に通しやすい。メンバー全員が一枚岩になってアクションしやすいと思っています。

これは立ち上げ期の大いなるメリットですし、そういったメンバーでやることの楽しさに僕は魅了されています。

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②なによりもまずターゲットが大事(T:Target)

次に、上流を抑えること、ターゲットが何よりも大事です。

戦略のもと、正しくターゲティングをします。逆に、ターゲティングを考えることこそ戦略の大きな部分を占めているとも思います。

自社の強みで解決できるマーケットはどこか。
そのマーケットの規模はどれくらいあるのか。
ニーズは顕在化しているのか。潜在的なのか。
仮説が検証できるセグメントができているか。

プロダクトが市場にフィットする前に、会社規模、従業員数、エリア、業種ぐらいで絞って、リストのボリュームを出して上から順に営業したりするのはお勧めできません。

具体的には、大まかに【顕在ターゲット】と【重要ターゲット】の2つに分けます。

【顕在ターゲット】
=緊急重要度の高そうなターゲット

緊急度と重要度が高いであろうターゲット。仮説ベースではあるが、すぐに成功してもらえそうな顧客群。すでに課題を持っているため、リードタイムは短く、最終的には受注までを仕組み化していくことが重要。
【重要ターゲット】
=LTVの高そうなターゲット

ライフタイムバリューが高いであろうターゲット。仮説ベースではあるが、自社から見た時に必ず獲得したい顧客群。現時点で顕在ニーズがなく、リードタイムが長くなっても、しっかり関係を築いていき受注する価値がある。

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細かなターゲティングについてはここでは割愛させてください。今回は大きな流れが大事なので!(ターゲティング、リスト作りは下記noteにも書いております!)

③検証が出来るパイプラインを設計(P:Pipeline)

さぁ戦略や営業活動の背骨が言語化され、ターゲットもできた。いよいよ営業活動!

とその前に、検証ができるパイプラインを設計しましょう。

パイプラインは受注するためのものではなく、お客様を成功に導くものであるべきだと思います。受注に向けたフェーズ管理だと、どうしても自社目線になってしまうからです。

また、組織が拡大した時にはフェーズを分断し、マーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセスなどに分けるかと思います。

その際、受注に向けたフェーズでパイプラインを設計していると、往々にして「なんのためのフェーズだっけ?」「なんのためのKPIだっけ?」となりがちです。

お客様を成功に導き、そしてファンになってもらうためのパイプラインという認識が各チームにできていた方が連携や改善もスムーズなのです。

フェーズを前に進めるのが営業ですので、お客様が成功するパイプラインがちゃんと敷かれていれば、自ずとお客様を成功させる仕組みが出来上がります。

さて、ここで考えることは2つです。

1. ファンからの逆算でパイプラインを設計する
2. パイプラインを2つ作る

1. ファンからの逆算でパイプラインを設計する
事業内容などによりますが、大枠はファンになってもらうところからの逆算で考えます。「お客様が成功し、ファンになってもらうためのパイプライン」です。

2. パイプラインを2つ作る
先ほど大まかに分けた【顕在ターゲット】と【重要ターゲット】ごとにパイプラインを用意します。

【顕在ターゲット】ばかりに注力してしまうと、顧客が増えても、思うようにLTVが上がらなかったりしてしまいます。きちんと狙ったターゲットを落としていくことも大事なのです。(ただし厳密には事業戦略による)

実際はさらにニーズの濃淡、緊急度の濃淡などを細かく設計し、確度管理ができるように更に細かく設定したりします。

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パイプラインの大枠ができてきたら、いよいよ営業活動開始です。

戦略をもとにターゲティングした案件が、実際にパイプラインを成功に向けて流れ出します。その際、持続可能性を測ることを忘れないようにします。

④持続可能性を顧客カルテで確認(S:Sustainability)

ここでいう持続可能性とは「ビジネスを続けていけるかの検証」と捉えていただいて構いません。戦略、ターゲットを仮説ベースで選定し、パイプラインも設計しました。

実際に案件が流れ出し、顧客カルテ(顧客の情報、ヒアリング内容)をもとに、持続可能性を検証していきます。

顧客カルテとは?
顧客の情報を集めたものになります。管理ツールなどは何でもいいです。
検証可能な項目を顧客カルテとして管理します。

例)顧客カルテ
会社情報
担当者情報
  +セグメントやターゲティング
  +チャネル
  +ヒアリング情報(仮説検証)
  +懸念点
  +議事録
  +受注プラン

検証する内容は、今までやってきた戦略、ターゲット、パイプラインについて、実際案件をこなしてみて、仮説が合っていたかを確かめます。

①戦略の検証
課題理解は合っていたか?
市場理解は合っていたか?
事業理解は合っていたか?

②ターゲットの検証
顕在ターゲットは合っていたか?
潜在ターゲットは合っていたか?
振り分けは合っていたか?
リストのセグメントは合っていたか?

③パイプラインの検証
設定したフェーズは合っていたか?
スコアリングは合っていたか? 

これらを日次や週次で営業メンバーで定点観測します。これはもうレギュラー予定として、時間をあらかじめとっていきます。商談した結果、ヒアリングができて顧客カルテに議事録が更新され、それをもとに検証をします。

「設定した課題の仮説が少しずれていた」
「市場理解として新たにこういう話が聞けた」
「顕在ターゲットではなかった」
「セグメントが間違っていた」
「予算を聞いた結果、LTVの仮説が違っていた」

などなど

この検証の仕方が僕は事業のカギだと思っています。ビジネスモデルやマーケットなどにもよるので、なかなか一般化することは難しく、案件を回しながら確立していくものだと思います。

ただし、検証のない営業は0→1フェーズではありえないので、探りながら進めていきたいものです。

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検証の結果、課題に対する答えとして、自社サービスがフィットしている。かつ、マーケットボリュームもある程度ある。受注案件のチャネルを考えた時、顧客獲得コストと、LTVも見合いそうだ。

このような勝ち筋が見えてきたら、いよいよスケールを考えます。

⑤勝ち筋を元に、スケールさせる(S:Scale)

仮説検証できた勝ち筋をそのまま展開していく形です。つまり、ある程度のマーケットボリュームと、提案方法の型が必要にはなってきます。逆に言うと、それらが分かるようになることが勝ち筋です。

主に、下記の4つを考えます。

代理販売強化
組織強化
アライアンス戦略強化
アウトソース強化

ここら辺に関しては、すでに0→1フェーズではないのかもしれません。僕は、代理販売強化、アウトソース強化はスタートアップでぶん回した経験がありますので、またの機会にnoteにでも書ければないいなと思ってます。

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3. STPSS(スタップス)

以上が、スタートアップ営業で考えるべき5つのこと:STPSS(スタップス)になります。横軸でもまとめておきますので下記、ご確認ください。

あくまで、自分なりのベースの考え方ですので、少しでも参考になれば幸いです。

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4. とはいえ、まずは

毎度のことですが、とはいえ、0→1フェーズではリファラルがとにかく大事です。リファラルですぐにアポが取れるところを決めていくのが最優先だと思います。案件化すれば検証として学ぶべきところが多くあるからです。

正直スタートアップは、時間がないので、「仕組みを作ってから走る」では遅すぎてたまりません。走りながら仕組みを作っていきます。

「あの会社がこんな仕組みで営業している」
「本にこんな感じで書いてあった」

などのインプットはもちろん必要ですが、最大最高のインプットはあなたの実際の案件です。本当に案件から学ぶべきことは多いのです。

走りながら仕組みを作りましょう。

走りながら仕組みを作る営業の話をしてます。
割と人気回です。お時間ある時に是非!

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5. 成功させる

話を冒頭に戻します。営業は、本気で「お客様を成功させる」という覚悟を持つことが重要です。成功させる順序は下記です。

①成功の定義を決める
②成功の定義をお客様と握る
③リファラルを成功させる
④新規獲得を成功させる
⑤成功をスケールさせる

成功の定義をお客さんと握り、必ず成功させましょう。まずはリファラルの案件から。リファラルが成功できるようであれば、新規に獲得したお客様も成功させることができる可能性が高いです。新規のお客様を成功させることができるのであればスケールも見えてくるでしょう。

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おわりに:成功させる覚悟を持って

長々とお付き合いいただき、ありがとうございます。
自社の強みを最大限に使って、お客様を成功させる覚悟を持って、気迫のある営業を共にしていきましょう。

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まとめの画像

最後にまとめのビジュアルを貼っておきます!
最後までお読みいただきありがとうございました!!

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