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純セレブスピーカーで聴く!音源マガジン第9号 2020年2020年10月11日

※この記事は次回予告以外は無料で読めますが、購入、応援の投げ銭は随時歓迎しています。よろしくお願いします。

こんにちは。取材や資料集めのため、1ヶ月ほど発行を空けてしまいました。

今回は当初の予定を変更して、純セレブスピーカー開発者の安冨さんと片岡さんのイベントのレポートです。

安冨歩・片岡祐介(純セレブ騎士団)の「名曲を読み解く!〜ショスタコーヴィチ:交響曲第5番〜」 2020.9.19

先月に大阪府豊中市で開催された日本センチュリー交響楽団の演奏会、それに先立って安冨さん片岡さんのレクチャーコンサートを聴いてきました。
以下のリンクでレクチャー部分の動画が残されています。
ご覧になってIWJにカンパしてください。(ちなみに私はIWJ関係者ではありません)


あと、私が撮った感想動画です。演奏会の感想が先で、あとでレクチャーの感想になっています。


レクチャーのメモ書き(ノートにメモしたものの転載)

ショスタコーヴィチの生きた時代
東側のスターリン政権下のソ連の作曲家ショスタコーヴィチ(1906〜1975)
→複雑、他の音楽の引用多数、意図が不明
一方、同時代の西側のクラシック音楽の作曲家が不在
→1918〜1920年でクラシック音楽は終わる(安冨説)が、ショスタコーヴィチはそれ以降の作曲家である。
安冨歩さんの唱えるクラシック音楽の始まりと終わり
ベートーヴェンの交響曲第5番(いわゆる「運命」)から始まり、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」で終わる。
→ナポレオンの登場による近代の始まりから、第1時世界大戦終戦による近代の終焉に呼応している。

ナポレオンが国民軍を使って戦争に勝てるようになった
←それ以前は兵隊はカネで買われた傭兵が軍隊の中心だった
近代社会は人間をおだてて、やる気にさせて搾取するシステムである。
←特徴として資本主義システムの確立
第1次世界大戦後、音楽は難解になる
・ワルシャワの生き残り(シェーンベルク)
・広島の犠牲者のための哀歌(ペンデレツキ )

シェーンベルクの十二音技法は、機械的に人間の意図とは無関係な音楽を作るシステム
←背景にはナチスによる音楽の政治利用(※ワグナーの音楽など)の反省があり、音楽のエモーションの否定がある

以降、西洋の音楽は恐怖という感情ではなく、恐怖そのものを描くようになる。→いわゆる「現代音楽」へ

※参考:ハーケンクロイツの前でワーグナーを指揮するフルトヴェングラー

戦後、ソ連におけるスターリン「恐怖政治」
社会主義リアリズム「音楽に恐怖を持ち込むな!」
→ソ連のイデオロギーや人々の共感を呼びやすい、労働や人情に訴えかけるような実際的な内容をあらわすものだけが政府公認の芸術となった。
ショスタコーヴィチの交響曲第5番の謎
形式はベートーヴェン5番モデル
→社会主義リアリズムとして、労働者の抑圧から開放というドラマと解釈できる
内容は民族的、ポスト近代の暴力性を体現している
→第3楽章が全曲中のキモであり、演奏順を第4楽章と入れ替えると、その意味が見えてくる。(チャイコフスキーの悲愴を同じ構造であると例にあげる)

東側の演奏としてエフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラードフィルハーモニー交響楽団

西側の演奏として、レナード・バーンスタイン指揮ニューヨークフィルハーモニック
(ちなみにバーンスタインはアメリカ人だがウクライナ系ユダヤ人移民の二世である)


レクチャーの感想

私は中学生の頃にこの曲を聴いてから、ずっと不思議な感覚があった。
緊張感があるのにどこか薄っぺらい第1楽章、人をおちょくっているとしか思えない第2楽章、陰惨さが突出している第3楽章、能天気にもほどがある第4楽章。
これのどこが名曲なのか・・・ソビエト当局がなぜこの曲を認めたのか。ただ第3楽章の「ホンモノ感」が突出していた。
今回のレクチャーを聴き、この曲の私がなぜそんな感じになっていたのか、その意味がわかった。
鼻垂れ中学生でも「なんかヘンな感じの音楽」だとわかるように、ショスタコーヴィチは意図的に作曲していたのだ。そこに彼の作曲家としての凄さがあったのだ。

レクチャーの最後には第3楽章をモティーフに歌人鳥居さんの短歌を重ねた曲を演奏された。鳥居さんの歌集はこちら

鳥居さんのプロフィールはこちら。凄まじい経歴の持ち主である。


この曲により、ショスタコーヴィチの表現する暴力が現代日本の暴力がつながった。
ショスタコーヴィチはこれからも常に解釈されうる音楽として演奏され聞かれるだろうと確信した。

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