見出し画像

Char@日比谷野外音楽堂

2024年9月28日(土)

日比谷野外音楽堂で、Char。
タイトルは「For another 100 years」。

バンドは小島良喜(Key)、澤田浩史(bass)、Tully Ryan(Drums)。ゲストにミッキー吉野(Key)、仲井戸”CHABO”麗市(Guitar&Vocal)。

Charの野音に対する思いが強く表されていたライブだった。Charは野音の想い出を言葉にもしていた。子供の頃に観たという10円コンサートや99円コンサートのことをミッキーと話したりもした。10円や99円でもCharは塀を乗り越えて中に入ったと言っていた(僕も若い頃にそれをやったことがある。もう時効だからいいですよね・笑)。

節目節目にCharは野音のステージに立ってきた。自分もJ.L.&Cの時代から何度Charを野音で観たかわからない。野音で観た回数の最も多いアーティストがCharだ。どのホールで観るよりも野音でCharを観るのが好きだ。

チャボがストーンズの「レイン・フォール・ダウン」を自身の日本語詞で歌ったあと(『CHABO』収録曲「雨!」の元型だ)、「絶対に雨が降ると思ったからこれを選んだのに」「稀代の雨男、Char!」と言っていたが、実際その通りで、雨の野音でCharを観ることはこれまでかなり多かった。しかしこの日は降らずに、秋の過ごしやすい気候となった。Charも言ってたが、まだ日のある夕方に始まり、ライブの途中で暮れて夜になる、そのような野音のライブはやはりいいものだ。

まずは現バンドのみで数十分。ZAXに代わって昨年からCharと一緒にやるようになったTully Ryan(GODTETほか)のドラムは一音一音がズシンと重く、過去曲もより強度が増す印象。小島良喜の鍵盤音はこの日もソウル味のある曲でとりわけいい鳴りを示した。澤田浩史のベースは、僕はこの前日、birdのビルボードライブ東京公演で聴いたばかりだったので2日連続。Tullyのドラムとの相性のよさを感じさせた。何曲かは肩慣らし的な感じで演奏していたが、わりと早い段階で「Merry Go Round」をやってくれたりして、客の何人かがそこで立ち上がった。そうせずにいられない曲だ。

しばらくして、まずゲストひとりめのミッキー吉野が呼ばれた。アドリブ的にゴタイゴ「モンキーマジック」をちょろっとやってからの「かげろう」にしびれた。「UNCLE JACK」では小島良喜とミッキーがそれぞれソロを弾き分け、それも聴きどころだった。しかし自分的に最もグッときたのは「Wondering Again」だ。僕が初めてCharを観に行ったのは1978年8月の「Char with Godiego at 武道館」。ブレイクする前のゴダイゴがCharのバックを務めた公演だが、そのときにとりわけ感動した曲が「Wondering Again」だった。もちろんこの曲はこれまでの節目のライブ(武道館の還暦ライブとか45周年ライブとか)でも歌われてきたが、それを(この曲が収録されたアルバム『Thrill』のレコーディングメンバーだった)ミッキーの鍵盤に乗せて歌うのだ。46年経ってまたそれを観れた(聴けた)んだから、そりゃあもうたまらない気持ちになった。自分の思いが乗っているからそう感じたのかもしれないが、これまでのどのライブで聴いた「Wondering Again」よりも素晴らしかった。長くファンを続けているとこういう奇跡のような場面に立ち会うことができるのだ。僕はもう胸がいっぱいになってしまった。

ふたりめのゲストであるチャボは、Charとバンドと共に先に書いた通りストーンズの「レイン・フォール・ダウン」、それから同じくストーンズの「ドント・ストップ」(これもチャボの日本語詞。しかもCharに向けての)を歌ったり、RCの「いい事ばかりはありゃしない」を歌ったり。アンコールでは「雨上がりの夜空に」もやった。つまりチャボはCharに寄せるのではなく、チャボらしい“野音のライブ“を見せた。Charが歌うべきところで歌わずにいたところはさらりと自分が歌ってフォローもした。

「清志郎も今日観に来てくれてるね」と言うチャボ。するとCharは「いや、今日はいろんなやつがもう」と言って、石やんやマーちゃん(加部さん)の名前も。すかさず「ジョニーも」と加えてフォローする気遣いのチャボ。だいたいにおいてチャボは情緒的な話をしがちで、Charはというと情緒的に行き過ぎるのを避けて冗談で落としたがる。タイプは違えど、どちらも愛が根底にあっていくつになってもかっこいい。

チャボは加えて「RCが屋根裏でやってた時にCharが何度か観に来てくれて、J.L.&Cの武道館の前座でRCを出してくれた。あれでオレもキヨシローも自信がついたんだ。ずっと感謝してる」といったことも話していた。僕はそのライブも観ている。Charのゴダイゴとの武道館ライブもそうだが、昔観たそういう重要なライブが間違いなく自分の成分となり、全部が繋がって今があるのだと強く感じる。

「Future Child」も「Tokyo Night」も「Livin'in Tokyo」も「空模様のかげんが悪くなる前に」も、もちろん「Shinin you~」もやった。アンコールでキャストが揃っての「雨上がり~」で大団円……というふうにはしないで、チャボとミッキーがはけてから再びCharが引き取ってハードにロックし、ダブルアンコールで「Apple Juice」をやって締めたのもよかった。

やっぱり野音のCharは最高。来年も再来年もまだまだこの先何度でも野音でCharを観たい。


以下、近年のCharのライブの感想です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?