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トラブルメーカーはどうやってできる?

いやだ いやだ!
教室内に声がこだまします。

「放課後チャレンジスクール」、さいたま市内の小学校では決まった曜日の放課後に、子どもたちを自習させたり運動させたりして面倒見る放課後クラブのようなものがあります。地域連携コーディネータと呼ばれる教育委員会管轄の人が取りまとめていて、お手伝いをする人が10名ほど。息子が6年間お世話になったこともあり、声をかけられて今年度からわたしも手伝っています。お手伝いの人はみな「先生」と呼ばれます。

チャレンジスクールは2年生から申し込むことができて、全部で2クラスあります。二部構成になっていて、自主学習の時間、身体を動かしたり手を動かす時間と分かれています。今日は自主学習のあと、指でできる編み物に取り組むことになっていました。

わたしが主に見ている方は2年生がたくさん、騒がしい子が多く、まさに「カオス」です。
教室を借りて自習をさせるのですが、気がつくとひとりの二年生が教室の備品をいじり、持ち去ろうとしています。「こら!戻しなさい」、「いやだ」、「もどしなさい」、有無をいわさぬ声色に元に戻しましたが、このA君はひときわやんちゃぶりが目立ち、一事が万事、この調子。隣の子にちょっかいを出すわつかみかかるわ、大人が「やられてイヤなことはしないの」とたしなめれば「イヤじゃないもん、やられたいもん」。とにかく何でもかんでも突っかかってきます。
その彼と取っ組み合ったりするのはB君、彼は何かをしては他の人にシェアしたがり、静かに自習ができません。

とにかくA君にみな手を焼いており、ベテランの先生も声を張り上げて怒ります。わたしはA君のふるまいがどうしても鬱憤を晴らしているように見え、家庭や学校でよほどのストレスがあるのではないかと思ってしまいます。憎たらしいことばかり言うけれど、それが何か訴えているような「叫び」にも聞こえます。集団なので彼がギャーギャー騒ぐと実際困るのですが、子どもは悪くないという考えから彼を理解したい気持ちが湧いてきます。

A君が何か言ってきたので笑顔で応じたら、先輩先生に「よくあの子に笑顔でいられますね。わたしはとてもできない」と言われました。
「いや~、よっぽどストレスがあるのかなと思って、普段どんな環境にさらされているのでしょうか」
「そりゃストレスがあるんでしょ、すごく勉強ができるから親に勉強しろと言われているんじゃない?お母さん迎えに来るとおとなしくなって帰っていくわよ。でもこういうところで周りに迷惑かけて好き勝手はだめよ、ああいう子はそれなりの施設に行くべきよ」
「まあ適した環境にいたほうが彼もつらくないですよね~」
勉強のできる子なんだ、大騒ぎしている様子見てるととてもそう思えないけど。

もう一人周りにちょっかい出しちゃうB君。そばに行き面倒を見ます。机の上には英検2級の問題集。まだ2年生なのにこんなのやっているのか。これまた騒いでいる本人とギャップを感じます。

自習時間が終わると、次は専門の先生が教えてくれる、指で編める編み物です。このクラスの子たちまともにできるのかしら。

あれ?静かになった。みんな毛糸を手に巻き付けています。あのA君でさえ、「どうやるの?」と毛糸片手に先生に助けを求めています。
何をしても歯向かっていたのに、素直に先生の指導を受けているA君に「楽しい?」と尋ねてみました。普段なら「楽しくない」「つまんない」と返ってくる問い。Aくんはこくんと頷きました。

手作業にヒントあり。

チャレンジスクール、自分の子とは違う様々な子がいて、鍛えられそうです。




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