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綾野さん

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綾野剛という奇跡を信奉した記録
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最後まで行っちゃったら後戻りはもうできない。

センセーショナルな物言いをするんだけど「最後まで行く」は個人的な今年ベスト作品だと思う。 ベストはちなみに複数ある。世界一かわいいが複数あるのと一緒だ。このベストは「他にどんな素晴らしいものが来ても揺るがないよさ」を表象する言い回しなので、序列ではなく絶対評価であることは念頭に置いていただきたく… 藤井道人監督のファン、いやストーカー(?)として今作は情報解禁された半年前からずっと楽しみにしていた。映画の情報リリースが半年前なのはムビチケの販売状況とおそらく無縁でもないのだ

「オールドルーキー」に出会えて良かった

「オールドルーキー」が終わってしまった。  いつも面白いドラマには終わって欲しくない。終わるからこそ物語は噛み締めることができるのだが、終わらない物語ほど美しいものもまたない。  少し早い夏だった。夏の盛りよりも早く始まったドラマは、まだ残暑も厳しい折に幕を閉じた。それは非常に美しい、待ち望んだ未来を結実する形で。  私が綾野剛という才能に惚れ込んでから早いもので1年と半年になる。氏は「ヤクザと家族」に始まりホムンクルス、恋はDeepに、キン肉マン、アバランチ、新聞記者

サッカーのことを知りたいアヤゴクラスタのためのサッカー紹介

推しへの愛は山よりも高く海よりも深いのです。皆様ごきげんよう。日々推しへの愛を自他共に痛感しておりますが、中でも綾野さんファンの熱量には学ぶことが多うございます。近頃私のTLには「サッカーに興味持った」などの素敵な初心者の皆々様のツイートがどこからともなく流れて参ります。僥倖という他ありません。好きなものを人が好きと言う幸せ。好きを深掘りしてくださる幸せ。尊いね。 なんかもう居ても立っても居られなくなりまして、サッカーに興味を持ってくれたみんなたちにサッカーのことをお話しす

2021年もお疲れ様でした。【総括】

いやあ、お疲れ様でした。 こんなご時世にもかかわらず潤沢なフィクションに恵まれた最高の年でした。 多分毎年このようなことを申し上げると思いますが、その年それぞれにそれぞれ異なった幸福があると思うと来年(今年)がまた一つ楽しみになりますね。 2021年は綾野剛という類稀なる才能に惚れ込み、磯村勇斗という稀代の俊英に出会い、吉沢亮という役者の真価を見た年でありました。 元から映画は日常的に見る方だったのですが、ひとつ見る基準に「役者」というアプローチが増えたことはかけがえのない

Netflix「新聞記者」偏りと正しさ

 映画版の感想はこれ。  映画版の「新聞記者」を見たのは劇場ではなく、「ヤクザと家族」を見た後の話だった。つまり2021年に入ってから見たことになる。劇場公開は2019年。あれから年数にして3年の時を経て、再度Netflixシリーズでドラマ化されるという話を聞きつけた私は、それが「セルフリメイク」という言葉で表現されるのに若干の違和感を持った。  というのも、このドラマ版からは映画版の「新聞記者」が抱える闇、ままならなさ、閉塞感とはまた違ったアプローチを感じたからだ。確かに

「アバランチ」人為で制御できるものばかりではないゆえ、雪崩。

 アバランチが終わってしまった。  開幕前から並々ならぬ熱量でもってその展開を楽しみにしており、開始4話までは毎回感想を書く始末だった。今見返してもちょっと怖い。さらに月曜は基本的に定休ということもあり、ドラマをリアタイできる唯一と言っていい日であるため1話と9話を除いて毎回リアタイしていた。発狂模様はTwitterのアカウントから遡れますのでご覧ください。渡部篤郎さんに毎回発狂している私が見られます。  さて今回このドラマが自分にとって特別な意味を持っていたのは、他ならぬ

「アバランチ#4」ハニトラ刑事。

 退場が早すぎて惜しまれる国生さゆり氏、もとい蘭子さん。  いや今までのゲストキャラ1話で社会的に抹殺されてましたけど??? やっぱり強キャラの美女はみんな好きなんだなあと思いました。所々口が悪かったのも最高でしたね。あと羽生ちゃんとのツーショットで狐と狸の化かし合いみたいなギリギリの駆け引きしてたやつもたぶんみんなが見たかったやつですね。あとちょっとのところまで迫るんだけど手に入れられないアバランチ。最強集団なのにそういうちょっとした詰めの甘さがあって、スリリングで移入して

「アバランチ#3」強弱は表裏一体。

 今週は屈指のしんどい回でしたね!  このしんどさに作り手の矜持を見る。思い知らされる回でした。  芸能でやっていきたいというキラキラした欲が逆位相の負感情で支配されるとき、いとも簡単に人間は壊れる。志半ばで権力に殺された前回の話もいかにも無念でしたが、志を粉々に壊されて自死を選ぶ今回もなかなかのしんどさでした。どっちの地獄を選ぶかでしかない、そうした「弱者」を見つめる作り手の姿勢が好きです。「アバランチ」の真髄はここにあるんだな。  リナがひとり、元レンジャーという異色

「アバランチ#2」私怨と私利の殴り合い。

 予告通りの第2弾。いかがお過ごしでしょうか。  私も秋花粉や乱視と闘いながらドラマを見ています。いや何で張り合ってんだ。  今週のアバランチは半年前に亡くなった開発途上国支援組織の女性の真相に迫る話。  このコンテンツは人の生き死にもそりゃ当然ながら絡むわな(前回は死んでると見せかけて死んでなかった)と見る方も気持ちが引き締まる。  しかもアバランチメンバーの身内とあって熱の入る展開。前回同様に「懲悪」までがしっかり描かれるんだけど、前回にも増して当事者性が強くなるがゆえ

「アバランチ#1」闇と色気の煮凝り。

「アバランチ」1話に寄せて。  こんにちは。  いつもはドラマの1話を見たくらいでは感想をnoteにしたためたりはしないのですが、なんか今回は友人に「毎話更新しろ」「それくらい踊るだろ」と言われて何だバレてんだったら仕方ねえなという気持ちでnoteを更新していくことにしました。  過去履歴を見てもらったらわかると思いますが綾野剛出演作とドイツ映画の話ばかりしている珍妙なアカウントなので、みる人を選ぶどころか誰が見てるんだよコレという開き直りの元に運営しています。ここを読んで

『牙を抜かれた男達が化粧をする時代』を生きる

 すげえもんが出ちまったな、という思いでいっぱいである。  多分だけど、インタビュー以外で綾野さんご本人による言葉がこれだけ物質化したのって珍しいんじゃないだろうか。インタビューや記事は、どれだけ忠実に書いたとしても取捨選択の過程にバイアスが介在する(それが記事を見易く快適なものにしてくれる。プロの仕事である)。そういう意味で本人による、本人の言葉で、本人の切り取った世界で、本人による考察が加えられたこの本は、いわばファンにとっては聖典というほかない。わかりやすい教義が記され

概論特講:動作

 「恋はDeepに」「恋はもっとDeepに」ロスの皆様、いかがお過ごしでしょうか。  なんやかんや言いながらみんな見てたしみんな「よかった……」と呟く優しい世界ぶり、ドラマの世界に引けを取らないあったかさですね。  だって多分今後絶対見れない、小学生に下の名前で呼ばれて海の家で焼き芋売ってる綾野さん……。  石原さとみ×綾野剛のラブコメという奇跡に立ち会わせてくれてありがとう恋ぷに  いやほんと ほんと二度と起こらんでこれは  三澄ミコトと伊吹藍では絶対為し得なかったきゅるき

「恋はDeepに」陸と海の交わるところ。

 ラブコメはどちらかというと苦手ジャンルにあたる。  ラブロマンスとコメディは相性が良い。しかし自分の好きなラブロマンスと、自分の好きなコメディのノリが絶望的に合致しない。なので、次回作は連ドラでラブコメと言われたときに結構動揺したのも事実。ちょうど情報のリリースと彼の方に興味を持った時期がかぶっていたので、この人ラブコメやったことないのか?! と動揺したりもした。調べてみればたしかに。いつも泣いてんな…幸せな恋愛が(作中で)できてない。してや。  ご本人曰くの雰囲気がR

「ヤクザと家族」と綾野剛の話

綾野剛が好きなんです、というとああ〜ハイハイ、というリアクションをする世の中の人たちへ。 綾野剛のことはちょっと知るだけですぐ好きになるので、問題はもはや彼のことが好きか嫌いかではなく、彼のことを知るか知らないかです。こんばんは。 ※この記事はたぶん「綾野剛」がゲシュタルト崩壊すると思いますが、「神」「殿」「教祖」など様々な呼び方で各々変換していただいて差し支えありません。 いや〜、私の2021年2月は完全に彼と共にありました。 語弊しかない。 思い起こせば2月1日、憂鬱