中学

【Sec#2】 野球競技人口の激減〜中学校の場合〜

1 減る部活に減らないクラブチーム.野球はお金持ちしかできない?

中学生が野球をするとなると、選択肢は大きく分けて

・中学部活動

・軟式野球クラブ

・硬式野球クラブ

の3パターンとなろう。

既述しているように、若年層の野球競技人口は激減の一途を走っている。

中学部活動での野球は、日本中学校体育連盟HPよりの部員数を見ると、
軟式野球の男子部員数は2007年に305,053人であったのが、

2018年には166,800人と約半分程度に減少である。

少子化による人口減少が生じ、小中学生のスポーツ人口が減っているが、
それ以上に野球競技人口の減少は進行しているといえる。

各年代の数字を見てみると

軟式野球男子合計団員数

2007年=305,053人→2018年=166,800人

減少率 約46%

硬式野球クラブ。その競技人口の実態は?

では硬式クラブはどうであろう。

代表的な

・ボーイズ

・リトルシニア

・ヤング

をグラフで覗いてみよう。

(青がボーイズ、オレンジがリトルシニア 出典:JABAより)

ヤングに関しては

硬式クラブチームは、増加こそしていないものの、横ばい傾向を見せている。

この記事の一文に

「月謝は平均すると1万5千円ぐらい。高いところでも2万円程度。以前はもう少し高額なところもあったようですが、あまり高額だと選手の確保が難しいのが現状です。チームによって月謝は安くても遠征費、父兄会費など別途徴収している場合もあります。」

現代の中学生は、これらのスポーツに加え、塾や習い事を掛け持ち、
お金がかかることは明白である。

J.Coakly(2011)は

「社会階層はスポーツ参加に深く影響し、社会的不平等に関わっている」

と述べ、スポーツの参加には社会経済的地位が影響し、
野球に必須な高価な用具を買うことも、野球の競技人口減少に関与しているだろう。

それに加えて、現在の風潮は

野球部が減少→レベル低下→良い環境を求めクラブへ→月謝等お金がかかる→お金がある人だけが野球をできる

といった負のスパイラルを迎えてしまうだろう。

“野球は金がかかる”という言葉に偽りはないだろう。

他のスポーツを覗いてみる

日本中学校体育連盟HPよりの競技別の部員数(男子)を覗いてみると

小学生の傾向と同様、サッカー及びバスケットボールは横ばい傾向にある。

これらの数字に加え、ユースチームなど追加される要素を含んでいる。

さらに、個人競技であるバドミントンと陸上は相変わらず競技人口が増加してる

記事中には

「北京五輪に出場したオグシオこと小椋久美子・潮田玲子両選手の功績が大きい」

“オグシオブーム”により、競技人口が増え、協会登録選手が協会に支払う登録料収入も大幅に増加したという。

との記載がある。

確かにメジャー大会での躍進はスポーツ参加に大きく影響を与えるだろう。

しかし、野球のような日本において一大メジャースポーツの場合では、2009年、イチロー選手の劇的決勝打を持ってWBC優勝を果たしているものの、競技人口は減少の始まり点となっている。

本質的な問題が存在するのだろう。

競技人口減少=競技力の低下につながるのか?

アマチュア野球=NPBへの供給源の構図が現状だ。

(NPB 中学時代所属チーム形態 2016年 投手(331名)

グラフに直しても、軟式野球部が目立つ。

供給源である中学軟式野球部の競技人口減少は今後の競技力へ影響するのだろうか?

反省点は何処だ?模索する野球界

福井県の例を見てみよう。

中学校では次年度の新入部員数次第で、単独チームでの試合出場ができなくなるなど、競技人口減少による影響が見え始めた。

危機感を覚えた市軟式野球連盟や各中学校、チーム代表者などの野球関係者らが集まり「野球少年減少、歯止めへ解決策探る」ことを目的とし、30年ぶりに会合を行った。

結果、問題点として、

「経験者が中心になりがちな中学野球では、初心者も入りやすい環境づくりを進めることや、強制はしていないが慣例化している丸刈りをやめるなど」

野球はなぜ選ばれなくなってしまったのか。じっくり考える必要がある。

野球をしていなかった子どもが親へ・・・

競技人口減少を考えた時、最も恐るべき事態としては。親のスポーツ経験が子どもの「する」スポーツへの影響である。

親のスポーツへの関わり方がポジティブ、ネガティブに影響するだろう。すなわち、野球に対して“悪い”イメージを持っている親は子どもに野球をやらせるだろうか?

危機的状況であるということを今一度理解しなければならない。


若年層の競技人口減少に、危機を覚え 2018年より、草野球チームを法人化。 若造ですが野球へ「恩返し」を込め、語ります。 ※トップ画「ジャンクくん」 HP:https://www.junk-bbc.com/ FB&Twitter:@一般社団法人ジャンク野球団