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奥野じゅん
2022年4月23日 23:03
生きてしまった罪悪感、というものが、確実にある。 小さな共同体――家族だったり、学校だったり、地域だったり――の全員が等しく災厄に見舞われ、無惨な死を遂げたなか、ひとり生き残ってしまった場合。 当時六歳だった僕は、泥だらけで棒立ちのまま、知らないおばさんに『生きててよかったね』と抱き締められた。 おばさんは涙を流して僕が生き残ったことを喜び、テレビ越しにその様子を見た誰もが、同じように涙を