見出し画像

【152.水曜映画れびゅ~】『トラペジウム』~夢と、エゴ~

『トラペジウム』は、5月10日から劇場公開されている映画。

乃木坂46の1期生 髙山一実の同名小説を、アニメ映画化した作品です。

あらすじ

高校1年生の東ゆうは“絶対にアイドルになる”ために、自らに「4箇条」を課して高校生活を送っている。
1)SNSはやらない
2)彼氏は作らない
3)学校では目立たない
4)東西南北の美少女を仲間にする
半島地域「城州」の東に位置する城州東高校に通うゆうは、他の3つの方角の高校へと足を運び、かわいい女の子と友達になる計画を進める。その裏には、「東西南北の美少女を集めてアイドルグループを結成する」という野望があった。
西テクノ工業高等専門学校2年生で、高専ロボコン優勝を目指す“西の星”大河くるみ。聖南テネリタス女学院2年生で、お蝶夫人に憧れる“南の星“華鳥蘭子。城州北高校1年生で、ボランティア活動に勤しむ“北の星”亀井美嘉。ゆうの計画を知り協力する男子高校生・工藤真司のサポートもあり、ゆうは3人の美少女と友達になる。

公式サイトより一部改編

夢で終わらせない

高校1年生の東ゆうの夢は、アイドルになること。ありきたりな夢に思えるが、彼女が夢の実現のために掲げた計画は、驚くべきものだった。

彼女の住む半島地域「城州」。その東西南北の各校から、東はアイドルの素質がある女子高生をスカウトし、自らアイドルグループを作ろうとするのだ。

南は、根っからのお嬢様気質である華鳥蘭子
西は、高専ロボコン優勝を目指す大河くるみ
北は、ボランティア活動に勤しむ亀井美嘉
東は、東ゆう自身。

まずは友達になり、4人で過ごす時間を増やしていく。その後、地元のボランティア活動に参加。すると東の狙い通り、美少女4人がボランティア活動をしているとメディアに取り上げられる。

そこからトントン拍子に話が進み、地元のバラエティー番組に出演。そこからアイドルデビューの話が持ち上がり、いよいよ夢の目前まで来た。

しかし、アイドルは東だけの夢であった、

アイドルになる気のなかった普通の女子高生3人と東の間に、大きな溝ができ始める。

高山一実×CloverWorks×星街すいせい

本作の原作は、乃木坂46の1期生髙山一実が、乃木坂在籍中に『ダヴィンチ』にて連載していた同名小説。

アニメ映画化にあたり、制作を手掛けたのはCloverWorks。『スパイ・ファミリー』や『ぼっち・ざ・ろっく』などを送り出した、今一番勢いのあるアニメ制作会社のバックアップにより、映画化されました。

そしてさらに目を見張るのが、主題歌の大抜擢。「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」を世に送り出したMAISONdesプロデュースの下、VTuberの星街すいせいが主題歌担当。この曲が、めっちゃいい!

つまり、各界隈のオタクが(そして何より私がっ!)大興奮の一作なんです!!

夢と、エゴ

「絶対に、アイドルになる」

そう夢を掲げて邁進していく東。そして実際に、物語の前半では東の計画通りに物事が進み、アイドルデビュー目前まで行きます。正直言って、アイドルデビューまでの展開はマジで話が上手くいきすぎで、しかも信じられないくらいのスピード感で話が進むので、「これって全部、東の妄想なんじゃないの?」って勘ぐってしまいたくなるほどした。

しかし、そんなことは別にどうでもいい。なぜなら物語の本質は、アイドルデビューではないのです。

この作品のメインは、「夢と、エゴ」。

アイドルの夢はあくまで、東の夢。そして、他の3人は、東にとって、ただの夢への手段でしかありませんでした。自分がアイドルになれれば、それでいい。

「みんなもどうせアイドルになりたいんだから、あたしがその夢をかなえてあげる」気づけば東は、自分の夢を他人にも押し付けるようになります。

つまり、東ゆうは最低最悪のエゴイストなのです。

どうしても叶えたい夢がある。
夢を夢で終わらせたくない。
諦めたくない。
それならば、たとえ自分のエゴに他人を巻き込んだとしても、夢を追うことを許してほしい。

そんな東と、ほか3人との関係性の崩壊が描かれていきます。映像はめちゃくちゃ綺麗なのに対して、その展開がグロテスクすぎて、ぶっちゃけ後半は見るのがつらかったです。

そして、ラストシーン。ここは、号泣でした。

・・・

今回は、原作を未読で鑑賞しました。90分弱の作品だったので、サクッとみられる一方で、色々と省かれいる部分もあるように思えたので、また原作も読んでみます。


前回記事と、次回記事

前回投稿した記事はこちらから!

これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!

次回の更新で紹介する作品は、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』。現時点ではまだ後章を見ていませんが、原作も傑作、前章も傑作だったので、絶対に後章も”大傑作 間違いなし"と確信して、すでに記事の準備を始めています。

お楽しみに!