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「や」の使い方 ―「AやB、C」か「A、BやC」か

二つ以上の単語を並べるのに「や」を使うとき、次のどちらの書き方をしますか~

英語と公用文での書き方

英語では

A , B and C

(根拠は未確認です)

って書くとか。

公用文では

A、B及びC

2022年建議「公用文作成の考え方」

って書きます。

ということは2.が正式なのかな?

みんなに聞いてみた

TwitterとFacebookで友だちに聞いてみました。

こんな細かいこと? 答えてくださった方の数は多くはないですが……

Twitterでの投票結果は次のとおり、1.が14人、2.が5人でした。

Facebookでは、1.が11人、2.が2人。

特に1.と答えた人は、公務員が圧倒的に多かったのには驚きました。

私は1.が好きなんですけどね😅

なぜ小田は1.が好きなのか

「A、B」と書かれると、

「あー、AとBか~」

って思ったとします。

でも、最後まで読んでみたら、

「A、B、C、DかEのうち、どれか一つ」

だった場合、

「え? A and B and C and ……じゃなくて、A or B or C or ……だったのかー💦」

って、ビックリすると思うんです。
「A」じゃなくて「国民健康保険被保険者証」とか長い単語だと特に。

こういうときは、脳に処理負荷がかかっているらしいです。

(パソコンで言うと、なかなか画面が切り替わらないとか、フリーズするとか、ウィーーーン! ってうなり声をあげている感じ?)

ま、とにかく、だから私は1.が好きなんですよね~

ガーデンパス効果

例えば、

警官が犯人を捕まえた

って言われると、こんなシーン↙↙↙を想像しませんか。

でも、

警官が犯人を捕まえた男性に礼を言った。

と最後まで読んでみて、

「え? 犯人を捕まえたのは
 警官じゃないのか!
 犯人を捕まえたのは
 ほかの人で、その人に
 警官がお礼を言ったのか~」

って、考え直すわけです。

こんなふうに、解釈のし直しが必要になる文は、読み手の脳に「処理負荷」がかかる。
この、「処理負荷」のようなものを「ガーデンパス効果」というそうです。

以下の二つの文だと、ガーデンパス効果は

X > Y (Xの負荷が大きい)

(井上雅勝2012.「文の理解」福田由紀編著『言語心理学入門―言語力を育てる』pp.110-126,培風館)

になったという実験結果があります。

X 警官が犯人を捕まえた男性に礼を言った。
Y 犯人を捕まえた男性に警官が礼を言った。

同上

つまり、X のほうが「理解しづらい」とか、「効率的に理解できない」(メンドクサイ)文だってことですよね。

結論! 「や」はどこに書く?

ということで、結局、「や」を書く場所は、次のどちらがいいのでしょうか。

  1. AやB、C

  2. A、BやC

法律や論文などのようなオカタイ文書では、2.だと思います。

ただ、そういう硬い文書では、そもそも「や」ってあまり使わないですよね。

硬くない文書では、理解しやすさを優先することが多いので、1.がおススメです。

いや、もっと言えば、「や」なんて使わずに、箇条書きにするのがベストです。

例えば、

以下の三つすべてが対象です。
1.A
2.B
3.C


という書き方です。

わかりやすさから言えば、これが正解でしょうね(笑)

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