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春に読みたい小説10選

長い冬を終え、暖かい季節になりました。
美しい桜に旅情を誘われたり、卒業し、新しい生活が始まったり、春は人との出会いと別れが沢山あるように思います。

そんな春にぴったりのおすすめ小説を選びました。

気持ちが華やぐ春は読書にも最適の季節。
旅の道中、電車に揺られながら読む本や、暖かい陽だまりの中で読む本はどんな物語が良いですか?
心機一転、新しい気持ちでスタートを切るのにふさわしい一冊は何ですか?

春にふさわしい素敵な物語と出会えますように。

春期限定いちごタルト事件 米澤 穂信

~殺人は起きない「日常の謎」を解き明かす小市民のためのミステリー~

story:小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。(「BOOK」データベースより)

直木賞作家・米澤穂信の連作短編集。小市民シリーズの第1弾(4巻で完結)。

日常にありふれた見過ごしそうな小さな謎。普通なら「気のせい」と、やり過ごすようなほころびから真相にたどり着く日常のミステリーは、一緒になって謎を解き明かす楽しさがあります。あざやかな高校デビューを決め込んだ小鳩君と小佐内さんは鋭い洞察力を持った安楽椅子探偵。次々と事件を解決していきますが、二人には実は裏の顔があるのです。
新しい高校生活と春のスイーツを楽しむはずが、様々な事件に巻き込まれる二人の関係にも注目。いつもと同じ、でも昨日とはちょっと違う風景。春を感じさせるほのぼのとした青春ミステリー

青春の春度★★★★★【ミステリー・安楽椅子探偵・学校・友情】

花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1 北森 鴻

~人生に必要なのは、とびっきりの料理とビール。それから、ひとつまみの謎――。人情味あふれる民俗学ミステリー~

story:春先のまだ寒い夜。ひとり息を引き取った、俳人・片岡草魚。俳句仲間でフリーライターの飯島七緒は、孤独な老人の秘密を解き明かすべく、彼の故郷を訪れー(表題作)。バー「香菜里屋」のマスター工藤が、客が持ち込む謎を解く連作短編ミステリー。(「BOOK」データベースより)

「短編の名手」と謳われた北森鴻氏のミステリー連作短編集。北森鴻の日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門受賞作。「《香菜里屋》シリーズ」1作目。

街中にひっそりと佇む、落ち着いた雰囲気のビア・バー。見た目はヨークシャテリアみたいに可愛いが、気が利いて相手の懐にスッと入ってくる癒し系マスター。
そんな理想の隠れ家のようなお店で、美味しい料理に舌鼓を打ちながら、ミステリーをつまみに常連客と語り合う。ミステリーファンなら誰もが行きつけにしたくなるお店ですね。

ビア・バーで語られるささやかな事件から歴史的大事件まで、多彩なミステリーを味わえます。マスター工藤の名推理がさえわたる安楽椅子探偵ぶりも見どころの一つ。
民俗学の知識も身につく、美味しいけれどちょっとほろ苦いビールのようなミステリーです。

ほっこりする春度★★★★★【ミステリー・ビア・バー・民俗学・】

桜のような僕の恋人 宇山 佳佑

~「桜を見ると今も君を思い出す」50万人が号泣したラブストーリー~

story:美容師の美咲に恋をした晴人。彼女に認めてもらいたい一心で、一度は諦めたカメラマンの夢を再び目指すことに。そんな晴人に美咲も惹かれ、やがて二人は恋人同士になる。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。美咲は、人の何十倍もの早さで年老いる難病を発症してしまったのだった。老婆になっていく姿を晴人にだけは見せたくないと悩む美咲は…。桜のように儚く美しい恋の物語。(「BOOK」データベースより)

著者は『信長協奏曲』などを手掛けた 脚本家。小説は『今夜、ロマンス劇場で』など映画化もされている。この『桜のような僕の恋人』もNetflixで2022年3月より独占配信される。

もし、恋人が難病にかかってしまったら…自分が不治の病に侵されたら…。そんなことは想像できないし、したくもないですよね。ましてや、人生これから楽しい事がたくさん待っていると、夢と希望に胸を膨らませていた時だとなおさら。この物語はあなたの大切な人を想って読んで欲しい
主人公、彼女を取り巻く周りの家族や友人、そして恋人。人生の大切さ、生きる意味を考えされられる切なくて儚い恋の物語。

切ない春度★★★★★【すれ違い・両想い・難病・青春】

少女は卒業しない 朝井 リョウ

~「私たちはここから旅立つ」少女達が迎える7つの「さよなら」の物語~

story:今日、わたしは「さよなら」をする。図書館の優しい先生と、退学してしまった幼馴染と、生徒会の先輩と、部内公認の彼氏と、自分だけが知っていた歌声と、たった一人の友達と、そして、胸に詰まったままの、この想いとー。別の高校との合併で、翌日には校舎が取り壊される地方の高校、最後の卒業式の一日を、七人の少女の視点から描く。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。(「BOOK」データベースより)

直木賞最年少男性受賞者、朝井リョウの「卒業」をテーマにした連作短編集。

明日で卒業。初めて恋をした日、勇気を振り絞った日、夢に向かって努力した日々、かけがえのない一瞬一瞬が思い起こされる。
そんな最後の一日に大切な人へ伝えたい想いを言葉にする。見慣れた風景となった校舎を見ながら毎日顔を合わせていた仲間へぽつりぽつりと話していくうちに増す別れの実感と淋しさ。そして自分で決めた道へ進む覚悟。青春の終わりを震えるような空気感で描かれている

遠い昔の懐かしい記憶が蘇る。学生さんはもちろん、多くの人に読んで欲しい。

旅立ちの春度★★★★★【青春・学生生活・別れ・恋愛】

さくら 西 加奈子

~「神様、ちょっと、悪送球やって。打たれへん、ボールを、投げてくる。」胸が締め付けられる家族の崩壊と再生の物語~

story:ヒーローだった兄ちゃんは、二十歳四か月で死んだ。超美形の妹・美貴は、内に篭もった。母は肥満化し、酒に溺れた。僕も実家を離れ、東京の大学に入った。あとは、見つけてきたときに尻尾にピンク色の花びらをつけていたことから「サクラ」と名付けられた十二歳の老犬が一匹だけ。そんな一家の灯火が消えてしまいそうな、ある年の暮れのこと。僕は、実家に帰った。「年末、家に帰ります。おとうさん」。僕の手には、スーパーのチラシの裏に薄い鉛筆文字で書かれた家出した父からの手紙が握られていたー。二十六万部突破のロングセラー。(「BOOK」データベースより)

累計発行部数55万部を突破した西加奈子のロングセラー長編小説。2020年に映画化されている。

昔はよくある普通の家族だった。それがどうしてこんなに壊れてしまったのだろう…。
両親の愛、兄弟愛、恋愛、それぞれの愛の形が交差しながら優しさと幸せに包まれた日常に、ふいに訪れた悲劇。受け入れがたい現実に呆然とし、バラバラになっていく家族の様子がリアルです。

じわじわと思い出してつぶやいているような文章は、まるで降り続ける雨を思わせ、心が泣いているようにも麻痺しているようにも感じられる。悲劇に向かって進む物語の予感に切なくなります。
絶望し、もがきながらも深いところで必死に支え合い繋がっている家族の姿に、自然と涙が溢れました。
切なくて、でもじんわりと心の奥があたたかくなる。愛犬「さくら」と織りなす家族の崩壊と再生の物語

家族の春度★★★★★【家族愛・兄弟・愛犬・生と死・恋愛】

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