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「タマゴサンド」に教わった事③

鬼の部長に「喫茶店からカフェに改装って出来ませんか?」無視された。

閉店後企画書を書いてみた。企画書の書き方の本を読んだり色々勉強しながら書き終えた!

「部長!企画書読んでください。」鬼の部長に手渡すと目の前で読まずに床に捨てられた…当然最初から上手く行くとは思っていなかったが捨てられるとは予想していなかった。きっとこの企画書では部長は内容を見たいとは思わなかったんだろう。次は内容を見たくなるような企画書を作成しようとまた閉店後色々調べて書いた。

「部長!企画書読んでください。」鬼の部長に手渡すと内容を見ずに破って捨てられた…えっ?前より酷くなってるって事か…また書き直した。

「部長!カフェに行った事ありますか?先日の休みに私行ってきたのですが新しい時代って感じでほぼセルフサービスを取り入れていました。これってこれから必要な事かと思うんですがいかがですか?企画書読んでください。」鬼の部長に手渡すとやっと内容を見てくれた。しばらくじっくり目を通してくれた。「お前しつこいな?それに改装に必要な見積もりとかは?こんど業者を連れてくるから勉強しろ!」愛だ!愛を感じた!「ありがとうございます!」

業者さんに色々手解きしてもらい新しい企画書を作成し鬼の部長に手渡した。「後はオレの仕事だからお前は毎日の業務をしっかりやれ!」

数日が過ぎ店の外を見ると雨も降っていないのにビニール傘をクルクル回しながら上機嫌で鬼の部長が見回りに来た。「3000万用意した!来月の末で一旦閉店。それから改装に入る!」「えっ???ありがとうございます!!!」思わずガッツポーズをした。力いっぱいに!

バイト達にも同じ様に伝えてみんな楽しみにしてくれた。カフェになるのが楽しみでしかたなかった。

改装閉店の一週間前に鬼の部長が「おい!なんでまだバイトいる?」あまり意味がわからなかったが「みんなカフェになるの楽しみにしています!」鬼の部長の久しぶりの真顔を見た。「早くバイトをクビにしておけ。どうしても働きたい者は居酒屋を紹介する。」何も言葉が出なかった。「リニューアルするんだからスタッフも入れ替える。お前は駅前の売上1番の大型店の店長になる」「…」当たり前のようにカフェになっても私が店長でバイト達とやるものだと思っていた。

バイト達に解雇を言えず最終営業をした。私は責任を取って辞表を出す覚悟でいた。

あの時、「タマゴサンド美味しかったよ」で泣いて喜んでいる私を微笑ましく見つめていてくれた店長とは程遠いダメな店長になっていた。

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