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《変容の対象》2023年5月第6-7小節目

《変容の対象》2023年5月第6-7小節目を福島諭さんに送った。

いよいよ、というか、遂にalto saxのbuescherの部品が経年劣化の為に折れる。サックスはあまりこういうことを想定しないでいれる楽器だと思う。長い付き合いだが、ほぼそうしたことは起こらない。このブッシャーも1940年代後半から50年代あたりのもので今まで何の問題もなかったけれど、今年になってオクターブキイのバーが折れ、それは自分で修理したのだが今回はそうはいかない部品なので菅体をばらす必要があるから自分では無理だ。おおよそ、二十歳やそこいらの時代には感じなかったことの一つに長い年月愛用した物が突然壊れてその役割を終えるということに「終の気配」をやや切実に、密かに自身の深いどこかをえぐるような感傷とともに感じるようになってくるのは、そういうことなのだ、、、と思う。

それはそうとして、テナーもあればソプラノもあるし、とは言ってはいられないのも事実で、普段なら急いでリペアに出すのだが、何故かそういう気になれない。生徒さん用にyamahaのstudent modelがあってそれはほぼ新しいのを、試しに本気で(本気では一度も吹いたことがなかった)吹いてみたら管体も新しいし、タンポも新しいでbuescherとは吹いた感覚、管体の気密性が明らかに違う。例えばラバーのマウスピースではそういうことはあまり問題にならないが、ハイバッフルのメタルのマウスピース、例えばデュコフのあのリードミスの頻発は、ひとつの要素として管体の機密性のあまい部分のキイの動きとも関係があるのはあまり知られていないところだ。そういうことがほぼこのyamahaでは起こらない。そしてbuescherはキイメカニズムが現代のサックスとは違い操作性は格段に劣る。学生用とはいえ、その操作性の良さにちょっと心を奪われてしまった。

というのがこの数日の出来事。

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