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2022年度第1回講義 JOC大越光介さん

📚2022年度初回の講義

 2022年6月2日(木)19時より、今年度第1回目の講義が開催されました!👏今回は、御茶の水センタービル901教室での対面とオンラインのハイブリット形式で行いました。
 ゲストスピーカーとして、JOC事務局でお仕事をされている大越光介さんにお越しいただきました。大越さんは、本学順天堂大学スポーツ健康科学部の卒業生です🌸ご自身の学生時代から、JOCでされているお仕事、東京2020・北京2022冬季オリンピックでの経験、特に塾生が関係する医療関係者との連携について教えていただきました!

✅塾長 齋田良知先生より

 大越さんの講義の前に、順天堂スポーツ医学塾塾長である齋田先生より、新入塾生に向けて、スポーツ医学塾の目的や目指すことをお話いただきました。スポーツ医学塾の塾訓「仁義礼智信」や、昨年度の活動等をご紹介いただきました。
 齋田先生をはじめスポーツ医学塾に関わる先生方は、塾生の夢を叶えるサポートをしてくださっています。新入塾生の皆さんも、ここでしかできない経験をたくさんしていってほしいと思います!

✅大越さんのご講義

学生時代に学んだこと
どのようにキャリアを積んできたか

 2012年に本学スポーツ健康科学部を卒業し、その後アメリカの大学院へ。帰国後にJOCに勤めている。昨年度まで日本代表選手団を大会等に派遣する役割を担う強化部に所属。現在はオリンピックムーブメント推進部に所属し、オリンピズムやオリンピックの価値をアスリート達とともに社会に広める活動を担っている。
 順天堂に入学したのは、高校で野球をやっていたがケガで断念し、スポーツを支える立場で関わることができないかと考えたのがきっかけ。初めは理学療法士を目指していたが、まずはスポーツと医学がマッチした順天堂で学んで将来のことを考えようと思い入学した。

JOCでの普段の業務内容とは

 リオデジャネイロ・平昌・東京・北京オリンピック等、これまで国際大会10大会に帯同してきた。
 JOCの役割には、「アスリートの育成・強化」、「大会への派遣・招致」、「オリンピズムの普及・推進」等がある。大越さんが所属するオリンピックムーブメント推進部では、主にオリンピックに出場された選手とともに、自身の体験を通じてスポーツ、オリンピズム(国際平和、フレンドシップ、努力することのすばらしさ等)を普及させる活動をしている。 
 オリンピックの事務局の仕事では、日本チームの活躍に貢献できるように、メダル・結果だけでなく選手一人ひとりがベストを尽くせる環境をつくることが大切だと考えている。また安心・安全に大会を終え、帰国、帰宅できるようサポートすることも重要。

東京2020・北京2022での準備
期間中の運営について

<事前準備>

 ここからは以下メディカル関係の準備を中心にお話する。
 大会中でも現地の法律上で適した医療行為が実施できるよう、メディカルスタッフの登録を事前に行う。海外では処置や薬物の決まりが日本と異なることもあるため、持ち込み禁止の薬物等も日本・海外の法律に合わせて確認をする。例えば、インフルエンザ・熱中症等、時期、シーズン、開催地によって持ち込む医療品・医療器具も異なるため、メディカルの先生方と協議の上、適した申請を行う。
 特に選手たちの健康管理、派遣前のメディカルチェックの仕方・項目の厳選が重要になる。このような内容はメディカルの先生方と協議しながら、事務局も加わり、経費、運用等も鑑みて全体最適をはかる必要がある。
 選手たちのメディカルチェックは、健康管理に加え、教育・啓発の面でも重要である。処方されている薬についての理解を深めたり、アンチドーピングの啓発・指導等にも役立っている。なお大会に参加するスタッフたちには事前に健康調査を行い、現地での体調チェックに役立てている。外科的疾患は選手に多いかもしれないが、例えば内科的・心疾患等のリスクはスタッフも同様に抱えており、気を配る必要がある。

<選手村にて>

 現地に到着してからの荷物運びは限られた人数で行っている。スムーズに入国・入村できるように持ち込みや申請の確認は確実に行わなければいけない。メディカルスタッフの方々にも協力をいただき、TEAMJAPANで選手たちが競技に集中しやすい環境を作れるよう努めている。
 選手村の中に設置するトレーナールームは、何もなかった部屋にイチから作っている。限られた場所ではあるが、日本から持ち込むものと現地で借りるものとを使って準備している。
 また、選手たちの誕生日を祝ったり、大会中の写真のフレームを手づくりで飾ったり、選手同士の交流が生まれるようなちょっとしたエッセンスを加えることも仕事のひとつである。

<感染症対策>

 東京2020・北京2022では、新型コロナウイルスへの対応が大きな課題となった。大会時の感染症対策は、すでにインフルエンザ、ジカ・ノロウイルス等も経験してきたが、このコロナは別格だと感じた。その際には、事務局から説明するのではなく、メディカル・トレーナーの先生方のお力添えをいただき、説得力のある周知・案内をしていただいた。このコロナもそうであるが、ミスや予想外のことも起こっても、その時にそれを責めるのではなく、どうすればいいかスタッフ一丸となって考え対応することが大切だと思う。

<大会終了・帰国後>

 (個人的に)日本の選手がメダルを獲得したことももちろん嬉しいが、選手・コーチ・監督・スタッフの皆さんがケガなく安全に大会終了できた、帰国できた時に安心する。
 帰国後には報告会等のセレモニーを行ったり、お世話になった方に感謝のメッセージを添えてお渡しするといったことを行っている。

最後に
順天堂の後輩たちへ

 どんな業界もそうだと思うが、とにかく人間関係は重要なこと。
 オリンピックでは、ドクターらメディカルは、私はこの役割ではないと縦割りになるのではなく、何でもやっていただく。大越さんら事務局は、こうした先生方のご厚意に甘えるのではなく、その反面、メディカルの先生方が最大のパフォーマンスを発揮できるように環境を準備することで「持ちつ持たれつ」の関係性が成り立っている。このようなお互いの関わり方がチーム力となるのではないかと思っている。

 興味のあることがあればぜひ話しかけてみてほしい。様々な先生にお会いしていくと人とのつながりで人生が変わることがある。大越さん自身もある先生に出会って、アメリカの大学院への進学やJOCへの就職のきっかけになった。どんなことを話すかよりも、まずは話しかけてみようという積極的な行動をしてみてほしい。

✅学生からの質問

Ⓠポリクリニック(主催国の組織委員会が設置している医療サービスを提供する施設)があるのに、選手団のメディカルルームは必要なのですか?

Ⓐメディカルルームは選手の通り道に設置して使いやすくなるようにしている。また、競技ごとのトレーナーはいるがケアをする部屋がないという場合にも使うことができるように設定した。選手にとって、話しやすいメディカルの先生方やトレーナーがいる場所があるということは安心感が持てる。

Ⓠ硬式よりもマイナーな"軟式テニス"をメジャーにしたいです!

Ⓐ例えば、アジア大会に出場するセパタクローは、SNSや団体活動を頑張っている。自分たちがそのスポーツをやっている意味を多くの人に広く発信していくことが良いのでは。

ⓆJOCにはどのように選考されたのですか?

Ⓐまず英語ができるということが大きかったのでは。それと、「何でもやります!」という前向きな姿勢も大きかったと思う。
 JOCは毎年募集があるわけではないので、限られたチャンスに対してグッと攻めたアプローチをしてみることや、迷ってもいいので、とりあえずやってみるという気持ちが大切だと思う。

ⓆJOCの仕事は大変だと思いますが、大切にしていることや上手くやっていくコツはありますか?

Ⓐとにかく相手の話を聞くことを大切にしている。個人的には調整さんだと思っている。スポーツの仕事をしていると、とにかく「誰かのためにその状況を良くしたい」と考える人が多い印象。そのため、そうした考えをどちらもwinwinにできるように調整することが大事だと思っている。

✅まとめ

 大越さんには、「順天堂の後輩たちのためなら」ということでお越しいただき、なかなか聞くことのできないJOCのお仕事についてお話を聞くことができました。塾生からの質問にも丁寧にお答えいただいたり、終了後にも直接塾生とお話ししてくださったり、本当にありがとうございました🙇‍♀️

 今年度初回から貴重なお話を聞くことができました!今回をスタートに、これから月1回程度の講義や実技が開催される予定です🚩新入塾生を迎えて、よりスポーツ医学塾が盛り上がっていくと良いですね👍

 最後までご覧いただき、ありがとうございました。



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