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ともだちインタビュー04ひろとさん:  笑いのとれる、リーダーになりたい

お互いの第一印象が独特だった。
向こうからは「こいつヤバすぎて怖いな。スタッフとけんかし始めるんじゃないか」と。いやいやいや、なんで?
こちらからの印象は「出た、なんでも持ってる男!」高身長、イケメン、イケボ(最も大事)、大手商社に勤めるエリート。モテ界の天竜人や〜。

そんなふうに思っていたので、彼とはコーチングの場で会えて良かったと心から思う。そうでなければ、彼の印象もそういう「記号的」なものだけで終わっていただろう。そういうものから離れてようやく、人と人としてわかり合える。

しゃしゃるのはダサい

お笑いが好きだ、という話を聞いた
何週間後かに同じクラスを受ける事になった。
そこでの自己紹介で、
笑い取る為に何かやったら?
と提案して盛り上がったが
結局彼はやらなかった。
「いや、しゃしゃって滑ったらダサいやないですか」
なるほど、ダサいとはつまり
その時にラップ自己紹介して
みんなをポカーンとさせた僕の事ですね、と。

「昔からリーダータイプではなかったんですよ。
 みんなこれやるぞーみたいな。」
どちらかと言えば、周囲を見渡しながら
面白く弄ろうとか、そういうタイプだった。

流されていた

中学時代に「いじめまわし」があった。
誰をいじめるかが
小さなきっかけでコロコロ変わるという
子ども時期ならではの残酷な文化。
いじめる側からされる側に、一瞬で変わったんですよね
いじめられないように立ち回っていたはずが
全くそんな事関係なく、順番がやってきた。

「もう周りに合わせるんじゃなく、言いたいこと言おうと思って」

人生の挫折

として中高で没頭した野球部を挙げた。
野球も勉強も有名な中高大とエスカレーター
(それでも第一志望でなかったらしい。贅沢な)
「365日中360日練習」していた。

しかしピッチャーは怪我で断念
外野に移るもまた怪我をした。
「結局代打しかできなくなった」為
高校ではレギュラーになることができなかった。

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しかし彼の挫折はより複雑だ。
「登録選手って18人しかいないんですよ」
その18人にはずっと選ばれていた。
しかし、最後の最後に、外された。
ショックでしたけど、同時にホッとしていた

怪我して代打しか出られない奴が
 守備もできて同じように打てる
 同級生を差し置いて
 出してもらえているなんて。

 試合で打ててたならともかく
 そうでもなかったし」

いつの間にか罪悪感になっていた。
野球は高校まででやめた。

元来真面目やと思います

受験無しで上がった大学では法学部へ。
弁護士資格を取ろうと必死で勉強したが
途中で「これやってどうすんねやろ?
と思ってしまって」断念。

新卒で入った大手商社では経理に配属。
その時も必死で勉強した。
「元来真面目やと思います。
 特に周りに優秀な人が多いと、
 あ、俺もやらなって」

 落ち着いた声の心地いい京都弁。
「でも飽き性といえばそうかもしれないです。
 1つの事だけ勉強っていうより
 あれもこれも知りたい、と」

「成長」とか「前進」とか
やっぱりその実感が好きなんでしょうね
勉強や事業の内容そのものより。」

弁護士資格も国際会計資格も取れなかったが、
仕事しながら勉強は続けた。

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違って当たり前の世界

その後刺激を求めてペルー転勤を望んだ

「外国住んだのが初めてってのもあって
 めちゃ勉強になりました。
 価値観が全然違うから」

定時ぴったりに帰ろうとする現地社員
それを叱る上司を見て
「これではあかんな」
良いチームとして働くには
相手が何を大事にしているかを
理解してリスペクトしなくては。

家族や友人をめちゃめちゃ大事にする一方で
 世間体や他人の存在はどうでもいい

それぞれの違いを理解し
どうやったらうまくいくか考える。
今でも活きている「相手を理解する」大事さ。

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「信頼の複利って絶対あって」

ペルーから帰ると
できたばかりの部署に配属された
前の上司には「仕事あるの?」
と冗談を叩かれたが

500社を超えるグループ会社の
経営改善をコンサルをする部署。
業種構わず関連会社に乗り込み
徐々に成果を出して急成長した。

「最初はやっぱうざがられたり
 何ができるの?て目で見られるんですが
 信頼の複利を得て入り込むんです」

どうやって?
「西川きよしじゃないですけど」
小さな事からコツコツと
困っているのは事実なので
きちんと話をしたり
「雑巾がけからする」気持ち

ビジネスの基本はやはり信頼
これなくして何もできないと学んだ。

部内はコンサル出身者が多く
新卒プロパーのひろとには無いものが多い。
「みんなそれぞれ武器が違って
 しかも凄いから、
 自分が何か一個磨くよりも
 この多様な人達の強みをどう活かすか」
を考えるようになった。

その先に見えたのがマネジメント、
そして

「リーダーになりたい」

性格上、自分は合わないと思っていた。
学生時代も、野球部でもそうだった。

しかし大学に一度、
リーダーとしての快感を得た事がある。
ゼミのディベートでグループをまとめ
全員が均等に喋る、という条件の中
それぞれの個性を活かして勝てた。

向いてないはずのリーダーで役に立てた。

今目指すのは、自分らしいリーダー
「最近のリーダー像は変化してきている。
 サーヴァント型みたいなのもあるし
 自分でもやり方あるんちゃうかなと」

チームで働く力強さと
「器用貧乏な自分」が
出せる価値を考えた結果だ。

「自分に一個を突き詰める根気強さはないけど
 面白い掛け算をしていきたい

・出身の経理知識
・ペルーでの国際経験
・コーチングなどマネジメント
その先に自分らしいリーダー・経営者
の道があるのではないか。

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身一つで感動させたい

学生時代「しゃしゃらないよう」しながらも
絶対に譲りたくなかった
「クラスで一番おもしろいやつ」の座

元々お笑いが好きで、
今は落語や講談にまで興味を広げる
「身一つで人に感動させられる人に憧れる」
と以前、酔った勢いで言っていた。

笑いに限らない。
感動させたいり、背中押させたり
心を震わせられる人になりたい。
じゃあ、経営者になって
その経験を講演会とかで
何百人にできたら最高?
「そんなん、たまらんすね」

でもそのためにはしゃしゃらないとよ?

複雑な顔で同意した
「確かに、そうかもしれないですね。」

「成長」と「前進」

の為に、彼は自分の殻を破れるだろうか?

少し前に、嬉しいことがあった。
「野球部の同級生と飲んだんですよ。
今でもみんな当時の思い出や
プレー内容覚えてるんですよね。
僕も全打席覚えてます。」

3人くらいになった時に
ふと誰かが言った。
「ひろとが打席に立った時は
 みんな盛り上がってたよ。
 いける、っていう気持ちになった」

罪悪感にさいなまれていた自身とは裏腹に
チームメイトは、彼を受け入れていた。
「気づくのめっちゃ遅いやんと
 思いましたけどね」
嬉しくてたまらない、そんな言い方だった。

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あとがき

最初書いたとおり、
彼の第一印象は「なんでもできる、持ってる」
でも同じ時間を過ごす内に、
その大きな身体に時々宿る「弱くなる目」に気づく。
記号的な印象ではけして見えてこない
皆傷ついて、抗って、前に進んでいる。

彼は「希少な存在になりたい」と言った。
いじめも野球も弁護士もペルーも経たその先に
優しさと真面目さとユーモアがあって
自分が目指すリーダー像があって
「あなたは既にユニークな存在になってるよ」
と言いたい所だったけど
邪魔になりそうな気がして控えた。

だからそんなに
「大丈夫すか?今の俺の話面白いですか?」
みたいな目をしなくていいんだって。
かわいいな。


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