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マイクとカメラを妥協しないミニマルデスクをつくる

Noteの皆様、はじめまして。

今年はワークスタイルの変化に伴い、自宅の作業環境を改めて整備した方も多いのではないでしょうか。私が所属するツクルバでも、エンジニアが所属するチームは春から全面的にリモート体制へ移行しました。

その後、オンラインミーティング向けに自宅の作業環境のアップデートを重ね、その変遷を社内で共有したところ大変好評をいただいたので、Noteでも共有することにしました。少々長い記事ですが、お付き合いいただけると嬉しいです。

Macだけで良かった時代

前職時代にリモートワークが許可されていたこともあり、以前から自宅の作業環境を既に整備していたので、リモート体制への移行はスムーズでした。下の写真は数年前の自宅デスクです。デスク上にiMacしかない、素晴らしい環境でした。

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これなら、かのデスクすっきりマガジンの皆様もニッコリしてくれるでしょう。

しかし、今年になってこのすっきりデスクを維持するのが難しくなってきました。オンラインミーティング用の追加機材が必要になったからです。

映像・音声品質のジレンマ

チーム全体がリモートワーク体制になるということは、毎日のスクラムミーティングから1on1まで、すべてのコミュニケーションがオンラインになるということ。それをガビガビの音声だったり、逆光で表情が見えないカメラ映像で行うのはちょっと悲しい。

Macに内蔵されたマイクとカメラでもミーティングはできますが、仕事で毎日のように使うものと捉えるなら、プロとしてはその品質に拘りたい。今年になって、Zoom用にカメラやマイク、デスクライトを新たに購入された方も多いのではと思います。私も良いマイクを買いました。

しかし、これらの機材はデスクをすっきりさせるという目的においては、かなり厄介な代物です。彼らは必ず新たなケーブルとセットでやってきます。映像と音声の品質を求めるほど、デスクは新たなガジェットとケーブルによって汚されていくのです。

高品質なミーティングと、すっきりデスクを両立させるために

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オンラインミーティングでの映像・音声の品質には拘りたいけれど、デスク上にモノを置かないスッキリとしたデスクは維持したい。この難題をクリアすることを目指して、自宅の作業環境を大きく見直すことにしました。

部屋のレイアウトを再考する

すっきりデスクを維持するためには、デスク上に極力モノを増やさないのが絶対的な正義です。ということで、まずはオンラインミーティングにおける音声と映像の問題点を、追加機材ではなく部屋のレイアウトによって解決することを試みます。

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左が今年の3月までのレイアウト、右がそれ以降のオンラインミーティング向けに最適化したレイアウトです。

考慮すべき点は3つ。

まず、環境ノイズの発生源となる空調設備からデスクを離します。室外からの音を除けば、環境ノイズになりやすいのは空調設備の動作音。この部屋ではエアコンと空気清浄機がそれに該当するので、マイクを設置するデスクから距離を置きます。

次に、デスクおよびカメラの正面が壁になるようにします。以前のレイアウトでは、正面にあるベッドがどうしてもカメラに映り込みます。これだと生活感丸出しでプロとしての威厳に関わるので、壁が正面になるレイアウトにしました。Zoomの背景画像は甘えです。

最後に、自分の正面が明るくなる光源配置にします。一般的にデスクは壁に向けて配置しがちですが、それだと自分の背後の方が明るくなり、正面が暗くなってしまいます。デスクライトを置けば解決しますが、モノは増やしたくありません。新しいレイアウトでは窓と照明の両方が正面になるので、自然と明るくなります。

ディスプレイとMac

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先述の通り、もともとはiMacを使っていたのですが、先日Apple Siliconが搭載されたMacが発売されたタイミングでMacBook Proと外付けディスプレイの組み合わせに移行しました。オールインワンのiMacの方がデスクはスッキリしますが、M1チップの魅力には敵わない…

ディスプレイはApple Storeで販売されているLG UltraFine 4K Displayです。27インチの5Kモデルも存在しますが、そちらのモデルの上部ベゼルに内蔵されているカメラだと品質が不十分なので、カメラがない代わりにベゼル幅が均一なこちらにしました。

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4Kモデルは5KモデルよりもThunderbolt 3ポートがひとつ多く、USB 3ポートも3つあるので、USBハブとしての機能を兼ねることができます。背面に無駄な装飾がなく、とてもスッキリしているのも魅力です。デスクの背面が見える配置なので、背面の美しさは重要。

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アームはColebrook Bosson SaundersのFloです。デスクすっきりマガジンでお馴染みのAndoさんが絶賛されていたアームですね。実際に美しいだけでなく、ケーブルマネジメントがとても優秀です。

さて、このディスプレイに接続するMacがどこにあるのかというと…

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案の定と言いますか、デスク裏にあります。M1チップ搭載のMacBook Pro 13インチモデルです。隣にあるのはこの白いデスク(fantoni GX)用の専用配線トレイで、このトレイを固定するボルトにAmazonで購入した適当な長さのステンレスステーを挟み、その上に乗せています。

デスク天板を支える2本のレールの間にすっぽりと収まるので、ステーに乗せているだけですがズレ落ちる心配はありません。以前のMacBook Proであればこの位置だと排熱が気になりますが、幸いM1チップ搭載のこのモデルは滅多に熱くならないので、この位置での運用でも問題ないと判断。配線も簡単です。

マイク

マイクについては、こればっかりはデスク上から消すわけにもいきません。

デスクをスッキリさせることを第一に考えるなら、AirPodsなどのBluetoothで接続するヘッドセットが候補に挙がります。しかしBluetoothはプロトコルの制約上、どうしても相手に届く音質が大きく劣化してしまいます。Macの内蔵マイクの方がずっと良いです。

音質のことを考えると、マイクをMacと有線で繋ぐことはマスト。しかしコードはデスクすっきり業界の天敵です。マイクやヘッドセットを使用するときだけ繋ぐ…というプランもありますが、毎日行うミーティングの度にコードを抜き差しするのは流石に億劫です。

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そこでマイクアーム、BlueのCompassを採用しました。このアームは本体にマイクのケーブルを通すための溝があり、加えてよくあるアームのように関節部のバネが露呈していないので、かなりスッキリとした外観になります。アームとしての性能も素晴らしく、どんな位置でピタッと止まってくれます。

どうせアームを使って有線で繋ぐなら、マイクも良いものを、ということでShureのダイナミックマイクSM7Bを導入しました。SM7Bはナレーションなど音声収録に最適化されたモデルで、落ち着いた音が喋りによく合います。

ちなみに購入のキッカケは、今年の6月に行われたWWDCの後、AppleのCraig FederighiがMKBHDのPodcastに出演した際に使っているのを見て一目惚れしたからです。かっけぇ。

Zoomなどの自動ノイズ処理と圧縮が前提の環境だと、SM7Bは明らかにオーバースペックなマイクです。ただ、エア・サスペンション式衝撃アイソレータとポップフィルターを内蔵しているので、他にゴテゴテとオプションパーツを付けなくて良いのはデスクすっきり的には大きなメリット。

問題は、SM7BはUSB互換のマイクではないので、Macとの接続にオーディオインターフェースを必要とする点です。オーディオインターフェースはケーブルのハブとなる上、点灯するLEDランプやメカニカルな入力系を持つ存在感のあるデバイスなので、これをデスク上に置くのは避けたい。

そこで目をつけたのが、audientのEVO 4というオーディオインターフェース。

一般的なオーディオインターフェースは、高さが低い一方で幅と奥行きのある、平な形状をしています。例えば、Amazonで売れ筋のエントリーモデルであるBehringerのUM2は、本体寸法がW128mm/H46mm/D118mmで、奥行きが12cm近くあります。

一方でEVO 4の本体寸法はW140mm/H67mm/D67mmで、高さが少しある代わりに奥行きがわずか7cm弱。この寸法のおかげで、先述のデスク裏の配線トレイ内に収めることができます。

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加えて、EVO 4はMac側のソフトウェアで全ての入出力をコントロールできるので、コードの抜き差し以外で本体にアクセスする必要がなく、気兼ねなくデスク裏に隠すことができます。まさに今回の用途にピッタリのデバイスでした。

SM7Bは入力レベルのかなり小さなマイクで、そのままだとZoomなどへの出力ボリュームが足りないので、sE ElectronicsのDM1 DYNAMITEというマイクプリアンプを間に挟むことで信号を増幅しています。

カメラ

最後にカメラについて。

当初、iMacの内蔵カメラを使っていて最も問題となったのは、明るさを十分に確保できない点でした。特に照明を背にするような配置だと、一般的な内蔵カメラでは顔が真っ黒…なんてことも多いのではと思います。

転送過程で圧縮され、参加人数が多い場合には表示サイズも小さくなるオンラインミーティング環境では、カメラの解像度自体はそこまで重要ではありません。ただ、そもそもの画が常に逆光で表情がわからないレベルだと流石に厳しい。

デスクライトはこの問題を解決する手っ取り早い方法ですが、やはり存在感があるのでデスクすっきり的には避けたいところです。私はしばらくの間、ミーティング中だけディスプレイの明度を最大にして照明代わりにしたり、Snap Cameraのフィルタを使ってソフトウェア側で明るくしたりしていました。

やはり理想的には、暗所でも鮮明に撮影することができる優秀なカメラが欲しいところです。しかし一眼は少し大袈裟だし、そもそもデスク上に常設するにはライトと同様に存在感がありすぎる。そこでiPhoneの出番です。

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iOSエンジニアという職業柄、自宅には大量のiPhoneが眠っているので、これをMacのカメラとして使ってしまおうというわけです。これを実現するためのアプリはいくつか存在しますが、私は6月にベータテストに参加して以来、ReincubateのCamoを使っています。既にM1チップもネイティブ対応済み。

Camoは無料でも利用することができますが、ライセンスを購入することでiPhoneに搭載された任意のカメラを選択できるようになります。iPhone Xや11 Proなどに搭載されているTelephotoカメラを使えば、視野角を絞れるので特にオススメ。一般的なWebカメラは広角すぎる。

あとは、このiPhoneをどうやって固定するか。当初はサンワサプライのカメラ用アームを使ってマウントしていたのですが、先述のFloやCompassと比べるとやや野暮ったい。それにカメラはマイクの反対側に置きたいので、デスクの別の位置から追加でアームを生やすことになってしまいます。

どうにか追加のアームを生やさずにiPhoneをマウントできないものか…と思っていたところで、こちらの記事に出会いました。ディスプレイのVESAマウントから延長ポールを伸ばしてカメラをマウントする、という方法。

ディスプレイの裏からアームを伸ばす、ということは何となく考えていたのですが、この記事の中で紹介されていたSLIKのスライディングアームを使えばカッコよく実現できそう!

モニターアームの耐荷重的にも大丈夫そうだったので、早速導入しました。

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FloモニターアームをSmallRigのクランプで挟み、その上にSLIKのスライディングポールを設置。ポールを伸ばした先に同じくSLIKの自由雲台を取り付けて、そこにiPhoneを金属製のホルダーで固定して完成です。

これでデスクから追加のアームを生やさずにiPhoneをマウントすることができました。おかげで天板の上はかなりスッキリ。やったね!

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おわりに

すっきりとした外観を維持しながら、オンラインミーティング用の設備にも妥協しない、リモートワーク時代のニーズに合ったデスク環境を構築できたのではないかと思います。

ただ、自宅でミーティング用の設備を揃えるというのは、ある意味では虚しい投資と言えます。その恩恵を当の本人自身が直接感じることは稀だからです。マイクの音質が良くなったところで、その恩恵を受けるのは主に通話相手の方ですからね。

しかし一方で、自分の環境に不備があることを実感しにくいのも事実です。例えば衣擦れによるタッチノイズがあったとして、喋っている本人はほぼ100%気づきません。相手がそれを指摘することで、初めて自分の環境に不備があることに気づきます。積極的にフィードバックを行っていきましょう。

自分の生産性のためではなく、仲間と互いに気持ちよく仕事をするために投資をする。…ということを大義名分に、結局は自己満足のためにデスクの整備に勤しんだ1年でした。デスク沼は深い。

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