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本のまとめ:0ベース思考

著者:Steven D Levitt, Stephen J. Dubner 訳:櫻井裕子
出版:ダイヤモンド社


この本の原題は「Think like a Freak」
「フリーク(頭がおかしくなった人)のように考えよう」です。
0ベース、なんて綺麗な表現になっていますが
実際は「周りから頭おかしいと思われるくらいで丁度いい」
という著者のユーモアが詰まった本です。

一言でまとめると

人って実は不合理だし、
世の中のそれっぽいものって大体あてにならないぜ、っていう本。
そういう物に騙されず、
なんでも疑って検証してみる事が大事というのがメッセージ。
けして「こうすればうまくいく」みたいなハウツー本ではないです。
ヘンテコノミクスとかに近いかも。

間違っても

副題にあるように「どんな問題もシンプルに解決できる」ようにはならない。完全に釣りタイトル。

でも面白い

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サッカーのPKで最も成功率が高いのは「ど真ん中」
という事を知っていましたか?
ほとんどのキーパーは山を張って右か左に飛ぶので、左右より真ん中に蹴る方が7%確率が上がるそうです。
しかし実際真ん中に蹴るキッカーはほとんどいません。
理由は「そもそも右か左に蹴るもの」と思っていたり
「失敗した時の精神的なダメージや風評」を気にするから。
高度なデータが交わされているトップスポーツの世界でも
人間の心理から逃れる事はできません。
世の中にこういった事は多い、という話です。


因果関係、相関関係の嘘

結婚している人が幸せそうなので
結婚したら幸せになる。

今の今そこまで考えている人は減ってきたかもしれませんが
そう思っている人もいるのではないでしょうか?
しかしある実験によると
「結婚したから幸福なのではなく、
そもそも幸福度の高い人達の方が結婚する確率が高い
のだそうです。
結婚が幸せに関連するようでしない。
こういう例もたくさんある、という話。

↑あくまで本に書いてあった内容です。
何が幸せかは、あなた次第!


専門家の予想

専門家の言うことはあてになるか、という疑問に対して
2つの実験例が示されています。

1,政治、経済、社会学者など各分野の専門家集団に
社会や景気の未来予測をしてその結果を比べた。
96%が大学院を出ている地位も名誉もある人々だったが、
その彼らの未来予測の的中率は
「チンパンジーのダーツと変わりなかった」。
またどんな問いにも「今のままです」と回答する
「外挿アルゴリズム」より正答率が低かった。

2,ロビン・ゴールドスタインのワイン実験
専門家から素人まで全米で500人に
523種類のワインの覆面評価をさせた。
1本1.65ドルの安物から150ドルの高級品まで揃え
美味しい、まずいなど点数化してもらった。
結論:「高級なワインの方が少しだけ美味しくない」という評価に。
これはワインの専門家でも素人でも同じだった。

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未来を的中する人の秘密

ちなみにあなたも簡単に未来を的中する方法がある。
1,周囲が驚くような予測を次々とする。
2,当たった時はそれを大々的に喧伝してまわる(つまりドヤる)
3,外れた時は黙っておく。人々はあなたがどんな予測をしたかは、正直覚えていないので何の問題もない。

よって、「未来が予測できるかのうように振る舞う人」
が簡単なトリックによって出来上がる。
因みに実際の実験では
「物事を断定する人」と
「自信満々に振る舞う人」の予測は
特に外れやすい
とのこと。

この2つの結果を組み合わせれば、
あなたが誰を信じて信じないのかの
ヒントになるでしょう。

誰の顔が思い浮かびましたか?


多くの場合、事実なんてどっちでもいい

というエピソードがあります。
大企業とピッツバーグの少年の話。

消費財を売る全米トップの企業幹部が
全米に流しているCM効果とチラシの効果に自信を持っていた。
「特にCM効果はチラシの4倍以上だ!」
聞いてみると、CMを流すのは年数回
ブラック・フライデー、クリスマス、父の日だ。
この日の売上が異常に高いので、CM効果があるのだという。
しかし、この3日間は元々売上が高い日だ。
「本当にCMの効果かどうか示すために
例えばある1日CMをやめてみたらどうですか?」
「ふざけるな。そんな事をしたらクビになる!」
また新聞の折込チラシを20年続けている。
「効果は抜群だ」
「でもやっぱり、チラシのお陰かはわかりませんよね。
地域を2つに分けて、チラシの効果を見てみたら?」
「ピッツバーグの少年じゃあるまいし、
そんなことは絶対にできない!」
「??」
「ある日若いインターンがピッツバーグのチラシを
取りに来るのを忘れたんだ。
お陰でその週はピッツバーグだけチラシがまけなかった」
「それで?」
「少年はクビだよ。もちろん」
「いや、ピッツバーグの売上は?」
「え?」
調べたところ、ピッツバーグの売上に全く変化は無かった。
「じゃあやっぱり、チラシの効果があるかどうか
検証した方がいいんじゃないですか?」
「バカ言うな。そんな事したら私がクビになる」

事実と向き合える程、人は冷静ではない。

とこのエピソードが教えてくれる。
唯一の客観的事実は、
クビになったピッツバーグの少年によるものだが
それが活かされることはなかった。

こんなシンプルな検証ですら、行われない理由
・習慣(ずっとそうしてきたから)
・方法がわからない(実際は簡単な実験なのにしたことがないから)
・誰かが「広告の効果は実はわかっていない」と社内で言わなくてはいけないから

3番目の理由が、実は1番強かったりする。


人類が最も言いたくない言葉

はI love You、、、ではなく
I don't know(知らない)だ。

ある子どもたちへの実験で
「答えがわかりようのない」クイズを出した。
76%の子どもがそれにYESやNOと答えた。
ほとんどの子が「I don’t know」と言えなかったのだ。
彼らにその後「知らないと言ってもいいんだよ」と促すと
ようやく彼らは答えがわからない事を認めた。

子どもですらそうなんだから、
プライドまみれの大人がどうなのかは
考えるまでもない。
政治経済の専門家も
ワインのソムリエや通たちも
大企業の幹部も
「本当のところはわからない」
と言えないまま世の中は進んでいる。


常識を打ち破った1人の日本人

このアメリカで書かれた本において
「ゼロベース思考」の成功者として
ある日本人の青年の話が取り上げられている。

彼は三重県に住む貧乏な学生だった。
電気代も払えない有様だったが
同居した彼女が賞金目当てで勝手に応募した
大食い大会に出ることになった。
彼は全く大食いでもなんでもなかったが
生活のためにあらゆる工夫をし、
その大会に優勝。それどころか、
アメリカで開かれたホットドッグ早食い選手権に出場し
全くの無名ながら優勝してみせた。

優勝者が身体の小さな日本人である事もだが、
何よりも人々を驚かせたのはその記録。
これまでの世界記録25本を遥かに上回る
50本のホットドッグを時間内に食べきった。

そう、彼がかつてアメリカで最も有名な日本人
とも言われた「コービー」こと小林尊だ。

彼はただの勢い自慢だった早食いに
実験と検証を持ち込んだ。
・パンとソーセージは別で食べた方がいい
・パンは水に浸す
・胃を動かす為に独特の動きをする
など。全てが非常識だったが
彼の「0ベース」で検証した方法が偉大な記録を生んだ。

また彼はそれまでの記録25本は
「大した数ではない」と思い込んだと語っている。
そして彼の新記録樹立によって
以降他の挑戦者も記録を大きく更新したのだ。
「限界は脳みそが決める」の一例だ。


本当に効くインセンティブ

「影響力の武器」で有名な
ロバート・チャルディーニが
カリフォルニア州である実験をした。
省エネを促すために5つに分けたメッセージを
各家庭にカードにして配った。

1,エネルギーを節約しましょう(通常)
2,環境保護の為に節約しましょう(道徳的インセンティブ)
3,社会のために節約しましょう(社会的インセンティブ)
4,エネルギーはお金の節約になります(金銭的インセンティブ)
5,近所の方はエネルギーを節約しています(群集心理インセンティブ)

この実験の面白いところは、
事前に電話で聞き取りも行ったところ。

電話で「どんな理由で省エネをするか」と聞いたところ、
多い順に2>3>4>5となった。
つまり、道徳的な理由が1番高かった。

しかし実際カードを配った後に電気使用量を調べると
1番節約したのは、、、
5番の群集心理インセンティブだった。
自由の国アメリカでも
取り立ててリベラルなカリフォルニア州で
こうなのだから、他の地域でもそうだろう。
人は「みんな」に弱い。


インターネットの詐欺メール

誰もが何度も見たことがある、あの詐欺メールの秘密。
「あなたに遺産が入ります」とか
「同じ名字の○○さんが死んだので」とか
「少しの手数料で大金が」とかとか。

あの手のメールは、常に「すぐにそうとわかる」
程に単純でくだらない内容だ。
なぜもっと信憑性があったり、
現実味がある内容や金額じゃないのか?

実はこれにも非常に巧妙な工夫がある。
それは、、、

めちゃめちゃおもしろいので本を買って読んでみてください。


最後に

著者は「Think like a Freakするのに1番大事なのは
必要でない事をやめることだ」と断言しています。
多くの人が辞めたほうがいい事をダラダラと続けていると。

やめるべきことを続けてしまう理由
・やめる=失敗だと思っている
・サンクコスト意識が働く
 (=これまでに使ったお金や時間がもったいない)
・やめることによる機会損失を考えていない

また、どう考えても、やめるかどうかわからない問題は
いっそのことコイン投げで決めても一緒だと。
自分の中にある偏見や恐れ、なんとなくの気持ちをやめる事が
Think like a Freakの第一歩だと言っています。


悩んでいる方、目標に近づきたい方はコーチングを。




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