マガジンのカバー画像

突発的な短編マガジン

27
1話完結の短編です。
運営しているクリエイター

#ハロウィン

異形ハロウィン2024

 僕のアパートにはなぜか、毎年ハロウィンの日にぶにゅぶにゅのバケモノが出てくる。
 昨年の11/1の朝、腐臭漂う室内から晴れ渡る青空を見て、本気で転居を決めた。
 なのに、不動産サイトを毎日眺めても、良い物件が見つからない。
 絶対に引っ越した方がいいと頭ではわかっているし、条件のよい物件も何度も見たのに、なぜかそこに住みたいと思えない。
 不動産屋めぐりで深夜になることもあったけれど見つからず、

もっとみる

異形ハロウィン2023

 今年もあいつが来る――

 僕はウエストポーチに大量の金平糖を詰め込み、玄関とキッチンの間で待機していた。
 一昨年は玄関から来た。去年は台所の換気扇から入ってきた。
 毎年手を変えて侵入してくることは分かったから、どこから襲われても大丈夫なように、既に右手を金平糖の中に突っ込んでいる。
 しかしこのとき僕は、ひとつの失態を犯していた。
 わずかな過去のデータに甘え過ぎていたのだ。

 毎年ぬち

もっとみる