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「映画好きの20題」に勝手に答えた


 Twitterで回ってきたのでフォロワーでもフォロイーでもないけど勝手に応えることにしました。
 図々しさはいつもの通りです。

1 映画館で見て良かった映画  
  ボヘミアン・ラプソディ(2018)
  シン・ゴジラ(2016)
  T-34 レジェンドオブウォー(2019)

●ボヘミアン・ラプソディ
 イギリスのロックバンド・クイーンのフロントマン、フレディ・マーキュリーの伝記的映画、にしてクイーンの名曲をふんだんにフィーチャーしたミュージカル映画。日本中で話題になり、クイーンをリアルタイムに見ていなかった世代にも刺さる楽曲の良さとライブエイドの再現度の高さが好評を呼んだ。当時住んでいた地元にIMAXシアターがあったので結局IMAXで3回見たけど、音響の良さの価値を私に知らしめた一作でもある。すげーの。

●シン・ゴジラ
 「エヴァ」で有名な庵野秀明による特撮実写映画。これは遠征してIMAXシアターで見ました。特撮・怪獣映画は良い音響の大画面で見るに限るね! 楽曲の良さも光りました。早口で詰め込まれたセリフにはやや不向きでしたが。迫力はめちゃくちゃあった。

●T-34レジェンド・オブ・ウォー
 第二次大戦下のソ連戦車兵がドイツの捕虜になり、標的車にされながら脱出する過程を描いた戦争アクション映画。これは県内唯一の上映館であるシネコンで見たんだけど、砲撃の軌跡まで克明に描き出される変態的映像を余すところなく劇場で目の当たりにできて僥倖というほかなかったです。ガルパンが好きな人は見た方がいいし、この映画が好きな人はガルパンを見るべきです。

2 パーフェクトショットがある映画
  ダンケルク(2017)
  ジョーカーゲーム(2015)

●ダンケルク
 第二次世界大戦のダンケルク大撤退を描いた戦争映画。どこを切り取ってもベストショット。ダンケルクの海の灰色の波、灰色の空、灰色の街並みの美しさにこの上なくヨーロッパを感じる。なんでか知らんけど普段戦争映画を見ない人や洋画を見ない人でもやたらダンケルクだけは見たって人が多くて意外です。カテゴリとしては群像劇なので、誰かに移入してみるというより、概観してダンケルクという土地そのものに想いを馳せるのをお勧めします。

●ジョーカーゲーム
 戦間期、日本で秘密裏に組織されたスパイ組織「D機関」のスパイたちの姿を描く群像劇。実はアニメ化される前に実写化されてたんだな。原作ファンなので実写化されてめちゃくちゃ喜んだ口なんですが、この映画の最大の見どころは脚本でも演出でもなくセットと演者のビジュアルです。主演の亀梨和也がめちゃくちゃ早着替えをするシーンがあって、その美しさと言ったらちょっと邦画を代表する品質なので、食わず嫌いしてる人は見てほしい。ビジュアルが最強。

3 むしゃくしゃしたときに観る映画
  ハングオーバー!(2009ー2013)
  特攻野郎Aチーム(2010)

●ハングオーバー!
 独身最後の馬鹿騒ぎで記憶を吹っ飛ばした3人の男が前夜の失態の記憶を探りながら4人目の友人を探すコメディ。結構ネタとしてはブラックで、特に発言内容がやばすぎて今だったら炎上必至だなあというのが多い。ま、ギリギリ10年代ってところか。基本全員ディスり散らかされる。酒はクソ。絶対ブラッドリークーパーは今じゃこんな映画に出てくれないだろうな…

●特攻野郎Aチーム
 さりげなく一時期ブラッドリークーパーのしょうもない男の役が好きで総浚いしてたんですが、その時に見つけたこのリメイク映画が結構スカッとするんで好きです。There is no plan B.っていうキャッチコピーもいいね。イラク戦争を絡めてくるあたり2010年のアメリカ映画だなって思いますが、そのあとで「アメリカンスナイパー」のキャストを見たときは流石に冗談が過ぎるのでは? と思いました。

4 サントラが最高な映画
  トップガン(1986)
  オペラ座の怪人(2004)

●トップガン
 米海兵隊のエースパイロットと教官女性の恋、仲間との別れ、戦いを描いた青春活劇。映画本編もいいが主題歌挿入歌の良さと言ったら! Danger ZoneもTake my breath awayも未だにCMで使われているのを聴くので、紛れもない名曲。実際Berlinは良い。

●オペラ座の怪人
 これは正直どっちかというと演劇なんじゃねえかと思うが自分が擦り切れるくらい聴いてるのは映画版のサントラなので映画版のサントラとして挙げたい。ロンドンのオリジナルキャスト版でサラブライトマンのテイクも勿論素晴らしい。

5 脚本が最高な映画
●花束みたいな恋をした(2021)
 単純に私がもう坂元裕二の脚本から逃れられないなって痛感した作品で、脚本の巧みさを痛感するにはやはり最も理解度の高い母国語だろうということで、この作品。多くは語るまい。これだけの作品はおそらく、そう滅多に生まれるものではない。

6 撮影が最高な映画
  1917(2020)
  ラストサムライ(2003)

●1917
 第一次世界大戦の戦場を走る伝令兵の視点に立ったワンカット風映画。イギリスを代表する名優がたくさん出てくる。砲撃にさらされ、狙撃され、飛行機が突っ込んでくる、川に落ちる、突撃に加わりそうになる、逃げる、伝える。緊迫感あるシーンを二人の兵士の視点から丁寧に描いていて、没入感がすごい。この撮影技術は唯一無二では。

●ラストサムライ
 架空の明治日本を描き、世界中に「前近代の日本の美」をこれでもかと見せつけた作品。雪の降る里、書写山円教寺の静寂、篝火の夜陰に浮かび上がるニンジャと大凡白人の想定する「日本」の像を、インターネットも普及していない時代に世界に発信した格好のツールであり、一体何人の人間がこれをきっかけに日本に興味を持ったか、そして勉強を重ねてこの映画の描写に批判的な立場を持って見てくれているかを探れるスゴい作品である。参考程度に、私の知人の日本語ペラペラ勢はだいたいこの映画を知っていたし、大学院に進んだような人はみんな口を揃えて「あの描写はないわ」と言っている。それだけ日本のことを知る窓口になったのがすごい。何人の人生を変えたのか。映画として世に出てくれたことを感謝する名作。

7 何度見ても絶対笑う映画
  THE有頂天ホテル(2006)
  エイプリルフールズ(2015)
  ロマンティックじゃない?

●THE有頂天ホテル
 ホテルマンの男性を取り巻く様々な大晦日の事件をコメディ調で描いた名作。視聴する「日本タレント名鑑」。名優しか出てない。大真面目にアホなことしてるいい大人が大量に見られる。健康にいい。

●エイプリルフールズ
 エイプリルフールに交わらない人間たちのちょっとした嘘がほっこりさせるコメディ。これも視聴する「日本タレント名鑑」。名優たちが本気でやるコメディは最高だな。意外に幼き日の浜辺美波が出ている。松坂夫妻はご結婚おめでとうございます!

●ロマンティックじゃない?
 レベル・ウィルソン大好き芸人なんですが、きっかけは完全にこれ。惚れ込むわ。最高です。PG13指定のロマンティックコメディ世界っていう表現にまず腹を抱えて笑う。結末も含めて大好き。なんで日本では劇場公開しなかったんだろうか。

8 何度見ても絶対泣く映画
  ワンデイ 23年のラブストーリー(2011)
  ジョジョ・ラビット(2019)

●ワンデイ 23年のラブストーリー
 親友同士の男女が紆余曲折経て人生の半分以上一緒にいる話。良すぎてつらい。自分が今まで見たラブストーリーの中で最も自分に刺さった作品で、おそらく恋愛というテーマ性からこれ以上に自分を揺り動かすものはない。毎回引くくらい泣く。

●ジョジョ・ラビット
 ヒトラーユーゲントに入った少年ジョジョとその周りの大人たちのささやかで小さな戦争映画。泣いて笑って情緒が大変。戦争ってどういうこと、という答えがこの映画には詰まっている気がする。全部いい。本来、ドイツを舞台にした英語音声の作品は見ないんだけど、そういう拘泥を吹っ飛ばしてくる快作でした。これもなかなか超える作品がないだろうなあ。

9 なぜこの人はこの映画に出たのか
 ●アーノルドシュワルツェネッガー/ジュニア(1994)
 これ、多分一般の映画ファンよりも日本のインターネットのオタク(しかも女性)の視聴割合が高いんじゃないかと踏んでるんですが、どうでしょうか。私は割と嫌いじゃないです。 

10 どうしても許せない映画
 ●ラ・ラ・ランド(2016)
 基本的に映画は合うもの合わないもの含めて色々言う派閥なのでこれだけはっきりと否定すると怒られそうな気がしますが、この作品に関しては残念ながら描きたいテーマ性に真っ向から対立してしまったので私向けではありませんでした。夢を叶えることと添い遂げることを相反するものとして対置する感性が自分の嗜好と違っていたので致し方ない。ビターエンドだから言ってるわけじゃなく、単純に感性に合わない。楽曲も最初のは良かったけど他はあまり印象に残っておらず。世間の絶賛の割に合わなかったということで、この項目に。

11 頭が上がらない映画
  孤狼の血(2018)
  バルジ大作戦(1965)
  ヒトラー最期の12日間(2004)

●孤狼の血
 広島の架空の街を舞台にしたヤクザ抗争アクション。県警と右翼とヤクザ組織が何個か出てくるけど、どのキャストも濃くてやばくて最高。何回か何人か死に掛けてて最高。あんな大御所なのに容赦無く自分の死に姿を映像に残した役所広司という役者の凄まじさに頭が上がらない。原作めちゃくちゃ好きですが、この大胆な改変も許せてしまう。続編が公開されるときいて夜しか眠れません。

●バルジ大作戦
 「バルジの戦い」を題材とした古典的名画。ガルパン好きは絶対見てる(いや見ろ。今すぐ見ろ)。パンツァー・リートを歌うシーンだけ謎にドイツ語で良い。両軍の兵士の生き様に頭が上がらないし、屈指の名シーンを制作国のかつての敵サイドに挟み込む気概にも頭が上がらない。

●ヒトラー最期の12日間
 ベルリン陥落の模様を描いた名作。日本のオタクがよく知ってるやつ。例のシーンは割と序盤にあって、あとはひたすら陥落するベルリンの地獄絵図である。ベルリン市街戦のエグさを学ぶにはこれ。ナチスドイツのアレな感じを学ぶにもこれ。ブルーノ・ガンツの名演に頭が上がらない。

12 ベストドキュメンタリー映画
●大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院(2005)
 実在の修道院を取材したとんでもない名作。おそらく世界で初めてカメラが入った、劇伴もナレーションも一切ない、とにかく淡々とカメラが回る、祈り働く姿を映し取るだけ。ドキュメンタリーってこういうものだと思う。

13 ベストお仕事映画
●バックドラフト(1991)
 USJのアトラクションでも有名な消防士映画。兄弟愛、復讐劇、恋愛に消防士の使命感や鬼気迫る炎との格闘、消防士を題材にした作品の金字塔だと思っている。世の中いろんな映画があるけどこんだけ役者がマジで暑そうな映画も珍しい。

14 映画のベストヴィラン
 ●ヴィトー・コルレオーネ/ゴッドファーザー(1972ー1990)
  敵役という意味だと思うんですが、やはりゴッドファーザーシリーズは彼なくしては成り立たないし彼はヒーローではないので笑、ちょっとずるい気もするけどゴッドファーザー。最高の悪役です。

15 映画のベストヒーロー
 ●イーサンハント/ミッションインポッシブル(1996ー)
 意外にトムクルーズ好きだなと思っただろその通りだよ。初回のプラハの話が一番好き。ゲストも豪華。一応新作が出るとチェックしたい衝動に駆られる。

16 イチオシ非英語映画
  女は二度決断する(ドイツ・2018)
  コリーニ事件(ドイツ・2019)
  僕たちは希望という名の列車に乗った(ドイツ・2019)
  この世界に残されて(ハンガリー・2019)

●女は二度決断する
 夫と子を殺された女性の復讐譚。日本では絶対にこうはならない、という描きぶりに打ちのめされる。移民問題と司法問題を絡めていて、ドイツでなければここまで描き出せない。絶対一度は見てほしい。

●コリーニ事件
 ドイツ人の富豪を殺した罪で裁判にかけられているが一切を黙秘するイタリア系男性と、そんな彼の弁護士として法廷に立つトルコ系男性の話。あまりに見事な配役と構成に打ちのめされてしばらく立てない。ものすごくお気に入り。クライムサスペンスとしても優秀だし、戦争ものとしても良い。

●僕たちは希望という名の列車に乗った
 実在の出来事をモデルにした青春映画であり、冷戦映画でもある。若者のエネルギーに満ちていて、演者の大半が冷戦終了後の世界に生まれたというところを加味しても訴求力のある映画。大人キャストはみんなドイツの民放や配信オリジナルのドラマに出てる人気役者で上手い人ばっかり。贅沢な映画。

●この世界に残されて
 戦後ハンガリーに生きるユダヤの少女と産婦人科医の心の交流を描く快作。ハンガリーの悲哀とそんな世界にも逞しく生きていく人々の底なしの生命力に溢れた名作。

 基本的に最近は非英語圏の映画を見る機会が多い。おすすめが多すぎる。ごめんね。

17 好きな映画のご飯 
●BURNT 二つ星の料理人
 ミシュランふたつ星の実力派シェフと周りのスタッフの葛藤や協調を描く。流石に料理が全部うまそう。フレンチ全然詳しくないけどフレンチ食べたくなる。あとあんまり関係ないけどダニエル・ブリュールの演技がめちゃくちゃいい。

18 好きな映画の飲み物
●シャンパーニュカクテル/カサブランカ
 君の瞳に乾杯、です。カサブランカはなんかよくわからないけど一時期ハマってめちゃくちゃ見てました。そういえばこれも離別エンドだな。離別を描くならこれくらいの根性据えた離別がほしい。

19 何だったんだろうって思う映画
●地獄でなぜ悪い(2013)
 これはめちゃくちゃ好きですが相当変な映画だと思うので「なんだったんだろう」枠です。なんだったのまじで。こんなキャスト揃えて大河ドラマでも撮るのかと思ったら全員死んでますけど。ありがとう。

20 この俳優、この映画で最高に輝いてる
  シャッターアイランド/レオナルド・ディカプリオ(2010)
  ヤクザと家族/綾野剛(2021)

 俳優に惚れ込むのはあんまりある現象ではないんですが、この二人に関しては惚れ込まざるを得なかったねえ〜という二人。レオ様に関してはタイタニックやロミジュリの頃よりウルフオブ〜やギャツビーの頃の方が好きですし、綾野さんに関してもファンの多い三十代前半の頃より後半の今が一番キラキラしくて輝いてるなーと思います。なのでこの二人に関しては出演作と聞けば飛びつくようにみるし、綾野さんに至ってはファン活が楽しい。


以上です!
素敵なお題をありがとうございました。

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