「陶芸家になるには」ースタイル編ー 13 <離:スタイルを育てる>
▽インプット(質)
インプットの定義は、
経験や知識を深層心理に入れ込むことです。
生まれてから今まで、何も経験せず、これを読んでいる方は皆無です。
そしてインプットこそが、その人らしさの骨格となっています。
もちろん遺伝的な特性や能力の違いはありますが、経験や生育環境は人格形成に大きな割合をしめます。
このインプットがなければ、私たちは何もアウトプットすることができません。
「破」でフロー学習を使い、基礎をインプットしました。
そして、基礎のインプット、作品のアウトプットを続けていくと、スタイルの芽が見つかりました。
この段階において、インプットするべきもののバランスは…
基礎 < スタイル形成に必要なもの
と、なります。
(基礎には限りがあるので、徐々に学ぶべきことが少なくなってきます)
ここにきて、インプットするものを絞り込む = 質 を考え始めていることになります。
例えば…
ひとつ10万円の食器を制作している作家が、毎日ファーストフードを食べていては、質の良いインプットとは言えません。
この場合は、ミシュラン星付きレストランや、作家ものを多く扱っている懐石料理などで食事を体験することにより、自身のスタイルに必要な要素を、経験として吸収ことができます。
このように、「インプットの質を高める」には、
スタイルの方向性
マーケットでのポジション
など、「客観的な基準で、自身が吸収するべきものを選定していく」ことになります。
言い換えると、インプットを選択して、任意の方向に自身を染め上げる、自己マネジメントの方法とも言えます
▽インプット(量)
上のようにインプットの質を高めていくと、徐々に吸収するべきものの数が狭まってきます。そして、それにともなってスタイルも固定化されてきます。
そうなると、マーケット内で似たような作品の中に埋もれていってしまいます。
例えば…
高級レストランでのインプットを繰り返し、作品としてアウトプットをしてみたら…
良い雰囲気ではあるものの、既視感を感じる。
こうなると、資本主義経済での、珍しさ=価値 が下がってしまいます。
そこで重要になるのが、インプットの領域を広げる = 量を増やすことです。
矛盾しているように聞こえますが、領域を広げる方法は、一旦「質」を考えずに、なんでも体験してみることです。
みうらじゅんさんは、「修行」と題して、自分からは絶対に選ばないような、「動物もの」や「アイドルもの」などの映画を、定期的に観るようにしているそうです。
実際に体験している最中は、これ意味あるのかな…と思うこともあるかもしれませんが、意外な発見があったりします。
経験や体験に無駄なものはありません。
自分にとって意外なアイデアは、他の人にとっても意外なアイデアです。
意外なものは、自分を固定化してしまうと、生まれにくくなってしまいます。
時には「修行」をして、自身の幅を持たせることで、隔たれた要素を結ぶコンバージェンスを起こさせることができます。
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