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「タマゴサンド」に教わった事②

店長の移動で突然降ってきた話がホールで出て接客をする事だった。しばらくは店長不在のままだと鬼の部長が辞令を出してきた。この鬼の部長は見た目も中身も怖くて威圧的で理不尽な事を平気で言う人だ。創業者の一人でもあるので部長を叱る人は誰もいなかった。
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鬼の部長にしごかれながら理不尽にも我慢をし学べる事を沢山吸収させてもらった。半年ほど店長不在の状態だったが売上を落とさないでいた私に店長をやってみろと鬼の部長からの辞令が出た。

これ以上何をどんだけやればいいのだろうか…私には明確な目標を立てられなかった。でもよく鬼の部長がトイレだけは店が古くてもキレイにしておけってかなり口うるさく言っていた。今の私にできる事はトイレをとことんキレイにする事を目標とした。1日のなかで何度も何度もトイレを掃除し常にピカピカし保った。

ある日、店長会議があるから本社へ来るようにと言われた。居酒屋の会社なので喫茶店は店長会議に参加していなかったのだが鬼の部長の命令なのでビシッとスーツを着て会議に出た。

本社にある大きな会議室で全店舗30人ほどの店長が社長を先頭に円形に並んでいた。まずは今月の数字と課題と改善点を売上トップの店から発表させられた。私の喫茶店は最後だ。「今月の目標は達成できませんでした。来月から頑張ります!」威勢のいい声で居酒屋の店長が次々に発表していた。私の番が来たとき社長が「あー喫茶店は発表しなくていいよ」と…そこに間髪入れすに鬼の部長が「せっかく初めての参加なんだから発表してもらいましょう!」と余計なことを…

「え…っと今月の目標の数字はわからないです。来月の数字もわからないです。数字はわからないですが今取り組んでいる常にピカピカのトイレを継続してやります!」とっさに出た言葉がこれだった。幼稚にもほどがある…

会議室はしばらく沈黙だった。鬼の部長が「お前ら聞いたか?」ゲラゲラ笑いが起こった。「何を笑ってんだ!!!お前ら全員同じ事しか言わん!頑張りますって子供は泣くことヤクザはカツアゲ!みんな頑張ってるんや!頑張るのは当たり前や!何を頑張るか!それが大事!目標を明確に出来ることをやって積み重ねてやっと売上が伸びるんだ!」と激高した。すぐに休憩に入り喫煙所に行った。すると先輩店長たちから「お前のせいで部長に怒られたやろ!」と言い掛かりをつけられた。そこへ鬼の部長が登場。私の肩を叩いて「よくやった!」えっ?褒められてる?この時妙に鬼の部長から可愛がられていると感じた。

そんな日々が続き鬼の部長のお陰もあって売上を伸ばせるようにもなった。しかし時代の流れは喫茶店という古いものを置き去りにしかけていた。色々な本を読んだりしていたらアメリカでスターバックスというカフェが日本に進出してくると…益々風向きが怪しくなってきた。

毎日見回りに来る鬼の部長に「喫茶店からカフェに改装って出来ませんか?」無視された。閉店後企画書を書いてみた。

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