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難聴の人に合う仕事は、何なのか

難聴の人に合う仕事とは、何か?これは、私の中で考え続けているテーマの一つでもある。

私の苦い経験の一つは、仕事だった。高校2年生の頃、遊ぶお金欲しさにアルバイトをするようになるのだが、その際、何も考えていなかったので、飲食店でアルバイトした。

しかし、飲食店は、騒がしいし、多くの人がいて、いろいろな角度から色々言われるしで、後から考えてみたら、とても難聴の人が働けるような環境ではなかった。

そのようなものとは気が付かず、子供の頃の私は、そういった環境で働き、全くうまく働くことができなかった。

この苦い経験は、私に一つの気づきを与えてくれた。自分の場合は、どのような仕事ならできるのかを考える必要がある、と。

難聴の方に合う仕事という幻想

私の良いところの一つは、補聴器のお店をしているので、他の難聴の方の意見や経験も聞けることだ。大抵は、私より年上なので、そのままその内容を学びにすることもできるし、観察して、その内容を学びにすることもできる。

はじめ、自分としては、難聴の方に合う仕事というのものがあるんじゃないか。と考えていた。しかし、多くの方とお話しするうちにそれは、幻想であることに気がついた。

というのも難聴の方といっても、話すのが好きな人、黙々と作業するのが好きな人、自分でどんどん物事を進めていくのが好きな人、逆に人をサポートするのが好きな人、本当に色々だからだ。

よく考えてみれば、難聴の人というのは、一般の人に難聴という要素が加わっただけだ。難聴の人という特殊な存在ではない。

つまり、難聴を切り離せば、それは、一般の人と同じようにいろいろな性格や特性、特徴がある。だから難聴の人という括りで合う仕事というのはあり得ない。それが多くの人とお話しして気づいたことだった。

例えば、耳のことだけを考えてエンジニアのような仕事、職人のような仕事がいい。と仮定しても、そもそも人と会って話をするのが好きな人もいるし、そういった方は、人と一緒にいたり、集団でまとまって何か成す方が力を発揮する。そういった人は難聴の方の中にも結構いたりする。

だから、難聴の人といってもいろいろなので、とても仕事で分類するのは、できない。それが私が辿り着いた結論だった。

仕事についてどう考えるか

では、仕事についてどう考えたら良いのだろうか。ここからが苦難の連続になる。

仕事における考えというのは、本当に多い。本屋に行けば、自分の長所の見つけ方なり、仕事に関する考え方なり、今、この業界がアツい!みたいな本や情報はとても多い。

難聴の人に限らず、仕事は、どんな人でも迷ったり、悩んだり、行き詰まったりするからだ。

ある人は、自分の長所を活かせ、といい、ある人は、他者への貢献、それが仕事の本質だという。

さらにある人は、総合的にみて、その組織の中での足りない部分を自分が見つけ、そこを補う。そのようにできれば、自分がすべき役割が見つかる。といい、またある人は、成功者というのは「自分の能力を効率的にマネタイズしている人」という。

いったいどれが本当なんだろうか。と思うが、恐らく全部本当なんだろう。

ある側面からみれば、それは、長所を活かすこと、となるし、仕事の全体をみれば、それは他者への貢献になる。

例えば、自分の長所を理解し、それを元に他者に成果を提供できれば、それは、他者への貢献になる。だからお客さんに感謝され、仕事が続く。

仕事は、決して自分だけが良くなるのではなく、他者へ貢献できた時、初めて、自分にとってもお客さんにとっても良い状態になる。いわゆるWin-Winというやつだ。

仕事は人と行う。だから、お客さんと会社(お店)との関係は、Win-Winでないと続かない。

さらに組織の中で働く、と考えた場合、同じような能力の持ち主がたくさんいてもしょうがないので、足りない部分を補うことが大事になることもある。

いくら、自分に長所があったとしても、その長所は、その組織、集まりの中での長所になる場合は、長所だが、その長所を上回る能力がある人がいたりすると、それは、長所にはならない。

長所というのは絶対的なもので決まるのではなく相対的に決まる。故に組織で考えた場合、自分の長所が本当に長所になるのか、そして、それは活用できるものなのかを考える必要がある。

時には、自分が言われている長所を捨て、足りないものを補える役割ができた方がうまく回ることもある。長所は状況によっても変化するということだ。

そして、市場という大きな世界では、自分の能力を効率的にマネタイズ(マネタイズとは、お金を稼ぐ方法そのものを指す)している人がまさに大きなお金を手にする。

そういった世界は、自分の長所は何か。その長所を使って、自分は何を提供できるかを考える。ここは私もそうだ。私自身も自分の長所は何か、その長所を使って、何が提供できるのかを日々、考えている。

ここで、色々と自分なりに勉強したり、実践したりする中で一つ、気づいたことがある。それは、原体験やオリジン、それが大事なのではないか。ということだ。

オリジンとは

オリジンとは、オリジナルの語源にもなっている原始や始まりを意味する言葉だ。上記の通り、私は、子供の頃、アルバイトで大きくでこけた事から、自分には、何ができるのか、どのような仕事が向いているのかを考えてきた。

そこで、自分なりにだが、うまくいっている人や優秀な人は、何が違うんだろうか?なぜ優秀なのか?を考えるようにしてきた。そこで思うのは、オリジン、その人の原体験や根本となる欲、原体験といえるものが大きいのではないかと感じた。

例えば、私に関して言うと、私の場合、自分が生まれつきの難聴者でさらに補聴器を使って生活している。

で、実を言うと、過去に私は補聴器のことで3回ほど失敗している。失敗に失敗を重ね、どこに相談したら良くなるのかわからなかった事から、補聴器の業界に入り、自分で自分の聞こえを改善した経緯がある。

で、今、まさに難聴の方の聞こえの改善、生活の改善をしているが、その経験で役に立っているのは、自分で自分の聞こえを改善した経験だ。

というのも、3回も自分で失敗すれば、どこでつまづくのか、どのようなことをするとうまくいかないのか、問題点は、どこにあるのか、どうすれば改善できるのかがわかりやすい。なぜなら、それは自分が通ってきた道だからだ。

特に私は自分が補聴器を使っている経験から、補聴器は、耳につけただけではわからない。と考えている。補聴器を耳につけても音が聞こえるだけで、それがどこまで聞こえが改善されているのか、さらにその状態はいいのかはわからない。

このようなことを言えるのは、そもそもそれで私は失敗したからだ。

だから、お店に来るお客様には、きちんと説明しながら、ちゃんと良くなるようにしている。私の二の舞になるのは、私としても避けたいし、改善状態が良くなれば、よくなるだけ、生活もしやすくなるからだ。

これらは、知識としてあるというよりも自分自身の経験によるものだ。つまり、私のオリジンの一つは、過去3回も補聴器のことで失敗し、そこから自分で自分の状態を改善した経験にある。ということだ。

自分の強みや長所は、外にはない。恐らく中にある。それも今まで経験してきた道の中に。それが自分自身、今、感じていることである。

オリジンを探して

あくまでも今現在の考えだが、私の場合は、自分のオリジンは何か。を探している。それを探し、そこを軸にやっていけると良いのではないか。ということだ。

ここまで読んでいただいてお分かりの通り、この内容を読めば、自分に合う仕事が見つかる。ということはない。むしろ、自分に合う仕事とは何かを探す、膨大な旅の始まりである。

難聴の方に合う仕事は何か。それは私もわからない。ただ、今わかっていることをまとめると、難聴の人というひとくくりで合う仕事は、恐らく、あり得ない。人によって、特性、性格、特徴が違うからだ。

特徴や性格が違うということは、向いているものも向いていないものも違う。だから、この点は自分で探していく必要がある。

ただ、その探すヒントは、オリジンにあるのではないか。と今は考えている。オリジンとは、自分の中にある根源的な欲求、あるいは、その人のアイデンティティのようなもの、それが今の所、私がつかめていることだ。

どのようにしたら、そのオリジンが見つかるのか。これは、わからない。ただ一つ言えるのは、見つけようとしない限り、見つからないということだ。

だから私も今このように色々と書いている。それは、自分の中のオリジンは、なんなのか。それを見つけたいという気持ちがあるからだ。

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