少しずつ読む フランツ・カフカ 『変身』2日目 ドイツ語
🌈訳
グレゴールは視線を窓の方へやった。どんよりとした天気だった。ーー窓の板金の上に雨のしずくが打ち付けているのが聞こえた。それが彼をすっかり陰鬱な気分にさせた。私はもう少し眠って馬鹿げた物事を忘れ去るとすればどうなんだろうかと考えたが、それは完璧に望めなかった。彼は右向きになって眠ることになじんでいた。しかし現在の状態では、この位置に持って行くことはできなかった。右の方へ向くのに、どんな力をもってしても、再び振り子のようにゆれるだけで、仰向けの態勢に戻ってしまうのだった。彼は、せわしなく動く両足を見ないで済むように、目を閉じたうえ、100回もそれを試してみた。そして、脇腹の方にまだ感じたことの無かった、軽い、おぼろげな痛みを感じ始めたので、ようやく諦めた。
🌈単語
✅auf|schlagen
♢他動詞
③(上に)打ち付ける
✅Blick
♢男性名詞
①視線、まなざし
✅richtete
♢richten
✅trübe
♢形容詞
1(液体などが)濁った、混濁した、不透明の 曇った、よごれた どんよりとした 曇天の
✅blech
♢Blech 中性名詞
①薄い金属板、板金
✅Narrheiten
♢女性名詞
①((単数で))愚かさ
②ばかげた言動<振る舞い>、愚行
③悪ふざけ、ばかはしゃぎ
✅undurchführbar
♢形容詞
実行不可能な
✅gewöhnt
♢gewöhnen 他動詞
an
・・・を・・・になじませる、慣れさせる
絶望の文学者と言われたカフカ。さすが、最初から絶望的な状況に主人公が立たされていますね。
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