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死ぬまでに観たい映画1001本#14   ~怒りの葡萄~

どうも!TJです!

このブログは、死ぬまでに観たい映画1001本に載っている映画を一本ずつレビューしていき、最終的に1001本全部レビューしていきたいなと思っています!3日に1回ほど更新出来たらいいなと思っております。

今回紹介する作品は、「怒りの葡萄」です!

一言で表すならば、「格差が招いた悲劇」です。

怒りの葡萄 1940年 監督 ジョン・フォード アメリカ

個人的評価 3.5

怒りの葡萄

歴史的にみても、重要だといえる映画です。1930年代の格差の拡大によるどうしようもない不条理を描いた作品となっています。スタインベックという方が書いた小説がもととなった作品です。

時は1930年代、世界恐慌に追われた時代です。大規模資本主義農業の進展及び、オクラホマ州などで発生したダストボウル(簡単にいうと砂嵐)の影響で多くの農家が貧困に追いやられます。主人公、トム・ジョードもその1人。家族ともども半強制的に自分の住んだ土地を離れざるを得なくなり、おんぼろトラックで仕事があると噂のカリフォルニアへ、かの有名なルート66をおんぼろトラックで走っていきます。トラックの中に、トム・ジョードの家族や親せきや知り合いの人を含め、13人乗っているわけです。1つのトラックに13人、地獄です。その中には、祖父、祖母、さらには妊婦もいるという。私自身、このトラックに乗っていたら耐えきれない自信があります。

アメリカ

この物語ではオクラホマ州からカリフォルニア州まで移動しています。距離にして2800㎞! 相当な距離ですよね。その距離を13人でぎゅうぎゅう詰めのなか移動するんですからね。ほぼ不可能です。

カリフォルニアで向かう道中で何人か死んでしまいます。そりゃそうです。体の弱ったお年寄りを2800㎞もの長距離の移動を強いるのですから。体は弱って当然です。

さらに、自分の愛した家族を弔うお金もありません。稼ぐためにカリフォルニアへと移動するわけですからね。お金がないのは仕方がありません。そして、仕方なく見知らぬ土地に埋葬するのです。本当だったら、地元に埋葬してあげたいんだろうな。

この時点で相当な悲劇です。しかし、これだけが悲劇ではないのです。更なる悲劇がこの家族を襲います。更なる悲劇は、この作品を観ればわかることでしょう。


1930年代のアメリカといえば、世界恐慌のあと、少しづつ復興を遂げていき、そして第二次世界大戦に突入する時代です。貧富の差があらわになる時代です。当時としては、社会情勢、貧困を真っ正面から描いていた映画だったのですごく話題になりました。

カリフォルニア州の人々と、そしてオクラホマ州の人々が怒り出したのです。私たちの現状はここまで残酷ではないと。前述したとおり、先に小説「怒りの葡萄」が出たのですが、その際、大批判をあび、小説出版からわずか2か月で「喜びの葡萄-ジョン・スタインベックの『怒りの葡萄』に対するカリフォルニアの清新溌溂たる回答」というパンフレットが出版されるほどでした。影響力がすさまじいですね。

そして映画を作る際、参考にするためにオクラホマ州を調査したところ、この作品中よりひどい光景が目の前に広がっていたといいます。想像するだけで恐ろしいですね。ここまで残酷ではないといっていたのはただの強がりなのか。それとも自分自身の置かれている惨状に気づけなかったのか。どちっらにせよ悲しいことに変わりはありません。

この作品は、いわば「教科書」です。華々しいアメリカの裏側ではこのような光景が広がっていたのです。作品自体はフィクションではありますが、ノンフィクションに近いリアルがこの映画では描かれているなと思います。後世に語り継がれるべき作品ですね。

そしてこの作品の一番良いところは、絶望の中にある微かな希望に向かっていく姿を見ることが出来るところです。作品の中には想像を絶するような地獄が描かれています。しかし、皆が微かな希望を信じ、それに向かっている、その姿を見るだけでも心が動かされます。

何かにくじけそうになっているとき、この映画を観ると少し勇気づけられるかもしれません。是非1度、ご覧になってみてはいかがでしょうか。

それでは皆さん、さよなら、さよなら、さよなら。


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