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未来のリーダー像とオープンイノベーションの重要性

TURNS誌面に掲載した「地方創生スタートアップ会議 in 奈良」(vol.47)の連載を振り返り、地域プロデューサーの斎藤潤一さんに、あらためて掲載後、奈良県を再訪し、3名の市長の皆さんと面談してきたという齋藤さん。その内容をふまえ、今、元気な地域、奈良県の魅力を綴るアフタートークをお届けします。


語り手:齋藤潤一(地域プロデューサー)
聞き手:笠井美春


奈良を巡って感じた、魅力ある地域づくりと未来のリーダー像

−−まずは奈良のお話から振り返ってきます。今回、齋藤さんは改めて奈良を巡り、奈良市の仲川げん市長、生駒市の小紫雅史市長、そして、三宅町の森田浩司町長とお話をされたということですが、皆さんの印象から聞かせていただけますか。

齋藤 そうですね。まず、皆様 にお会いして、「奈良は活性化している!本当に熱い!」と感じましたね(笑)。僕は、奈良の小中学高校に通っていたこともあって、奈良への思い入れは強いんですよ。その場所で、こうした魅力ある首長が次々と誕生していることに感動しましたし、時代に合ったリーダーが選ばれているなと、改めて実感しました。

−−時代に合ったリーダーというと?

齋藤 皆さんいいと思った取り組み、新しいアイデアはどんどん取り入れつつ、現状維持ではなく、前に進もうとしているんですよ。例えば、僕と森田町長、仲川市長はTwitterを通じて、小紫市長はclubhouseを通じてやり取りをしていたり。3人ともたくみにSNSを使って、メッセージを発信していますよね。地域の皆さんとのつながりは大切にしつつも、地域外への発信や交流にも目を向けている。そこに新たなリーダー像を感じましたね。

−−奈良市の仲川市長とは、どんなことを話されたんですか?
齋藤 仲川市長は本当に行動力があり、フットワークの軽い方で、僕が「奈良に行きます!」と伝えると、「じゃあ、会おう」とすぐに時間を取ってくれたんです。35万人もの市民を抱える奈良市の市長がこんなにもスピーディーに動いてくださるのか、とまずはそこに驚きましたね。「こゆ財団」にも興味を持ってくださっていて、財団の活動についてたくさん質問をいただきました。お話の中で印象的だったのは、仲川市長がとにかく奈良市をより良くするためのエネルギーに満ち溢れており、様々な挑戦を楽しんで実行している、という点ですね。規模の大きな自治体ほど、ものごとの決定にも実行にも、覚悟とパワーが必要です。おそらくたくさんの困難や障壁もあって、その中で、ずっと前を向いて進んできた方なんだな、と改めて感じました。

−−「地域創生スタートアップ会議 in 奈良」の会場となった奈良先端科学技術大がある生駒市の小紫市長とのお話はどうでしたか?


齋藤 僕は生駒市の高校に通っていたのですが、小紫市長と知り合うまで、世界的な技術を持つ「奈良先端科学技術大学校」があることも知らなかったんですよ。さらに、今回のお話で、「生駒市が福祉のまち」として有名になっていることを初めて知ったんです。
当時はまったく知らなかったことを、改めて外に出てから知り、さらに、小紫市長が「こんなことにも挑戦したいんだ」と次々に語る姿を見て、本当に面白いなと感じました。高校の卒業生として生駒市を誇りに思います。


−−その「面白み」というのは、どういった点にあるんでしょうか。
齋藤 話し出すと止まらないほどに、今、何が必要なのか、どんな施策を打っていきたいかを常時考えている首長がいるということがまず面白いですし、ワクワクしましたね。しかも、「福祉のまち」として有名になっていることにも表れている通り、地域の皆さんを置き去りにしていないんですよ。高齢者も含めて、全ての世代がどうやって幸せになるかを常に考えている。それは、今回お会いした3名の首長、皆さんから感じました。

−−奈良先端科学技術大での「地域創生スタートアップ会議」ではたくさんの先端技術が発表されましたが、今後はぜひ、地域や企業と連携して発展していってほしいですね。
齋藤 「地域から世界へ」というテーマでしたしね。テクノロジーは重要な手段になります。独創的な発表がたくさんあったので、企業、投資家の皆さんとつながって、日本や世界に注目されるようなプロジェクトが動くといいなと思っています。そういった動きを生み出すためには、3名の皆さんのような首長が育ち、起業家、研究者が育っていく環境が必要なんでしょうね。地域において、スタートアップや起業家人材育成は重要なテーマです。

−−三宅町の森田町長も、スタートアップ企業の育成に力を入れていらっしゃいましたね。


齋藤 森田町長が三宅町に作った複合施設「MiiMo(ミーモ)」がその足掛かりですね。詳しくはTURNS本誌に紹介していますが、MiiMoは学童施設、公民館、子育て支援、コワーキングスペースなどの機能を持っていて、スタートアップをやりたい人と地域の人が交流できる場所にしたいということでした。森田町長は、小さい町ならではの課題を抱えつつも「小さいからこそできること」に目を向けて、地域を前に進ませようとしていました。MiiMoを作って終わりではなく、ハブとして活用される場所にするためにどうするか。「自分たちらしいまちづくりを、自分たちのペースでやっていこう」という信念や、しっかり地に足をつけた上で世界を狙う姿勢はとても勉強になりましたね。


−−3名の市長の方々に、共通していたことはありますか?


齋藤 皆さん、とても楽しそうでした(笑)。これって実は大事なことです。それはワクワク楽しそうに行動しているところにヒト、モノ、お金が集まり経済が動き出すからです。それでいて力強く、スピーディーな判断力を持ったリーダーでしたね。その素晴らしいリーダーを選んだ市民町民も素晴らしいと思います。前に進もうとする首長がいると地域、街が前に進んでいく。今はまだコロナ禍で、スピーディーに思うような施策が打てていないのかもしれませんが、アフターコロナで奈良がさらに成長して、世界に向けてどう動き出すのか。とても楽しみです。ぼくも奈良出身者として応援し続けたいです。

https://turns.jp/62918


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