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しらないまちと昭和の迷子の話

知らない街を歩いてみたいじゅんぷうです、こんにちは。

この前、東京に初雪が降った日のこと。予定があって電車で1時間ほどの場所に出かけていました。何度か来たことはあるものの、駅と目的地の往復だけでほぼほぼ知らない街。今にも降り出しそうな空でしたが、少し時間が空いてしまったので駅の反対側に出てみることに。

歩き始めて2~3分でぽつぽつと降り出したと思ったら、すぐに重たいみぞれに、そしてぱらぱらと霰になってきました。見た感じとくに何もなさそうだし、駅ナカでお茶して時間をつぶすのがよさそう。街ぶらを諦め駅にもどろうと信号待ちをしていると目の前に喫茶店。青に変わった信号を渡ってそのまま吸い込まれました。

お客さんは常連さん風の紳士がひとり。窓の外はもう雪になっていました。こんなときって妙な連帯感が生まれます。わたしはケーキとフレーバーティーを注文して、ママさんと紳士の会話を聞くともなく聞きながら外の雪を眺めていましたが「上野動物園に初めてパンダが来たときに入場券のモギリのバイトをしていた」というママさんの言葉につい「え!」と反応してしまいました。

わたしはその初めてのパンダ〈ランランとカンカン〉を見に行って迷子になったんです!と言うと紳士が「ボクの長男もパンダ見に行って迷子になった」と言うじゃないですか。紳士もお若いころ近辺に住まわれていたとか。

ランランとカンカンは日本に来た初めてのパンダ。わたしが生まれた年に日中国交正常化の証としてやってきたので、わたしが迷子になったのはその3~5年後とか。そのときでもパンダ舎の前では子ども列・大人列に分かれての見学だったので、パンダに夢中でまんまと両親と合流できなかったのです。

ママさんがモギッていたのと紳士の息子さんとわたしが迷子になったのが、そのランランとカンカン大フィーバーの何年間かのできごと。聞いたら息子さんはわたしの兄と同じ年で、小学生だったというから同じころかもしれない。わからないけど面白い。これが上野や浅草近辺での会話じゃないところと、雪で閉じ込められた(大げさですが)空間というのがまたちょっとしたお話のようでそれもいい。

それから浪曲・演歌の二葉百合子さんの話になり、プロマイドの話になり…。紳士が、鶴田浩二さんの野球チームと対戦したことがあると言って、そういえば少し前に鶴田浩二さんの野球チームにいたというお客様がいたことを思い出し、とにかく右上がりに盛り上がって気づけば予定の時刻になってしまい、あわててお会計をして去ったのでした。雪は止んでいました。あ、ケーキもお茶もおいしかったです。

動物園でも迷子になったし、デパートでも迷子になったし、兄の運動会でも迷子になって朝礼台の上でアナウンスされて兄に赤っ恥をかかせました。そんな華麗なる迷子歴を持つ昭和の子どもも、知らない街を気の向くまま歩けるようになったというお話。すべてはスマホのおかげかもしれないけれど。

今度はあの喫茶店を予定に入れて出かけよう。




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