僕のひこうき雲 15(揺れる手術への決意3)
某月某日
息子も中学校を休み、家族三人で11時から設定していただいた主治医との面談に臨んだ。
病院からは、主治医、また執刀して下さる上司の部長先生、同じく執刀して下さるもう一人の先生の三名が顔を揃えて下さった。
まず私からお時間を作って下さったことのお礼を述べ、率直に妻が手術に疑問を感じていることをお聞きした。
妻からのひとつ目の疑問であった、妻が身体の不調の原因は貧血ではないか、貧血で倒れて腕と頭を打ったのではないかという点については、先生方からは、貧血はきっかけに過ぎず、脳腫瘍の可能性が高いと診ているとお話しいただいた。
脳腫瘍は、今後良悪問わずに成長する可能性があり、また妻は若いため、成長してしまったら身体への影響がとても大きなものになること、
ゆえに手術を受けて、病理検査を行い、診断を確定させることは、今後の治療にとって大きな意味があること、
また脳腫瘍は、比較的後遺障害が出にくい部位にあり、出来るだけ早く処置すべきであるとお話をいただいた。
しかし、この場でも妻が気持ちを固めることはできなかった。
事の重大さから、決断に時間がかかることは当然のことだった。
先生方から、同日のMRI撮影後の14時に改めてお時間を下さることを提案いただき、予定されていた麻酔科診察は日をずらしてもらうことになった。
面談後、中庭のベンチで家族三人で過ごした。
突如、妻から、私が母が亡くなった際に父と対立した弟と絶縁状態になっていることについて触れた。
私は許す人なの。
あなたが弟を許すのなら手術を受けようかな。
妻が手術を受けてくれるのなら、凝り固まった気持ちを溶かして僕は変わる。必ず変わる。約束する。
妻が手術を受けてくれるのなら。
※この記事は投げ銭記事です。投げ銭は妻の医療費に充てさせていただいています。
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妻が倒れてから、感情を言葉にすることの大切さを実感している。拙くても不器用でも、妻への思いは送り続けたい。