箱根駅伝2021 「露出」しなかったチーム

2021年の箱根駅伝はあまりにも劇的すぎる幕切れになった訳だが、残り2kmまで首位を走った創価大学は間違いなく今回の箱根駅伝の主役だった。

しかし、その創価大が往路4区で首位に立った時、昨年の箱根以来あの青と赤のユニフォームを見ていないことに気づく。それもそのはず、このチームは全日本大学駅伝に出場していないし、箱根のシードを持っているので、予選会にも参加していない。実は今年の箱根の参加チームでこのいずれにも出場していないチームは創価大だけなのだ。

例年なら10月に出雲駅伝があり、箱根シードの10校はそこを走り、その他のチームは当然予選会を走るので、箱根本戦に出場するチームは何らかの形でテレビに露出することになる。しかし、今年は出雲が中止になり、箱根出場校の中で唯一全日本に出場しない創価大だけ、箱根の前に露出がなかったのだ。

(ちなみに今年の全日本大学駅伝は関東、関西の予選会が開催できず、10000mの各大学の上位選手の持ち時間の合計による選考で出場校が決定された。関東の次点は中央大、創価大はその次だった)

創価大と言えば、昨年の箱根、最終10区で嶋津選手がミズノの靴を履いて区間新記録を叩き出し、総合9位で創価大に初のシードをもたらしたことくらいしか印象になく、ましてや予選会にも全日本にも出ていないとなれば、ノーマークになってしまうのは仕方がない。

その反面、全日本も予選会もない訳だから、早い段階から箱根一本に絞って準備していけばいい訳で、創価大は箱根出場校の中でただ1校だけそのアドバンテージがあったと言える。とはいえ、創価大が今回の箱根、優勝してもおかしくないところまで来たというのは本当に大きなサプライズだった。

ちなみに2014年は台風接近のため、出雲が中止になったが、この年箱根で青学大が初優勝、大学駅伝に大きな地殻変動をもたらした。出雲と箱根は全く違うタイプの駅伝だが、その相関は高く、過去を見ても全日本は優勝できなくても、出雲と箱根を優勝したチームは案外多いし、昨年でも出雲の優勝校、国学院大は全日本では7位に沈んだが、箱根では見事3位に食い込んている。

出雲は確かに距離の短い大会ではあり、箱根とは趣が異なるが、やはりそのシーズンの大学駅伝を占うためには重要なことは間違いない。その出雲の中止が、創価大という新しいヒーローの神隠しになったようだ。

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