見出し画像

飼い主たちと行く百万石の旅

 突然だが旅行が好きだ。非日常が好きなのである。たぶん元々日常への順応性が高いので、常にちょっとした変化を求めがちなのだと思う。住んだことがある土地はすべて地元感覚だし、観光地なら滞在2日目で道案内ができる(地図に強いだけというものある)。
 本来的に音楽ファンと相性が良い趣味かもしれない。

 10月21日は滋賀でザスト(当然チケットは外れた)、北海道でDIESELのクラブイベントがあった。22日は福岡でリリイベ。実はどれにも行ってなかった。というかそのへんの用事が入る前に大事な大事な用事が入っていた。
 秋口の加賀。ほらもうこのワードで心躍りますよね。はしゃいじゃうよね。
 6月のミリオンロックフェス以降何かとご縁のある金沢のお友達と遊ぶべく、夏から約束していた旅が漸く実現した。しかも夏に夢者修行会場で意気投合したお友達も誘っての三人旅である。古来より三人旅は楽しいと相場が決まっている。素敵ですね。

登場人物
わたし→WHHのRYOJIが好き。今回の旅ではウルフくん(NICIのオオカミ)を帯同。最年長。

Eちゃん→WHHのSUZUKIが好き。今回の旅ではちいかわのシーサーを帯同。いろいろコーディネートしてくれた。

Sちゃん→WHHのSUZUKIが好き。今回の旅ではお手製のぬいとか白ネコとか色々帯同。行き帰りの車中も一緒だった。

 まずそもそも行きの特急から虹が出ていて幸先が良かった。1日目の天気は正直めっちゃ悪かったけどこの天気悪いのが生んだ抒情的な光景は数知れない。特に北陸はなんか空気感が北欧のそれに似ていて曇り空の彩度が最も美しい光沢を建物に生じさせているし、晴れて澄んだ空にもなにか銀色のフィルターでも通したような独特の色味がある。いい。全てがエモい。そして寒い。確実に関西より冷える。言うておんなじ日本国内でしょとたかを括っていた民、びびる。なんなら1日目はアンクル丈のパンツだったから冷えて座った瞬間摩ってた。若くない。
 2.5hほどの往路はSちゃんと8割WHHの話をして2割ほど共通フォロワーの話をしていた。体感まじで秒だった。1人で行くと泣きそうなくらい長いから今度から北陸行くときは絶対誰かと一緒に行きたい。

 無事に到着後すぐに現地でEちゃんと合流し電車で移動。最初の目的地は寿司屋。事前予約もなされていて完璧でした。ありがとうEちゃん。
 見てくださいこのカニ!(テレ東構文)

カニは奥! イクラのインパクトもすげぇ!

 いやカニだけじゃなくてエグい。
 これで4400円/一人前。金沢の経済どうなってんだ? 世の中には「東京にいたら何でも食える」なんて寝たこと言ってるやつも多いけど(暴言)、ほんと海鮮に関しては足使って現地来たやつの勝ちだと思う。かの日本一のカニ俳優・吉沢亮も北陸にきて30万のカニ買ってた。まじで日本海沿岸部の海鮮はレベルが段違いです。瀬戸内の民が言うんだから間違いありません(瀬戸内の海鮮はまた違ってこれもめちゃくちゃ美味いです)(東京に居ても食えません)。
 玉子も見えにくいけど間に酢飯が挟まっております。おにぎらずのレベル255って感じ。

 うまかった。寿司でお腹いっぱいになったのは子供のとき以来です。

 食後はタクシーで近隣の西田幾多郎記念館に移動。以前ミリオンロックフェスに行ったときに鈴木大拙館にも行ってまして、その時から西田幾多郎との関係性エモいなあと思っていたのですが、今回もやはり過積載レベルのエモ案件でした。
 終生の友っていい響きだよな。
 西田幾多郎の草稿の字が全体的に可愛くて読みやすくて教壇に立つ人の生き様を感じるなどしました。
 中でも娘たちと一緒に子犬を抱く西田幾多郎の写真が良かったです。
 どうでもいいけど最近松山に旅行したときも坂の上の雲ミュージアムに行きまして、両館の構造や建築様式が非常に似ていました。やはり安藤忠雄建築でした。安藤忠雄建築わたしは好きですが(地元の児童館もやはり安藤忠雄建築だった)、日本は安藤忠雄建築に頼りすぎじゃないかな? どこもかしこも安藤忠雄でいっぱいだな? いや私が好きな路線があまりに安藤忠雄なのか? 

建築物にピントを合わせろよ

 こういうのあまりに好き。好きすぎていのちと撮ってしまった。

 そもそも何でここにきたかってこの造形がどう見ても「もう傘はいらない」だからです(見つけてきたEちゃんさすがです)。
 由来は西田の「円」の発想だそうで、円は井戸でもあり窓でもある模様です。ウルフも美しく四等分された円みたいだよね。テトラルキアって感じ。

井戸であり窓であり円

 この窓から見る灰色の空がとてもよかった。
 この記念館自体が丘の上にあるんですが、丘の斜面にこうして歩道が沿って舗装されているので、夜なんかはライトアップされて綺麗なんだろうなと思いました。
 哲学の展示館は鈴木大拙館もそうですがめちゃくちゃ珍しいので、いるだけで思索を巡らせることができそうでとても好きです。私がたとえ大学で唯一落とした単位が哲学の授業だったとしてもです。

 思う存分写真を撮ったのち再び金沢市内へ。
 金沢市内は観光するのが2度目なんですが、前は近江町市場と兼六園をぼーっと歩いて金沢城を冷かしたくらいのもんだったので、今回は香林坊と竪町、片町あたりを歩きました。

プラハ市街にありそうな外見

 尾山神社の近くの雑貨屋さん。ジブリの店みてぇ〜と思ったら店内BGMがジブリで期待を裏切らなかった。ハンドメイド雑貨とアンティークアクセサリーを売っていました。手が出なかったアンティークの値札に「西ドイツ(原産)」と書いてあるやつがあって喉から手が出るくらい欲しかったです。

「古本」。私の好きな言葉です。

 立ち寄ろうとした古書店。なんか古本屋の「臨時休業」って究極にそれっぽくない? これたぶん私の偏見なんだけど古本屋ってやたら予想外の休業やってるイメージがある! 棚卸しが大変だからかな
 次の機会にリベンジですね。

 金沢で店舗展開している香水屋さんにも行きまして、この日の昼間に調香師の方が実際に来ていたらしくお店のインスタにその模様が上がっていました。フレグランスめちゃくちゃ好きなんだけどやっぱモノがいいとそれなりのお値段するからね〜! 即決購入できなかった悔しさ…
 大西洋の海をモチーフにした香りが落ち着いていて塩の気配が強くて、それでいてまろやかで品があって、本来マリンノートがそこまで得意ではない私にマリンノートを持つならこれだろと囁きかけてきたので(※きてない)いつか絶対に買おうと思いました。香り見本もらってきたけどほんとに充足の香りがする…大西洋の気楽で広大で明るくて眩しいのに外洋特有の波の高さに攫われそうになるあの底しれぬ不穏な明るさを感じた。日本のどの海とも似ていない。


配膳の時にこの角度になる店員さんはいる

 夜は焼き鳥。店員さんみたいなアクスタ。ダメです!!!(何が)
 めちゃくちゃ美味かったんですがそれなりに突っ込んだ話もしながら3時間居座りました。最低。鶏スープが忘れられない味してたなあ。なんであんなに鶏だしって美味いんやろ。

 ホテルに戻ってから夜通しとまではいかないけど深夜2時半くらいまでは躊躇なく話し込んだ。
 いやーDIESELアフパの模様をTLで散見しながら濃いめのLOVEREDとキャイキャイ言うの楽しすぎますわ
 EちゃんもSちゃんも比嘉の女だから新衣装に狂ってて楽しかったし、人のこと笑ってたら他の方が流してくれたオオカミみたいな亮司くんに無事しにました。見るたびに神格のある生き物みたいになっていくのビジュアル優勝してて大好きだよ! たとえ中身が中1男子でも!!!
 ちなみにいつも光の速さで寝落ちするんですが、寝ようか〜となってから布団に入って以降の記憶は本当に一切ありませんでした。

 翌朝。前日に買っていた地元有名ベーカリーのパンを食べる! パン食い人間! ちなみに前日買う時に関西人ではないお2人には本当に「明日のパン」が通じなくて感動しました。明日のパンは…明日のパンやん…! 詳しくはX(Twitter)にて「明日のパン」で検索してください。ちなみにくるみパンを買った。くるみが好き。
 2日目はノープランだったので着替えて身支度しながらひがし茶屋街に行くか近江町市場行くか相談してましたが、このノープランぶりでも十二分に楽しめる今回のメンバーめちゃくちゃ好きだなと思いました。とりあえずまずはSちゃんが探してくれたおむすび専門店へ。


一品のような顔をするウルフくん

 このしゃけマヨおにぎりがマジでおにぎり観を塗り替えられる美味さだった。おにぎりを見る目を改めようと思います。セットの唐揚げと味噌汁も美味しかったんだこれが…米って美味しいんですね…そう石川で思ったのがお米屋さんが多い。最近お米屋さんって見ない気がするんですが、街中至る所にお米屋さんがあるのが嬉しくなりました。石川のコメしかも美味いんですよ! ひとつずつの粒が大きくて最高です。

 

見切れるウルフくん

食べてしかいないので雑貨屋を見学しながら適当にお腹を空かせて蕎麦屋へ。茶蕎麦がうまい。鴨肉が分厚い。治部煮の出汁がうまい。言うことないっす。


彩度をいじれば小説の表紙にできそう

 ひがし茶屋街、思ったよりもお茶屋街というより観光地化されていて、飲食店や雑貨店が多かった中にこのような朱塗りの格子戸が数多くあり、歴史を感じさせつつ風化させず新たな活気を生む、という街の矜持と懐深さを同時に感じさせられました。芸妓さんが行き交ったかつての街の空気とは異なるのでしょうが、国籍も世代も種族も問わず(犬がめちゃくちゃ多かった。天国)色んな生き様が行き交っていてたいへん示唆に富んでいました。素晴らしいことだ。

 

サイズ比較に便利なウルフくん

町屋カフェも悩ましかったところですが残り時間もあり早めに駅周辺に移動。見てこの堆く積まれたモンブラン。ウルフくんも身構えています。

 お見せすることは叶わないのですが先日ウルフの皆さんが横浜で撮影したiTunes特典のプリ画像に敬意を表して我々も同じ構図で撮ってきました。n年ぶり(nは任意の整数)のプリでどう見ても顔が引き攣っていましたが助けてくれた若い2人に感謝です。いやー狂ってたな。よくあれをテンポよく撮れたな彼らは。年長組あんま私と年変わんねえだろ。やっぱギャル度が高いです。尊敬の一言です。
 旅の最後の思い出がこの撮影になりましたが楽しかったですね。やはり持つべきものは理解あるお友達です。際どい話もたくさんできて楽しかった。年をとるたびに思うんだけど、表向きのお付き合いってやっぱ続かないしお互いしんどいんですよね。気負わず無理せず一緒にいることがストレスではない人と穏やかに過ごしたいものだと思いました。これはどんなオタクしてても言えることかもしれません。なかなか探そうと思ってできるものでもないし、なるべく逆に私自身も彼女らの負荷となってしまうことのないよう細心の注意を払いながら生きていこうと思いました。
 もちろん楽しい金沢旅行だったことになんの含みもなく、全てが最高だったのですが、その一方でこんだけ楽しいことに何かの欠点がないよう気をつけようとか、人生とは…みたいなこともたくさん考えました。要はそれだけ身を置いた環境が大事だったということなのかもしれません。失いたくないくらい必死で繋ぎ止めようとしてる。普段は物欲なんてほぼ皆無に近いし、去るもの追わずなスタンスに定評があるというのに。
 そういうのも含めて学びの多い旅でした。いや…重いな…何を書いてるんだ…とにもかくにも付き合ってくれたEちゃんSちゃんありがとうございます。紛れもなくお二方は「寝る前までくすくす笑い合える仲」のお友達です。どんな話もしてくれてありがとうございます。

 ちなみに別れ際に「明日(10/23)の発表でリリイベ関連の話があったらそこで次の予定立てようぜ」と話し込んでたんですが、配信限定シングルの情報解禁だったので改めて「忘年会しようぜ!」とお誘いしました。オタクと忘年会の予定があるの最高じゃないかな? 実現するかはわからないけど企画だけは止まらずやりたいと思います。

ちいさき命たちのミーティング


 以上です。

頂いたサポートは映画、文学、芸能、またはそれに類する業界に正規の手法で支払います。より良い未来を、クリエイターの幸福を、未だ見ぬ素敵な作品を祈って。