見出し画像

ジビエの話と「鹿肉のメンチカツ」 の作り方【レシピで知る日本の食】

日経ビジネス電子版で「作り手とレシピで知る『日本の食』」という連載を始めました。

私は普段、中央省庁で働いていますが、休日は産地に赴き、地域の食材を料理し、伝えることをライフワークとしています。なぜそんなことをしているかというと、単純に「食べることがとても好きだから」という理由。美味しい食材を深掘っていくほど、それに携わった作り手の想いやストーリーを伝えずにはいられなくなります。

1回目に選んだテーマは「ジビエ」。記事全文はこちらからご覧いただけます。

なんで今ジビエなのか?

家庭料理で馴染みのある肉といえば、やはり鶏肉、豚肉、牛肉ですよね。
鹿や猪などの野生鳥獣の肉=ジビエは私たちの日常からはまだ遠い存在です。しかし、現在の日本の野生鳥獣による農作物被害額は158億円(2019年度)と深刻な状況。畑や山を荒らされる被害はニュースなどでも目にします。こちらは鹿に剝ぎ取られた木の根元。

画像3

そうした中で捕獲強化が徐々に進んではいるのですが、ジビエ利用率は、2018年度は鹿で13%、イノシシで6%。つまり、とっている生き物を私たちはなかなか食べることができていません。

野生鳥獣は、自然界の脅威ですが地域の資源でもあるのです。ジビエを考えることは都市と地方、里山のあり方など農林水産全体を考えることに繋がることになります。

シェフ絶賛!世界一の罠師 古田洋隆さん

ジビエの消費の中心は、レストランなどの専門店。私が今回記事にした猟師の古田さんを知ったのも、割烹伊勢すえよしの店主、田中佑樹さん主催している「いただきますスタディツアー」がきっかけです。スタディツアーとは
、『心の流通』をかかげる店主の田中さんと共にお店の枠を超えて、東京からお客と共に三重に行き、生産者の生の声を聞く企画。消費者×生産者の心の流通を双方向で行うきっかけをつくる事が目的とされています。

画像4

しかし、この罠師の古田さん、出会った時からとっても熱い方で、狩猟の話をしだしたら止まりません(笑)お会いしても電話でも、毎回熱い説明をして下さいます。全力で仕事に向き合い、それを伝えるために努力を惜しまないということは、とても重要なことだと感じました。

ツアーでは、古田さんの鹿肉を和食で味わったのですが、フレンチのイメージが強いジビエは、和風の調理でもこんなに美味しく食べられるんだ!と感動したのを覚えています。そもそも鹿やイノシシは山間部などの地域で捕れることが多いので、かしこまったフレンチだけでなく和食や家庭料理でもっと食べられてもよいのかもしれませんね。

家庭料理でジビエを食べるコツ!

スーパーで買えなくても、ECサイトで購入するというのは、いかがでしょう。食べチョクで「ジビエ」と検索するだけでも70件近く商品が出てきました。

調理の仕方が分からない方におススメしているのが、置き換えです。
例えば「牛肉レシピ➡鹿肉で置き換える」「豚肉レシピ➡猪肉で置き換える」これなら、簡単です。

画像4

おすすめの調理方法 -「鹿肉のメンチカツ」

普段は牛肉で作るメンチカツを鹿肉に置き換えただけのレシピです。今回は作り方をYouTubeにも公開していますので、ぜひ工程を見ながら作って下さい。

※最近始めたばかりですが、ぜひチャンネル登録いただけると嬉しいです!

(材料)
鹿ひき肉 … 250g
玉ねぎ(みじん切り) … 1/4個
A しょうゆ … 小さじ1
A 塩コショウ … 少々
A ナツメグ … 適量
A 卵 … 1個
A パン粉 … 15g
A 牛乳 … 大さじ2
揚げ油 … 適量
■衣材料(薄力粉、溶き卵、パン粉) … 適量
■付け合わせ(トマト、キャベツ、イタリアンパセリ) … 適量
■中濃ソース … 適量

(作り方)
① サラダ油(分量外)少々を敷いたフライパンに、玉ねぎを入れ、中火で軽くいためる。バットなどに移し、冷蔵庫で冷ます。
② ボウルに①と鹿ひき肉を合わせ、Aを入れ、軽く粘りが出るまで混ぜ、6等分にして、1個ずつ空気を抜きながら丸みのある球形にまとめる。
③ ②のたねに、薄力粉を薄くはたき、溶き卵にくぐらせ、パン粉をしっかりとつける。
④ 揚げ油を160℃くらいまで熱し、③を入れる。そのまま衣が固まるまで動かさず揚げ、きつね色になってきたらひっくり返す。裏側も同様に揚げ、カリッと全面色づいたら引き上げ、油を切りながら余熱でさらに火を通す。
⑤ お皿に盛り付け、くし形切りのトマト、千切りのキャベツ、イタリアンパセリを添える。中濃ソースをかけていただく。

画像3

ちゃんと処理された鹿肉って、本当においしいんですね。昔の臭みのある鹿肉のイメージをお持ちの方にも、食べて欲しいです。

連載では、今後もすてきな生産者を紹介していきます。チェックしていただけると嬉しいです。


中央省庁に勤務。日本の食と農に思いを馳せる妄想料理家。休日はNINO FARMにて野菜作りをしたり、全国の産地に出向き美味しい食材の魅力を発信する。フードアナリスト、野菜ソムリエ / 愛媛県出身/砥部焼大使。