Mリーグ2021開幕

麻雀

言うまでもなく、アンダーグラウンドな世界であるが、21世紀少し前から、麻雀を取り巻く世界は大きく変わった。衛星放送(CS)やケーブルテレビによる多チャンネル化、そして昨今のインターネット配信で麻雀の対局そのものがコンテンツとなり、麻雀は遊ぶゲームに加えて観るゲームにもなった。対局するプロ雀士は囲碁や将棋の棋士のようなスター扱いをされるようになってきたのである。

この20年、独立系チャンネルや、民放のCSチャンネルで多くの麻雀番組が放送されてきたが、この流れを一気に加速させたのが、インターネットテレビ局、AbemaTVで配信されているMリーグである。このMリーグ、従来の麻雀番組と大きく異なる点は次の3つである。

1.生放送

かつて、AbemaTVの麻雀チャンネルではRTDというトーナメント番組がこのチャンネルのメインだった。各麻雀団体のトップ雀士を集めて行われたRTDであったが、雀士のスケジュールがバラバラなため、他の麻雀番組同様、事前収録したものが放送されていた。これは大小の団体が混在する麻雀界では仕方のないことだと誰もが思っていた。

しかし、同じAbemaTVの将棋チャンネルでは将棋の対局の生中継が当たり前のように行われていて、藤井聡太がデビューした2016年からは、驚異的な聴取数を稼ぐようになっていった。

これを見たAbemaTVは麻雀も生放送すべしと考えるようになり、スケジュールがバラバラの雀士を集めた生放送ができるように、それまでの麻雀界の常識を打ち破る新しいシステムを導入する。

2.チーム戦

そこで考え出されたのが、個人で対局するのではなく、チームで対戦するという概念である。チームは複数の雀士とプロ契約をし、その中の誰かが対局に臨む。もし都合の悪い雀士がいたとしても、他の雀士が対局することで、生放送に対応できるようにしたのである。

チームはAbemaTVを運営するサーバーエージェントはじめ、放送、広告、ゲーム、出版といった業態の企業が母体となり、雀士はその広告塔として戦うのである。

Mリーグ2021に参加するチームは以下の通り(カッコ内はオーナー企業)

赤坂ドリブンズ(博報堂)

EX風鈴火山(テレビ朝日)

KADOKAWAサクラナイツ(KADOKAWA)

KONAMI麻雀格闘倶楽部(KONAMI)

渋谷ABEMAS(サイバーエージェント)

セガサミーフェニックス(セガサミー)

TEAM RAIDEN/雷電(電通)

U-NEXT Pirates(U-NEXT)

さらに、各チームの雀士は全員同じスポーティーなユニフォームを着用することが義務付けられており、一目でどのチームかわかるようになっている。男性雀士は対局をスーツ姿で行うことが多いので、Mリーグではそれとは違う世界が醸し出されるのである。

また、各チーム最低1名の女流雀士が所属することが規定されていて、Mリーグに華を添えている。

3.スピーディーな展開

Mリーグを見ていると1局が終わったら、あっという間に次の対局に移っていることに気付く。これはゲームスタート時、雀士の手元に13枚の牌が置かれる麻雀卓の自動配牌機能を使用しているからである。

現代の麻雀では、この自動配牌機能を有する麻雀卓を使用している対局は多いのだが、実際の対局では、自動配牌が使用されない場合が多い。何故なら、自動配牌の場合、親が1枚山から牌を持ってくる必要があり、従来の麻雀作法(いわゆるチョンチョン)とは異なるので、親が先に牌を切って、牌の少なくなる小牌になり、上がることができなくなる。ベテラン雀士ほど、その作法が身についていて、チョンボしやすいので、自動配牌は使われないことが多いのである。

しかし、Mリーグでは生放送であるので、スピードを重視し、自動配牌を採用。そのおかげで、視聴者にスピーディーなゲームを届けることができるようになったのである。

これらの工夫を凝らした結果、2018年にスタートしたMリーグは好評を博し、麻雀人気を上昇させている。また、Mリーグに参戦している雀士はMリーガーと呼ばれ、今や一流雀士の代名詞となっている。

今期のMリーグ2021は10月4日に開幕、レギュラーシーズンは各チーム90戦の長丁場を戦い、上位6チームがセミファイナル進出。セミファイナルは各チーム16戦を行い、その上位4チームが12戦のファイナルシリーズに進出し、そこでトップのチームがMリーグ優勝となる。

Mリーグは、月火木金曜日19時からスタート、全局AbemaTV麻雀チャンネルで生放送される。各日2局対局が行われ、各チームから雀士1名出場し対局。同じ雀士が2局参戦することもあり得る。

約半年に渡る長い闘いが今年も始まる。

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