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ククブクの味見

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海外の料理本のことならククブクにお任せ! 優れたデザイン性があり、コンセプトにひとと風土と文化が見える海外の料理本「cookbook」を紹介するマガジン「ククブク」を、noteで…
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2019年2月の記事一覧

Can you see? 動物油脂には魅力がいっぱい

ラードやシュマルツを活用するcookbook今日、2月28日はキリスト教の祝祭日のひとつ「脂の木曜日」。 断食期間である四旬節を前に、今日はごちそうを食べておきましょう(食材を片付けておきましょう)という日で、ポーランドでは油たっぷりのポンチキが食べられたりするんですね。 そこで今日は、2018年11月に発売されたcookbook『The Fat Kitchen: How to Render, Cure & Cook with Lard, Tallow & Poultry

かつてすべての肉類は4本足で歩いていた

狩猟のエキスパートによるジビエ料理のcookbookもうちょっと季節が遅いですが、日本でもだいぶ「ジビエ」が浸透してきましたよね。 昨年5月からは農林水産省による「国産ジビエ認証制度」も始まり、9月には最初の認証施設として、京丹波町にある京丹波自然工房さんが認証されたことが発表されています。 日本では「ジビエ料理」「ジビエ肉」などと呼ばれているこの狩猟肉ですが、アメリカでは「game meat」あるいは単に「game」と呼ばれているんですね。 今日はそんなゲームミートに

オットレンギ、食べるを語る

シドニー・オペラハウスでの対談から最近、またククブクでヨタム・オットレンギを取り上げることが機会が多くなっている気がします。 その理由は「時短」「ベジタリアン/ヴィーガン料理」「パレスチナとイスラエル」という、いまのフードシーンを象徴するいくつものアスペクトを、彼が持ち合わせていることにあるんだと思います。 そんななか、オーストラリアでおこなわれた講演会に彼が登壇した時のようすが、英・ガーディアン紙のウェブ記事に掲載されていましたので、今日はそれを読んでいきたいと思います

ニンニクのパンチで冬をぶっとばせ!!

アホ・ブランコのレシピをキャル・ピーターネルの新作から2017年に20年以上働いていたレストラン「シェ・パニース」を去ることで話題になった、キャル・ピーターネル。 彼が昨年の9月に新刊cookbook『Almonds, Anchovies, and Pancetta: A Vegetarian Cookbook, Kind Of』を出していました。 どんなcookbookか、テイクアウト誌のレシピ記事をもとに見ていきたい思います。 *** 続きはぜひククブクのページで

金曜日のcookbookランキング

#108 テクノロジーの世界の5年は新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。 2月最後のランキングをお伝えします。 先週の日曜日、高知でお世話になった方が「香る薬草展」という展覧会に参加するというので、会場のギャラリーがある代々木上原に行ってきました。 せっかく代々木上原に行くので、ランチはエンボカ東京にしよう! ということで、久しぶりにエンボカの野菜ピザを堪能してきました。 このお店はハーフ&ハーフができるので、1枚目は春菊とレンコ

知っているものは怖くない

国じゃない国の料理に光をあてるcookbook その32月4日付けのワシントン・ポスト紙、フード欄。 パレスチナ料理に光を当てたcookbookを紹介していく記事を、3日間に分けて読んでいます。 2日目の昨日は、2017年に出版されたリーム・カシスの著書『The Palestinian Table』が登場し、ヤスミン・カーンの『Zaitoun: Recipes and Stories from the Palestinian Kitchen』とのコンセプトの違いなどが述べ

「正したい」と「正す必要はない」は両方ないとダメ

国じゃない国の料理に光をあてるcookbook その2正義の話をしようじゃないか! というわけではないんですが、2月4日付けワシントン・ポスト紙に掲載された、パレスチナに光を当てたcookbookの記事を読んでいっています。 昨日のストーリーでは、先日2月5日に発売されたcookbook『Zaitoun: Recipes from the Palestinian Kitchen』と、その著者であるヤスミン・カーンについて、ちょっとだけ頭出しのご紹介をしたんでしたね。 パ

境界線はどうやって引けばいいの?

国じゃない国の料理に光をあてるcookbook その1イスラエル料理。 いま、流行っていますよね。 でもイスラエルって、1948年に建国された国ですよね。 たかだか70年の歴史で、「イスラエル料理」と呼ばれるものが成立しうるんでしょうか? ぼくが好きな作家のひとりに、イスラエル出身のエトガル・ケレットというひとがいます。 5年ほど前、彼の講演を母校に聴きに行ったとき、「イスラエルはフィクションから立ち上がった国」と言っていたのが非常に心に残っています。 フィクショ

王立海軍、ホタテ漁師になる

ロンドンの中央市場のcookbookイギリスの飲食業界誌「ザ・ケイタラー」のウェブサイトに、ククブクで先月初めにご紹介したcookbook『The Borough Market Cookbook』のレビューが掲載されていました。 バラ・マーケットは、東京でいうとかつての築地市場や豊洲市場にあたる、ロンドンの食を支えてきた台所。 そのオープンはエゼルレッド無思慮王(ひどい名前……)が復位した1014年ということですから、いまや1000年以上もの歴史がある市場なんです。 詳

金曜日のcookbookランキング

#107 おうちでロンドンデリ気分新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。 2月第3週のランキングをお伝えします。 ちょっと前のことになりますが、友人と一緒に埼玉県・上尾市にある「キセキ食堂」に行ってきました。 ここは精肉店が経営されている、低温調理による柔らかい豚肉が評判のお店。 テレビドラマ『孤独のグルメ』で取り上げられたことがきっかけで、お昼時には予約をしなければ入店できなくなってしまったお店なんです。 予約方法はちょっと独特

料理を理解することはその国を理解することに通じる

中国料理の必携cookbook4選 その2ウェブマガジン「テイクアウト」に掲載されている、「中国料理の必携cookbook4選」という記事を読んでいます。 昨日は手始めに、「中国料理のジュリア・チャイルド」と名高いアイリーン・インフェイ・ロウのベーシックなcookbook『Mastering the Art of Chinese Cooking』をご紹介ました。 記事を書いたケヴィン・パンも、「まず一冊買うならこれ」と太鼓判を押していましたよね。 今日は残りの3冊をみて

あなたが過去の自分に再会できる料理本は?

中国料理の必携cookbook4選 その1いまこれを書いているのは2月5日で、中国ではちょうど春節の日に当たります。 そして日本でお正月の前後に年越しそばやおせち料理が食べられているように、春節の日の前後には特別な料理が食べられるんだそうです。 大晦日に魚とは意外な……。 これを読んでおいしい中華料理が食べたいなと思っていたら、別のところでこんな記事を見つけたので、今日と明日はこれを読んでいこうと思います。 フード情報サイト「テイクアウト」に掲載された、「中国料理の必

そう遠くない将来、ぼくたちは何を食べているだろう?

イケアのフードラボが今春cookbookを発売おととしの7月に、イケアが料理を作ることができるポスターを限定リリースするということで、ククブクで取り上げたことがありました。 これは料理の手間が省けるというプロモーション的な商品で、まあお遊び的な企画だったと思うのですが、今度はイケアのデザインラボが、もっとシリアスな内容のcookbookをリリースするというニュースが入ってきました。 フード&ワイン誌のウェブサイトに掲載された記事からお届けします。 *** 続きはぜひク

バカをやりながらのヴィーガンでもいいじゃん

伝説のおバカ番組出演者のヴィーガンcookbook新元号が「美願(ヴィーガン)」だったら、今年は「ヴィーガン元年」になるんでしょうかね。 今日もイギリスの飲食業界誌「ザ・ケイタラー」のウェブサイトから、cookbookのレヴュー記事を読んでいきたいと思います。 本日ご紹介するのは、電撃ネットワークのようなイギリスの過激集団のメンバーが、昨年12月に発売したcookbookです! *** 続きはぜひククブクのページでご覧ください!