電波凸爺メモリー 第七話
第七話 青天の霹靂
大家からの電話が鳴る
大家「あ、味沢さん今管理会社の方から連絡があったんですが、何度も家の方に電話んしても出ないようです。なのでちょっと戻りがあったらまたご連絡させて頂きます」
との事だった。
ちぃ、あの野郎居留守使いやがってんな。
自分の電話は受信しないってか。
都合のいい電波だぜ。
大家の電話を律儀に家で待っていた俺は仕事の手をやめ気分転換に外にランチをしに行く事にした。
ランチついでにスーパーよって晩飯の食材を買ったりして家に戻る。
帰宅後また在宅の仕事に戻りパソコンに向き合ってると夕方4時頃インターホンがなる。
ピンポーン
俺は昨日の事もあったので多少インターホンの音にビクッとなってしまった。
これがトラウマってやつなのか?
そんな悔しい気持ちが出たが、最近通販で色々買い物もしていたので配送業者だろうと普通にインターホンを取る。
ワイ「はい〜」
しかし何も声は返ってこない。
俺は繰り返す。
ワイ「はい〜味沢ですが〜」
すると薄らと声が聞こえた…
インターホンの声「…凸爺です。4××の凸爺です…」
ワイ「はぁぁぁ!?」
俺は完璧に戸惑った。混乱と言うより戸惑いの方が上だっただろう。何故?何故また凸爺が現れる?
そして1階の玄関のオートロックのインターホンでは無く、玄関のすぐドアの前のインターホンからの声だった。
どうする…どうする…。緊張が走った。
何をされるかわからないので太めのカメラの一脚を握りしめドアスコープを除くと紛れもなく凸爺がその場にいた。
しかし昨日の臨戦体制っぽい雰囲気は無く、やけに小さく見えた。
よし…。
俺は攻撃パターンでは無く、冷静な対応で行こうと瞬時に気持ちを切り替えた。
握っていたカメラの一脚をドアの横に置き、ドアロックも外し最低限にドアを開けて対応した。
ワイ「はい…なんでしょう?」
言葉少なく冷静に俺は言う。
すると凸爺は左手の指で右手の甲をさすりながら絞り出すように言った。
凸爺「この度は大変申し訳ありませんでした…。こんな大変な事をしてしまって…」
なんと、ななんと、なななんと!
いきなりの凸爺の謝罪が炸裂した。青天の霹靂と言えば言葉が綺麗だが、表すとしたらこの時はこの言葉が適切だった。
ワイ「…えぇ?はぁ?はぁぁ〜!?」
凸爺「本当に申し訳ない…本当に申し訳ない…」
何故!?はい?何故!?え?
俺は更にパニックになった。
凸爺は昨日と服装は変わっていたが地味なカーキのナイロンジャケットに赤のチェックのシャツ。据えた匂いとニューバランスの1400は健在で。何回も使い回したであろう、しわっしわのスーパーの袋を持っていた。
しかし冷静に対応するスタンスでいたの間を置く事なく返答をする。
ワイ「あのですね…昨日と今日の朝にあんな謎の迷惑行為をしてきて更に2回も警察沙汰になって、んで1日も経たないで謝られたって、こっちは納得するわけないじゃないすか?」
凸爺「本当に申し訳ありません…本当に申し訳ありません…。」
凸爺は突如「本当に申し訳ありません爺」と化して不気味な感じだった。
リアルに謝罪の雰囲気は出ていたが、それでもあまりにも急過ぎて納得はいかない。
が!しかし、しかしだ。俺は思った。
管理会社か大家さん、またはパトロール中の警察官が直接強く言ってくれて、間違いを認めて今ここに来てるのかも知れないと…。
そう思って質問をする。
ワイ「大家さんとか管理会社の人になんか言われたんですか?」
凸爺「…いえ、誰とも話はしてませんが…と言うか…あの…お話聞いてないのですか?あれ?おかしいなぁ…」
この話の登場人物は俺、凸爺、警察官、大家、管理会社と人数は少ない。誰とも話をしてないと言うのなら一体誰と…そしてなんの話を聞く事が出来るのか…
凸爺「あれ、おかしいなぁ…おかしいなぁ…」
そして凸爺は思い出したように俺の前から去って言った。
一体なんなんだよ…一体なんなんだよぉぉぉ!
このままじゃ俺が狂っちまう!
とりあえず今起こった事を大家に伝えよう。
そう思い大家に再度電話をしようとした時またインターホンが鳴った…
つづく
#電波凸爺メモリー
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