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精いっぱいの歩み

新しい年になり、一カ月が経とうとしている。

年が明けたらすぐに心を入れ替えられる——そう思っていたのに、私の仕事への執着心は想像以上に強かった。

大好きだった広報の仕事。
不本意に離れなければならなくなったことが、いまだに悔しくてたまらない。
なぜ私が逃げなくちゃならないのかと、何度も心の中で叫び、もがく日々が続いていた。

私はハラスメントを受けたほうなのだ。
広報担当として多くの役職員に認めてもらえていたし、目に見える成果も出していた。
私の異動後、総合職3名の増員申請をしているらしい。
なぜ一般職の私の代わりに3名の総合職なのか、なぜ私が従事している間には1人も増員してくれなかったのか——いろいろと不条理なことに感情を乱される。

胸の苦しさが昨年よりも酷くなり、これはもしかしたら心臓に異常があるのではないかとさえ思え、循環器科のクリニックに駆け込んだ。

血液検査
尿検査
心電図検査
X線検査

当日にでき得る検査をすべて行い、医師はその結果を見て端的にこう言った。

「心臓の肥大もなく、血液検査からしてもその他の異常は見られませんね。心配要らないですよ。」

正直、私は拍子抜けしてしまったのだが、それはそれで何かが吹っ切れた気がした。

そうか、この不調は身体的なものではなく、精神的なものなのか。
それならば、少しずつ癒していけばいいだけだ。

それからの私は、仕事しかなかった意識をそれ以外のことに向けるようにした。
意地でも何でも、自分は変わらなければと思ったし、変わったことの証にしたかった。

前から気になっていた株式投資を始め、
将来に向けて本格的な貯蓄を始め、
後輩たちの不満の声に耳を傾け、
エディタースクールの資料請求をして校正者を目指すことにし、
しばらく疎遠になっていた知人や友人に手紙やメッセージを送った。

これまでできていなかったことを急に実行した、そんな一カ月だった。

もがきながらも、少しずつ少しずつ、歩めばいい。
そうして、これまでとは違う自分を見い出せたらいい。

いまはそう思うことで精いっぱいだけれど、焦らず、怠らず、起死回生の機会を待ち、いざとなったら発揮できるよう、チカラを蓄えておきたい。