肥後の走り屋たち ACT.6 飯田覚
あらすじ
部長決定戦最初の戦い、虎美とひさ子の勝負が始まった。
前者が勝利し、部長の座へ一歩進んだ。
次の戦い、覚とひさ子の勝負が始まる。
飯田ちゃんのSVXとひさちゃんのファミリアが戻ってくる。
2台からそれぞれのドライバーが降りてきた。
「勝ったのは私よ。前半まで森本さんがリードし、途中までバトルに変化しなかったわ。しかし、中盤で追い抜くと彼女を引き離して勝利したわ」
ってことは、うちと同点となったのか。
「やっぱ、わしゃアカンな……速くなりたか」
最下位になったひさちゃんは悔しがっていた。
他人の耳に聞こえないほど小さな声で呟く。
「あとは……虎美と私だけね。始めましょ、部長決める決戦を」
うちのGTOと飯田ちゃんのSVXが並ぶ。
既に1勝している者同士だ。
「最初に言っておくわ、あんたが友達であっても手加減しないわ」
飯田ちゃんが窓を開けて啖呵を切る。
「こちらこそ!」
そのままうちも返す。
加藤虎美(Z16A)
vs
飯田覚(CXD)
コース:箱石峠往路
このレースもかなさんがスターターを務める。
「それじゃあ始めっぞ!」
GTOの6G72と、ツインスーパーチャージャー化されたSVXのEG33が吠える。
「5秒前! 4、3、2、1、GO!!」
2台が一斉にスタートする。
前に出たのうちの方だった。
「後から見せて貰うわ」
ひさちゃんは大したことはなかった。
大竹の方が手応えがあったと感じたほどだ。
けど、飯田ちゃんは強いかもしれない。
バトルは後攻を取った方が有利だから。
「虎美も既に1勝している、けど負けられないわ」
後ろを走るSVXに警戒しながら攻めるも、バトルに変化はなかった。
最初のロングストレートを抜け、緩い左からの右ヘアピンに突入する。
GTOはドリフト、SVXはグリップ走行で攻めていく。
直線からの3つの緩いS字ヘアピンを抜けて、右低速ヘアピンに入る。
ここもさっきと同じ走りで抜けていく。
後ろの飯田ちゃんはうちの癖を見抜いた。
「虎美の運転って乱暴ね。勢いだけでコーナーを攻めているわ。ブレーキを踏むタイミングが速いし、コーナーの侵入が速すぎるし、外側に出ている走りをしているわ」
後攻だとそういうこともできる。
相手のクルマを見ながら走っているからだ
うちにはその癖があったとは感じていない。
ここを抜けると直線を通り、左中速ヘアピンに突入する。
そこに入る直前にフェイントモーションを発生させ、オレンジ色のオーラを纏う。
「肥後虎ノ矛流<キャノン・ドリフター>! 虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎ー!」
タキオン粒子で出来たオーラを纏い、速度を上げながらドリフトで攻めていく!
と、思いきや……タイミングが遅かったのか、GTOは外側へ膨らむ。
「技ば外したばい!」
「森本さんの時はマグレだわ。あんたの運転が乱暴だから失敗したのよ」
外側のガードレールに接触して技は失敗する。
タイムロスの影響で、距離は縮まる。
さらには……。
「覚悟はいいわね? <直景の槍>!」
銀のオーラを纏ったSVXは槍で刺すように速度を大きく上げていき、前へ出る。
「飯田ちゃん……速か」
技を喰らったうちは槍で刺された気分であり、その苦しさから言葉は出なかった。
ここを抜けると直線に入る。
GTOの方がパワーが上であり、距離が縮まる。
途中、左高速ヘアピンに入る。
そこではVTD-AWDにより4WDとは思えないコーナリング性能が高いSVXに離されるも、後は直線だったため、再び差を小さくしていく。
右ヘアピンに入ると、うちらと年齢が近い3人の少女がギャラリーしていた。
彼女たちの耳に2つのエンジン音が聞こえてくる。
「来るばい」
光が大きく現れ、その正体である2台のクルマが彼女たちの目に現れる。
それを見た時、閃光が走る!
「こんクルマは……2年の加藤のGTOと飯田のアルシオーネSVXばい……」
なぜ、それらのクルマを見て、黒髪の少女は表情を変えたのだろうか?
「バトルしとるとやろうか?」
黒髪の少女が口を開く。
「そうたいね」
続いて、青髪の少女も口を開いた。
3人がギャラリーをしている所をうちらは通りすぎると、うちらは左高速ヘアピンへ入る。
「離れんとよ、飯田ちゃん!」
「このまま虎美とGTOを離してやるわよ!」
果たして部長の座はどの手に!?
TheNextLap
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