6歳児をライブハウスに連れて行った話
初めてnote始めてみました。
やってみたかったんですよね、これ✏️
タイトル通り、長男6歳3ヶ月を初めてライブハウスに連れて行った話です。もう2月のことなので結構経っちゃいましたね。
ライブの話と言いつつ、この話の中身の内訳としては
音楽:育児=2:8
くらいの割合です。「読んでもらおう」と思って書いたというよりは備忘録のつもりで書きましたので、めっちゃ長いです。悪しからず🙏
さて。
いきなりですがうちの長男ネスは発達障害もち、ADHDです。ちなみに、私も彼の診断後、彼に起こっていることを見て身に覚えがありすぎて精神科でADHDの診断をもらったという人です。といいつつ、ネスさんのADHD具合は私のとはまた内容や質が色々ちがってるので、私は一応いわゆる「フツーの人」として34年生きてます。学校行って就職して結婚してカーチャンになりました。一方、長男ネスさんはこの春小学校の支援学級一年生にあがる予定です。見た目は「フツーの子」とよく言われますし、なんなら他の子より面白かったり優しかったり秀でてたりするところもあるんですが、当然発達障害の診断をもらうくらいですから苦手なことも結構あったりします。特に苦手なのは大きく分けて「じっとする」「耳から情報を取り入れる」「予期せぬ変化」の3つです。
そんな長男を連れて大都会トーキョーの夜を練り歩く大スペクタクル物語(母的には)🌃お楽しみください😘
まずそもそもなんでネスさんをライブに連れて行ったのか。
妊娠前に行った山下達郎ライブを最後に7年ライブから離れていた私ですが、そろそろもういいんじゃない?とここ数年自分の中で熱が上がってきていた「ウルトラ寿司ふぁいやー」さんのライブチケットを取ってみようと思いました。始めは1人で行く気満々で、ライブに行って帰りはどこかで一杯ひっかけて帰るか❤️🍸なんて密かに思っていたんですが、ちょうどチケットの発売開始時間は寝かしつけとバッティングしていたため、旦那ちゃんにチケット争奪戦をお願いしておりました。今回のライブは小さな箱で最大60人入るかどうか程度。動画を54万再生叩き出して事務所に入ってるバンドが目の前で見られる!!と、それはそれはウキウキしていたので寝かしつけを終えて急いでリビングに戻ってみると
「とれたよ😯」
こちらのテンションを差し置いて飄々と話しかけてくる旦那ちゃん。
「2枚とってみた。ネスと行ってきてみれば」
…お?😊
………………おおお???😊
純子という1人の女から、私はまた秒でカーチャンモードになりました。
私の影響で保育園の送り迎えをする車内BGMがウル寿司一色になっていたネスさんが酢飯(ウル寿司ファン)になったのはわりとすぐのことでしたが、それまで特定アーティストの歌を好きだと言ってきたことがなかったため、母としてはネスさんが音楽に興味をもってくれたこともウル寿司を好きになってくれたこともそれはそれは喜んでいたのです。
とはいえですよ!!
大都会トウキョウト・ロック・シティのイーケブークローでのライブに、割と空気の読めない多動保育園児6ちゃい(毎日20:30就寝)をどうやって挑ませれば良いのか、カーチャンは悩みました。
…いや、厳密には旦那ちゃんから「2人で行っておいでよ」と言われた時にはとにかくチケットがとれた興奮で「おっ!!ネスと2人でライブ!?いいねいいねー❤️行く行く!!コロナで夜店すら行ったことないんだから連れてこ連れてこ!!Fu〜🎊」くらいの雰囲気だったんですけど、ライブ3日前くらいからいろいろ現実的なことを考えだして(遅)私は猛烈に焦り出しました。笑
悩んだ点は以下四つでした。
1️⃣感覚過敏のあるネスが爆音に耐えられるか?
(大きい音を怖がるが一度楽しいと感じれば怖さが吹っ飛ぶ。映画館や和太鼓は攻略済み)
2️⃣眠さと空腹と疲れにめっぽう弱いネスが夜ライブに挑めるのか?
(一度グズると全てがマイナス思考になってべそをかきつづける)
3️⃣ライブのMCなんてものが聞き取れるのか?理解できるのか?
4️⃣それらに耐えられずライブ会場にいることが耐えられなくなったら私はどう行動すべきか?
ライブ直前までかなり悩みましたが、結局出た答えは一つでした。「うまくいかないことも覚悟の上で連れて行こう。ネスが帰りたくなったら帰ろう。純子さん的にはそりゃ最後まで見たいし物販も行きたい。でも、それ以上にもしかしたらネスが生の音楽にハマるかもしれないチャンスを逃したくない。これで行かない方が自分としても母親としても後悔する。」と思ったので行きました😆👍
さてそんな当日。
朝から母は緊張でつわりぶりに吐きそうでしたが家を出る頃にはどうにかおさまりました。笑
余裕をもって家を出たので、18時には池袋駅に着いてしまいました。これなら19時の開場までご飯が食べられるなーと思い、あちこち駅前のカフェやレストランにネスさんを誘ってみるも「いや、違います、いいです。結構です。」と言われ続けました。最後にダメ元で目に入った「はなまるうどん食べる?」と聞くと「それがいいね!」とのこと。でも…昼に君は食べてるんだよなぁ…うどん…
よし、もう今日は食えるものを食っとくことが大切だ!銀魂でもそう言ってた!!ネスが前向きになれるなら何でもヨシとしよう!と思い直し、私達ははなまるうどんに入りました。
少し薄暗くてお客もそれほど多くない店内。しかもみんな1人客なので、誰も喋らず食べています。そんなはなまるうどんで彼はざるうどん中を頼みました。、、、が。半分食べたところで無表情のままうどんのお盆を差し出したネスさん。ここで母はそっと聞いてみた。
「おなかいっぱい?」
「…うん。」
「東京とか夜の街に…緊張してる?」
すると、ネスは少しだけ恥ずかしそうにはにかんで「そうだね。」と言いました。「緊張」って感覚、ちゃんと感じられているんだね。そして君はいつのまにかそんな顔もできるようになったのね…普段は給食のカレー4回おかわりするくらい食欲の権化なのに。弟が食べなかった味のない赤ちゃんせんべい食べようとするくらい食い意地はってるのに…笑
「いいんだよ、残しても。ライブ終わってお腹すいちゃったらまた何か食べて帰ろっか。」
私はうどんのお盆を返却すると、ネスとうどん屋を後にしました。手を繋ぎながら居酒屋やビルの間をゆっくり歩いていきました。ネスの手はいつも驚くほどあたたかいんです。
「あ、お星様あった」
ネスに言われて狭い夜空を見ると、なるほど確かに星が一つしっかり白く光って見えました。池袋で星が見えることを私は初めて知りました。ライブハウス前に着くと早すぎたため近くのサブウェイで明日の朝ごはん用にサンドイッチを買いました。
「お月様もあった」
店を出るとちょっと元気な声でネスがまた上を指差しました。東京に来て、人混みやたくさんのネオンの間を通ってきてもなお、月や星を見つけて喜ぶ息子は素敵だなあと思いながらライブハウスの階段を降りて行きました。
ライブハウスに着くと、ネットで既に知り合っていた方が声を掛けてくださり親子ともども安心して入場することができました。中に入ると物販があったので、大人用のTシャツをネスに買って着せ、私もパーカーを買って着ました。
席は前から四列目、左右に席が分かれて真ん中に人1人が通れるほどの通路がありましたがその通路に面したところにネスを座らせ、私も隣に座りました。
始まる前に「ネス、家でも言ったけど思ってるよりもかなり大きい音が鳴るからビックリしちゃったら耳栓をしてあげるから言うんだよ」と伝えると「わかった!」と元気に答えていました。
BGMが大きくなりました。
イッツショータイム、です。
ライブハウスのスピーカーから出る音は打撃だったのを私も7年ぶりに思い出した。その瞬間、ネスさんが腕に縋り付きました。目は初めて生で見たエレキギターに釘付けなのにあまりの衝撃に度肝を抜かれた顔をしていました。
即私はカバンから取り出した耳栓を彼の耳につけると、緊張しながらも頬を少し緩ませました。最初バンド仲間たちが入場するなか「背徳の薔薇」という他バンドのベジティジュン(カツラをかぶってVメイクしたJぺいさん)が現れると、背徳を知らないネスさんは真顔になり一言。
「え、だれ!?」
まぁ、同じ人には見えないか。
その後ウル寿司のオリジナルソングが始まる頃には(最初2曲はカバーでした)謎の人物には気になりつつもライブの熱気と肌に伝わる音の波を全身で感じている様子のネスがいました。
ちなみに。
その後、メイクを残したままのJぺいさんを見て赤短髪が初めてだったせいもあってか、ネスさんはまたもや混乱した顔で「あの赤い人…どこ行っちゃったんだよ…」と話しておりました🤣
後から説明したけど、半信半疑な顔してました。🤣
さてさて。たぶん周りのお客さんたちから見たら、うちのネスさんはライブなのに耳栓をしてる男の子が硬直してるだけのように見えたかもしれません。そしてウル寿司のメンバー達からネスさんの耳栓が見えていたなら大変申し訳ないと思う気持ちはありましたが、私はネスの左手をしっかり握りしめ、ネスも私の手を握り返したまま一緒にライブを楽しみました。
途中のMCもネスはよく聴いていました。
曲のはやあてクイズ大会ー!!とJぺいさんが言った瞬間、母はチラッと一抹の不安を感じました。リズム隊の演奏のみを聴いて曲名を答えるために挙手をしてね、と言うのです。
「…まぁ、まさかね。」
一曲目の問題が始まりました。
太いベースとドラムの刻みに耳を傾けて記憶を呼び起こそうとしました。もしこれかな?と思っても母には手をあげようだなんて勇気はこれっぽっちもありませんので、行く末を眺めるだけにしようと思っていました。
「さぁ、わかる人いますかっ!?😆」
「はいっ!!!!!!!✋」
おい、マジかよ。
そこあげちゃうのかよ、マイサン。
何言う気なのよさ、息子よ。
「おおおおっ!?ちびっ子きた!!!いいよ、答えをどうぞ!!!!」
「T.C.K.C!!!!」
それただ君が一番好きな歌なだけだろおおおおおお!!!!!!
圧倒的にそれが好きいいいいいい!!!!!
カーチャンはもう脳内パニックでした。まず恐らく答えはあってないし、この後メンバーはどう答えてネスがどんな反応するのか、外れたのが悔しくて喚いちゃったらどうすりゃいいのか、というかこんな初参戦な奴が注目集めちゃってて恥ずかしいとか、もう必死にいろんなことを考えるもののギガガガンガン足りてなーーーーーーい!!!!
母の脳内通信速度が完全に制限かかりました。
そんな中Jぺいさんの声が響きます。
「正解!!!!あってる!!!!!!!」
………え?
嬉しそうに母の目を見てくるドヤ顔のネスさん。
コード一緒だもんね!それをこの子わかってたんだよ、すごい!と言ってくれるカベさん。
無理矢理TCKCの歌詞で歌ってくれて、ダンスまで踊ってくれるしょーりんさん。
いそいで予定外の景品を増やしてくれようと準備してくれる翼さんと尚也さん。
もう母はずーーーーっと通信制限かかったままなので一体メンバー達と息子との間で何が行われているのかよく分からないまま、気づいたらネスさんはいつの間にか二問も正解したことになってて、ちゃっかりスティックとベースのピックをもらっていました。
なんか途中それからもネスさんは何度か暴走していたのですが、もう母には全ては止めきれず、そして優しく受け止めてくれるメンバー(というか主にJぺいさん。)。
その後はライブを楽しみつつも母はメンバーへの感謝で五体投地したい気持ちをどうにかこらえておりました。
ネスさんは流石に21時が近くなった頃からスタンディングできる体力がなくなってきましたが、生まれて初めて見るペンライトに見とれてその様子に気づいたお姉さんにペンライトを借りて初めて振ってみたり、ステージから見える生楽器を食い入るように見つめて自分もエアギターしてみたりと、最後までしっかりライブを楽しみ切りました。私も1人のファンとしてめっちゃ手振ったし歌ったし笑った。
ライブ終了後、メンバーが出入り口に並んでくれて少しずつお話できるようになっていました。そこで私は差し入れとお手紙をしょーりんさんに渡しました。
「あ、これ、よかったら召し上がってください。それとこれ、お手紙もよんでくださいっっっ!!!!」
わー。オバチャンが中学生が体育館裏で先輩呼び出してラブレター渡すみたいな言い方しちゃったよ。逆にこの言い方恥ずかしいやつと気づいたけど、もう遅いね。笑
一方、どこでもゴーイングマイウェイなネスさんはと言いますと。
家で頑張って描いた絵を取り出すと、広げて何故か目の前にいたしょーりんさんに渡しました。
ネス「これ描いた!じゃーーーん!」
しょ「お??なんだなんだ??あ!!これ加部ちゃんじゃないの?加部ちゃん見た方がいいよ!」
かべ「えっ!なになに!?えっ!!これ俺のギターじゃん!!ちょっともう…ハグしていい?」
ネス「いいよー」
かべ「(…ギュッ)なんか俺が着てるパーカーとおんなじような上着着てるし!!」
ネス「いいでしょー😏」
…あのさ、なんか私がドギマギして一生懸命話しかけてるってのに、君のラフさはなんなんだね。心臓に毛が生えてるのか。鋼のハートなのか。君、私の腹から生まれてきたんじゃなかったんか。なんなのその図太さは。
すげぇ…すげぇよ、息子…
カーチャンおそれいったわ…完敗です…
君は我が家のアーニャだわ…
それから他のメンバーさんにもお礼を言って会場を出ました。上着を着たりしていると、いろんな方に「よかったですね!」と話しかけてもらい、母はまた終始みなさんにぺこぺこ。
やっとこ着替えて会場を出る階段を登ると、
「楽しかったね…」
ネスさんが一言つぶやきました。
「うん、楽しかったねー」
「うーん!」
「いろんな歌聴いたね。」
「バナナあった。」
「そうね。ネスは何がよかった?」
「TCKC。」
「やっぱりそれなんだ。笑」
「でもぉーTCKCは初めからじゃなかったねぇ。」
「……あのね、予定にないのにちょっと歌ってもらえただけでもすごいんだからね?わかってないかもしれないけど。」
「また行こうね。」
TCKC話はぶった斬られたけど、グッと胸を鷲掴みされたような言葉がきた。
「また…行きたいの?」
「うん。」
「大きい音、びっくりしなかった?」
「ビックリしたよぉー!!」
「でも、楽しかったの?」
「うん!」
「…いつもクイズ大会あるわけじゃないんだよ?
曲も今日みたいに知ってる曲ばっかりじゃないかもしれないけど、それでも行きたい?」
「大丈夫、いく!」
「じゃあ、また行こうか。」
「また今度?」
「そうだね、流石に夜更かしだからあんまりすぐには行けないかもしれないけど。またこんど。」
「今度かぁー」
そして、私の手を握ってまた呟いた。
「もう…終わっちゃったの?ライブ。」
「うん。」
「さびしい。」
「……そうだね。楽しかったから余計に寂しく感じるよね。」
「また今度いく?」
「うん、また絶対行こ。」
私は繋いだ手を大きく前後にゆらした。
電車に乗って都内を出た瞬間にネスは「おなかすいた。」と言った。彼なりに「日常」に戻ったんだなぁ。帰ってきてからネスはすぐに寝かしつけた。私はライブの様子やネスの様子を夫に伝えて夢見心地で床についた。
ライブに行ってよかった。
旦那ちゃんがチケット2人分とってくれてよかった。
勇気出して息子連れていってよかった。
あの人たちのライブがネスの初めてでよかった。
ウル寿司に出会えてよかった。
ファンの人たちも優しくてよかった。
もう全部よかった。全部感謝。
明日からまた保育園だわ。
今日も頑張ったな
俺なりに頑張ったな
誰かが褒めてくれるわけじゃないけど
おつかれさま。
じゃん!!
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