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【153.水曜映画れびゅ~】『デデデデ』~史上最高のアニメ映画~

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』は、3月22日に前章が、5月24日に後章が公開されたアニメ映画。

原作は浅野いにお。主人公2人の声を務めるのは幾多りらと、あのちゃんです。

あらすじ

前章

東京でハイテンション女子高生ライフを送る、小山門出と“おんたん”こと中川凰蘭。学校や受験勉強に追われつつも毎晩オンラインゲームで盛り上がる2人が暮らす街の上空には、3年前の8月31日、突如宇宙から出現し未曽有の事態を引き起こした巨大な〈母艦〉が浮かんでいた。非日常が日常に溶け込んでしまったある夜、仲良しクラスメイトに悲劇が起こる。衝撃と哀しみに打ちのめされる二人。そんな中、凰蘭は不思議な少年に出会い「君は誰?」と問いかけられる。その途端、凰蘭の脳裏に、すっかり忘れていた門出との過去が一瞬にして蘇る――!

公式サイトより

後章

入試に合格し、亜衣や凛と同じ大学に通うことになった門出と凰蘭。大学では竹本ふたば、田井沼マコトと意気投合、会長の尾城先輩がいるオカルト研究会に入部してキャンパスライフが始まった。一方、宇宙からの〈侵略者〉は東京のそこかしこで目撃され、自衛隊は無慈悲な駆除活動を粛々と実行していた。上空には、傾いて煙が立ち上る母艦。政府転覆を狙い〈侵略者〉狩りを続ける過激派グループ・青共闘の暗躍。世界の終わりに向かうカウントダウンが刻まれる中、凰蘭は、またもあの不思議な少年・大葉に遭遇する…。

公式サイトより

非日常の下で送る日常

ある日、<母艦>と思われる謎の飛行物体が東京の頭上を覆った。

「何のために、何が来たのか?」

そんなことを考える前に、人類は攻撃に出た。

・・・

<母艦>が現れて、3年が経った。

東京の高校に通う小山門出と、“おんたん”こと中川凰蘭は、<母艦>が頭上に浮かんでいること以外は、特に変わりのない日常を送っていた。学校で勉強し、友達と遊び、恋をし、そして家に帰って毎晩毎晩FPSゲームをしていた。

しかし、彼女たちの日常は少しずつ歪み始める。

<母艦>への攻撃の過激化、二分される世論、ネットに溢れるデマと真実、侵略者の目撃情報、そして友達の死…。

そんななか門出とおんたんは、人間に寄生した侵略者<大葉>と出会う。しかし2人は<大葉>を敵対することなく、むしろ友達となり、ともに生活を送るようになる。

2人の日常に溶け込んだ<大葉>だったが、ある日、ひょんなことから彼は“とある過去”を知ってしまう。それは、この“日常が非日常に変わった”根幹にかかわる真実だった。

浅野いにお、徹底監修

本作は『おやすみプンプン』などを手掛けた漫画家浅野いにおの同名漫画が原作。『ソラニン』をはじめ、これまで多くの作品が実写映画化されてきましたが、今回は、いにお作品初のアニメ映画化です。

配給会社GAGAと気鋭のアニメ制作会社Production +h、監督には黒川智之、脚本には吉田玲子という布陣で、浅野いにお徹底監修の下で制作されました。

主人公の2人を幾多りらあのちゃんが務めていますが、この決定にも浅野いにおが大きく携わっています。まず、おんたんの声優オーディションで強烈な印象を残したのが、あのちゃん。当時はまだ世間的な知名度が今よりも低かったようですが、オーディションに立ち会った浅野いにお曰く「あのちゃんの演技を観た時に、僕の中では彼女で確定だった」とのこと。しかしその後、あのちゃんという存在と対になる門出役の選考が難航します。そこで浅野いにおは、『竜とそばかすの姫』(2021)にてすでに声優経験のあった幾多りらに直々にオファーをし、この夢の共演が実現しました。

また最も驚くべきことは、このアニメを浅野いにお自身も描いているということ。すべての原画に原作者チェックを入れていき、最終的には自らもペンを執ったのです。なので、前章のエンドロールには「原画」、後章には「作画監督」としても名を連ねています。

そこまでこだわった結果として、当初予定していた後章の公開日「4月19日」が「5月24日」までずれ込んでしまったのだと考えられます。

混沌の時代を描く

本作の原作は、『ビッグコミックスピリッツ』にて2014年~2022年に連載されていました。

東日本大震災、原発事故、特定秘密保護法、SEALDs、国際情勢の不安定化、日米関係、コロナ禍、東京オリンピック、そしてSNSの発達…。

連載期間の前後に起きた社会問題を、浅野いにおは漫画の内容に積極的に盛り込んでいきました。いやむしろ、「そういった部分が描きたくて、この漫画を描いた」のだと思います。実際に、そのような主旨の発言もしていました。

…という風に語ってはいるものの、実を言うと私は長年のデデデデファンというわけではありません。むしろミーハーというか、前章を観るまでは原作も未読でした。

でも、前章を観て…

ぶっ飛びました!

文句なしの大傑作!今まで観たアニメ映画のなかで、史上最高に面白かったのです。

そうして完全にデデデデに魅了されてしてしまった私は、気づけば書店で全巻を一気買いしていました。

実は『おやすみプンプン』も未読で、
いにお作品を読破したのは今回が初めて。

映画オリジナルエンディング

後章公開までに全巻読破し、期待に胸を膨らせました。しかしそれと同時に、不安感もありました。

それというのは、前章は漫画全体の5分の2くらいの内容しかカバーされていなかったからです。しかも物語の後半部分は話が複雑化していて、これをまとめ上げるのは至難の業だと素人ながら感じていました。

そして最も気がかりだったのが、後章予告で告知された”映画オリジナルエンディング”という謳い文句。どこまで脚色するのか?そして原作以上の結末を望んでいいのか…?という気持ちを抱えながら、5月23日の「デデデデ前夜祭 前章・後章一挙上映」に臨みました。

そして全て観終わった後…

再び、ぶっ飛びました!

多くの人に私と同じ感覚をしてほしいので、内容についてはあまり言及はしません。しかし、とにかく凄かった…。そして個人的に思ったのは、この間に原作を読んでおいて本当に良かった、ということ。というのも、映画には原作のストーリーとの明確な分岐点が存在していたからです。原作を読んだ立場からすれば、その分岐が鳥肌ものでした。

・・・

ということで今回は、JUN的史上最高のアニメ映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』を紹介させていただきました。その評判は巷でも絶賛の嵐なので、本当に多くの人に観てもらいたい作品です。

そして、映画を観もしないで「『デデデデ』大爆死wwwwww」とかSNSに投稿している野郎には、そいつがデデデデを観に行くまで俺がしつこく粘着して心霊写真をポストし続けるから、覚悟しとけ。


前回記事と、次回記事

前回投稿した記事はこちらから!

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次回の更新では、昨年のカンヌ国際映画祭でグランプリ受賞、そして今年のアカデミー賞では国際長編賞とサウンド賞の2部門受賞した"The Zone of Interest"関心領域を紹介させていただきます。

お楽しみに!