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“初志貫徹”病が招くリスク

みんな実は気づいているのだけど、言い出せないでいることシリーズ。

僕は、初志貫徹という表現が好きではありません。正確に言えば、初志貫徹している人がスゴイと思われている風潮が好きではありません。

大多数の人は、初志貫徹病に罹患しています。そして、その事によって、大きな損害を互いに与え合っています。まずは、この事実を理解しましょう。

簡単な例を挙げると「アップル製品は使わない!」とどこかで公言してしまった人は、以降、どんなにアップルがあなた好みの製品を出したとしても、おいそれと乗り換えるわけにはいかなくなるということです。

「そんくらい別にいいじゃん」

と思うでしょう。周りは意外とそうなんですが、本人は「あ、やべえ」と思いつつも、初志貫徹病にかかっているので簡単に方向転換できません。そういうものです。

毎朝6時に起きる! と宣言したとして、2ヶ月続いたとして、ある日「目覚めは8時以降でないとパフォーマンスが落ちる」という研究結果が出たとして。

初志貫徹病にかかっている人は実は仕事のパフォーマンスを落としているのだと思いながらも、6時起きを続けているのです。似たような事例を2つ出したのは、特に意味はありません。

もちろん、だからといって「コロコロ意見変えちゃいなよ」と言っているわけではありませんよ。そりゃあ極端ってものです。会社組織なんかで、朝令暮改が横行していたら、指示系統がめちゃくちゃになって仕事が前に進みません。それくらいは想像がつきます。

要するに、何が言いたいかと言うと「人って考えが変わるものだから、初志貫徹こそが正義みたいなものはやめませんか」という話。

先の例で、アップルを使わない宣言をしちゃっている人が、アップルを使ったらめちゃくちゃ効率的なことになって大成功したかもしれません。変な風潮とかがあるばっかりに、いらぬ意地を張ってチャンスを失ったり、結構な我慢をしなければならなくなる、なんてことがきっとあると思うのです。

日本の離婚率は35%前後と言われています。実行している夫婦がそのくらいなのであれば、潜在的に離婚はしたいけど、子どもとか、世間体とか、生活が、とかの理由で我慢している人を合わせるともっといるはずです。

この人たちは結婚するときに「はい、誓います」的なことをやっているわけで、それが初志だとしたら、貫徹できていない人は実際に多いわけです。近年は離婚も当たり前になって、世間からも白い目で見られることは少なくなりました。

ここでもう一度考えます。初志貫徹をして、いろいろ我慢して苦しい思いをしながらも結婚生活を続ける人は偉くて、「あ、やっぱり違ったかも」と思って離婚した人はダメなのでしょうか。そんなことありませんよね。多分。

そうです。人の気持は変わるのです。それは経験を重ねることによって変わった成長かもしれませんし、単なる移ろいかもしれません。

ただ、その時々、本当に心から行動したいことが「初志」によって妨げられているのなら、思い切って初志を捨ててしまうのもアリなのではないでしょうか。

そして、そういう決断をした人を非難するのはダサい、という風潮にしたいです。非難をする人たちは「自分は我慢して初志貫徹中なのに、何やめてんだよ」みたいな嫉妬やヒガミ、その他もろもろの感情があるかもしれませんが、そこはぐっとこらえましょう。お互い様、ということで。


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