そのさん

スタートアップ初期〜3年、ひとり広報をやってみて気づいたこと。

SmartHRに入社してから9月で3年が経ちました。私が入社したとき、社員は15人。今や130人。スタートアップは数あれど、稀に見る猛スピートで急成長している企業です。

あっという間に3年が過ぎ、気づけばこれまで1人で広報をやってきました。そろそろこの状況も変わりそうなので、忘れないうちに気づいたことや得られたことを綴っておきたいと思います。


醍醐味とつらみ

醍醐味
・分担することがなく小回りがきく 
・窓口がひとつなのでまわりも困惑しない
・業務の取り合いがない、考え方でぶつかることがない
・自分が書いたリリースや企画が世に出る緊張感や手応えがすごい
・いろんなチームに知恵と力をもらって、視野が広くなる
・マーケティングチームに所属しつつ、コーポレートに関する広報もできる(資金調達は3回、オフィス移転は4回お知らせを書きました)

つらみ
・切磋琢磨しているチームが羨ましい
・比べる人が社内にいないので自分のレベルがわかりにくい
・自分がコストセンターと思い込んでしまうと、2人目を採用するタイミングがわからない


それでも、この3年は醍醐味のほうが大きかったです。
そう思える出来事のひとつが、シリーズB 資金調達の記者発表会。私にも会社にとっても初めてのことでした。
“ 普通のやり方 ” がわからず、当日まで「本当に上手くいくのか?」と「失敗できない」という思いが半々のまま臨みました。

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結果は、SmartHRのメンバーの協力と株主であるCoral Capital(当時 500 Startups Japan)の皆さんのおかげで記者発表会は無事終わり、その後も予想していた以上の取材を組むことができました。

そしてひと息ついたとき、過去に読んだ記事をふと思い出しました。「失敗からは学べない」


広報が思い通りの結果を残せなかった時、とりまく変数が多すぎて説明がつかないことのほうが多く、少し後になって「もしかしたらこういうことだったかもしれないな」と想像上でしかないうえに、曖昧で苦い思いが蘇るだけです。

歓喜できるのは、成功した・思い通りの結果が出た一瞬で、その時だけ「確かに成功するためのパーツが揃っていた」ということが実感できる。
なので、本当に難しいのですが、結果を残し続けていくことには、これからもこだわっていくつもりです。



広報の所属はどこなのか

企業によって広報の所属は、社長室・経営企画・人事・ブランディングデザインなど様々。私はマーケティングチームですが、どこかに所属している感覚はそこまでありません。

今思うのは、ミッションを明確にしておかないと、どうしても個の嗜好や得意分野に寄ってしまいます。白状すると、私はプロダクトにとても魅力を感じているので、社内広報や採用広報は人事におまかせ。取材があれば対応する程度です。なので、会社として広報をどのチームに置くか、または独立させるのかは、とても重要だと思っています。

私はマーケティングチームに所属しているおかげで、自然とマーケ初級レベルの知見は得られました。
広報はコストセンターと言われがちですが、広報施策に投資することへの躊躇や広告に対する過度な偏見もなくなりました。広告業界が変遷期にあり、クリエイティブや手法の良し悪しによって、人の心を動かす手段になる得るとも思っています。

プレスリリースも、サービスサイトに掲載する時はお問い合わせの導線を加えたり、セミナーではPR+リード獲得を設計して企画します。数値に手応えを感じたい広報にはおすすめです。

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決着のつかない評価問題

反省と不確かさが半分ずつあります。
メディア掲載など、わかりやすい結果なら社内や評価者に届きますが、広報業務の細かさや、そのプロセスは非常に伝わりにくいものです。幅広いスキルセットも求められ、ひとつ出来るようになったら、またひとつ新しく出来ないことが見えてくる。ベテランの域に達するまでこの繰り返しだと思います。

そして、広報の多くは企業ブランドやサービスに思い入れがあるのですごく頑張るのですが、努力を主観に持ち込むとつらい。未来のユーザー・社員・社史の礎になっていると信じますが、この貢献に対する見方はそれぞれです。この曖昧さが広報職に対する、まわりの期待値と現場とのギャップを生み出している要素のひとつでもあります。

私自身は、どれだけ広範囲に行き渡るかよりも、どれだけ人の感情に響くか・記憶に残り続けるかを重視します。これを数値で見る時点でPR思考が歪み、正しいプロセスが崩れてしまう。

答えはでていませんが、数値化が難しいからこそ、上司・評価者とのミスコミュニケーションにあったかもしれない、と思い当たる点はいくつかあるので、深みにはまらない程度にまたの機会に考えてみようと思います。


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