見出し画像

"主演男優賞"編:第94回 米アカデミー賞 大予想!!

今月末3月28日(日本時間)に行われる米アカデミー賞。
それに先立ち、2月8日(日本時間)に各部門のノミネーションが発表されました。

アメリカはもちろん世界中が注目する最高峰の映画の祭典。
その開催まであと約3週間。
今回はオスカー主要6部門の中の一つ、主演男優賞の予想をしたいと思います!

本命:ベネディクト・カンバーバッチ (『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)

今回の主演男優賞は二択なのですが、私としては『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のベネディクト・カンバーバッチを一番に推したいと思います。

カンバーバッチが演じたのは、高圧的かつ独善的で、男らしさという男らしさを具現化したようなカーボーイのフィル。

しかし、弟ジョージ(ジェシー・プレモンス)が結婚したローズ(キルスティン・ダンスト)の連れ子ピーター(コディ・スミット=マクフィー)との出会いにより、そんな彼のマスキュリズムの中で隠されていた、ある一面が現れてもきます。

そんな複雑なキャラクターを見事に演じきったカンバーバッチ。

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』から他3名の俳優もノミネートされていますが、すべてはカンバーバッチのこの演技があったからこそ成り立っていたといえます。

英国随一の人気俳優ですが、西部訛りも完璧に使いこなしていましたね。

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014)の好演以来、2度目の主演男優賞ノミネート。ニューヨーク映画批評家協会賞で同カテゴリーを受賞しており、例年であれば受賞確実と断言したいところですが…。

対抗:ウィル・スミス (『ドリームプラン』)

そんなカンバーバッチ以上に期待されているのが『ドリームプラン』のウィル・スミス

女子テニス界最強の姉妹と謳われるビーナス/セリーナ・ウィリアムズ姉妹を育て上げた父リチャード・ウィリアムズを演じたウィル・スミス。その超クセ強な性格を見事に演じ「ウィル・スミス史上最高の演技」として絶賛されています。

事実、ゴールデングローブ賞や全米映画俳優組合賞といった前哨戦では、カンバーバッチを押さえて同カテゴリーを受賞。『幸せのちから』(2006)以来15年ぶり3度目のノミネーションでアカデミー賞に戻ってくる彼が、長年の功績も踏まえれば、実質の最有力候補ではあります。

受賞となれば、シドニー・ポワチエ、デンゼル・ワシントン、ジェイミー・フォックス、フォレスト・ウィテカーというレジェンド達と並び、史上5人目の黒人俳優での主演男優賞受賞となります。

単穴:アンドリュー・ガーフィールド (『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』)

アンドリュー・ガーフィールドが、Netflix映画『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』よりノミネート。

"Seasons of Love"といった名曲でも知られる名作ミュージカル『RENT』を生み出したジョナサン・ラーソンの自叙的ミュージカルを映画化した今作において、主演を務めました。

根は良い奴なんだけど、こだわりが強すぎ妥協もしない。しかし、人生のタイムリミットが迫ってくる音は確実に迫ってきている…。

後に天才と呼ばれるジョナサン・ラーソンという人物を、アンドリュー・ガーフィールドらしい柔和な演技と歌声で作り上げていました。

『ソーシャル・ネットワーク』(2010)や『沈黙 -サイレンス-』(2016)などで凄まじい好演を魅せてきたガーフィールド。オスカーノミネート自体は『ハクソー・リッジ』(2016)以来2回目というのは、ちょっと意外ですね。

穴:デンゼル・ワシントン (『マクベス』)

『マクベス』により、名優デンゼル・ワシントン が、俳優部門実に9回目となるノミネート。

シェイクスピアの四大悲劇の一つを、ジョエル・コーエン監督で映画化した今作。舞台俳優としてシェイクスピア作品とは深いかかわりがあるデンゼル・ワシントンが、原作に忠実に作られたこの作品において、悲劇へと向かうマクベス王その姿を、見事に体現しました。
マクベスを演じること自体は初めてだったらしいですが、その圧倒的迫力はさすが!の一言に尽きます。

ちなみに、ウィル・スミスとデンゼル・ワシントンが主演男優賞で肩を並べるのは、2002年以来二度目。その時はデンゼルが『トレーニング デイ』(2001)で初の主演男優賞を受賞しました。

20年ぶりのマッチアップ、どうなるでしょうか?

大穴:ハビエル・バルデム (『愛すべき夫妻の秘密』)

※日本語字幕のないトレーラーです。

アーロン・ソーキン監督作『愛すべき夫妻の秘密』より、ハビエル・バルデムがノミネート。

一世を風靡したシットコム番組『アイ・ラブ・ルーシー』で主人公のリカード夫妻を演じた、ルシル・ボールとデジ・アーナズの関係を描いた今作。
そのデジ・アーナズを演じたのが、バルデムです。

陽気で人海戦術がうまく、とにかく口がうまいデジ。しかし、ニコール・キッドマン演じる妻ルシルとの関係には、少しずつ不和が生じてくる。

そんなキャラクター性をしっかり作り上げるとともに、キューバ出身であるデジ・アーナズの癖の強いスペイン訛りも、スペイン出身のバルデムの起用で見事に当たっていましたね。

助演男優賞を受賞した『ノーカントリー』(2007)を含め、4度目のオスカーノミネーションを誇る名優。

また、妻のペネロペ・クルスも『パラレル・マザーズ』で主演女優賞にノミネートされており、ジェシー・プレモンス/キルスティン・ダンスト夫妻と並び、夫婦揃ってのノミネーションという快挙となっています。

前哨戦の結果

ゴールデングローブ賞:
⇒ドラマ部門
ウィル・スミス (『ドリームプラン』)
⇒ミュージカル・コメディ部門
アンドリュー・ガーフィールド (『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』)

全米映画俳優組合賞(SAG Awards):
ウィル・スミス (『ドリームプラン』)

英国アカデミー賞(BAFTA):
ウィル・スミス (『ドリームプラン』)

前述した通り、とにかくウィル・スミスが強い!
特に全米映画俳優組合賞での、涙ぐみながらの受賞スピーチには私も心打たれちゃって、「ウィル・スミスにオスカーも!」って思いましたね。

英国アカデミー賞には残念ながら出席できていませんでしたが、ウィル・スミスの受賞がコールされたときの会場の盛り上がりは、半端じゃなかったですね。

ただ、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』の引き込まれるようなカンバーバッチの演技も捨てがたく、まだまだ行方は分からないです。

正直、もうここまでくれば好みの問題ですから、「この際ダブル受賞でよくね?」っていうのが、ホンネですね…(笑)。


他の予想記事、またオスカー関連映画のレビュー記事に興味のある方はこちら!!!