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起業家荒西将志が成長した理由

今回は、逆転人生~人生を変える5つの鍵~を共に書いた、荒西将志さんにインタビューしました。なぜインタビューをさせてもらったかと言うと、書籍の中でその半生の概要はつづられているものの、ここはもっと詳しく知りたいなと思った箇所がいくつかあったからです。

そして、私自身の長年のテーマである「試練を乗り越えられる人とそうでない人のルーツの違いは?」を解き明かしたい目的もあります。誰にでも試練はやってきますが、その試練をエンジョイできるか、越えられない壁ととらえるか。それまでの生き方や環境にどんな違いがあるのかを探る、なんらかのヒントになるでしょう。

荒西将志のルーツとは

荒西さんの本を読んで、最も気になったのは「なぜこんなにも自信を持てる人になれるのか」ということです。本書では、主に起業した30歳以降のことがつづられていますが、僕はむしろ30歳になるまでの生き方に興味を持ちました。父親は干渉を避けるタイプで、積極的にバンバン話すような目立ちたがりの性格でした。今の荒西さんと性格は似ていたようです。そんな父親とは対照的に、母親はいわゆる教育ママで、性格的には内向的な方。我が子にも勉強をしっかりさせることを大切にしていて、上場企業への就職も望んでいたようです。荒西さんが「将来、タイガーマスクになりたい」と言えば、母親は「上場企業に入ってからなればいいんやないの?」と言いました。性格的に正反対とも言える両親に育てられた荒西さんですが、深い愛情を受けて育ったという実感があるそうです。対照的だからこそ、バランスが取れていて、良い作用があったと言えるのかも知れません。

また、荒西さんは父親から常々、「無理と言うな」と言われてきたようです。「無理」「できない」という言葉が嫌いな荒西さんは、少年の頃から受けた父親からの影響が強いようです。「まず行動する」「先にゴールを決めて逆算する」という信念も、こういったことがルーツになっているのだと思います。

自分の力で人生を切り拓く

中国に留学した荒西さんを待ち受けていたのは、本当に何もない世界でした。「ないんやったら、自分でなんとかすればいい」と思い、カップ麺のどん兵衛などあらゆるものを売ることで、「人生は自分で切り拓くもの」という原体験を得ます。この時の心境を深堀りしてみると、「限界まできたからこそ開き直った」と振り返ります。何もないのだし、守るものもない。だからこそ前を向いて進む。「不安だからこそ行動する」という言葉は、一般的感覚からすれば逆のように捉えがちですが、逆境をバネにして前向きに歩んできた荒西さんという人物をよく表している言葉だと感じました。

攻守の絶妙なバランス感覚

大手企業に勤めて数年、ある日荒西さんは上司の姿を見た時、この会社で働くことへの熱が一気に冷めたと言います。それからなんと一週間でスパっとやめるスピード感と決断力には驚かされます。怖いという感覚はないのですか?と尋ねたところ、裏側にはあるとのこと。荒西さんは自身のことを「ビビリ」と表現します。それはつまり、何も考えずに突っ込むのではなく、戦略的に緻密に考えている性質でしょう。荒西さんの凄いところは、攻めと守りのバランスがとてもうまく取れていることだと感じました。「大きい失敗がある、それが自分の糧になっている」。その言葉には、体験した人にしか分からない力がこもっていました。

また、「なぜ人は、失敗を恐れてはじめの一歩を踏み出せないのか?」と尋ねたところ、自分を見つめる時間が少ない、と荒西さんは言います。それは時間がないとも言えるし、そもそも自分という人間と向き合えていないのかも知れません。

運を引き寄せる

荒西さんの本を読んでいると、驚くべきタイミングで人から声が掛かったりします。そういう不思議な出来事がが多いのかを尋ねてみると、「実はとても多いんです。先週だけでも2件ありました」という驚くべき回答でした。実際、「逆転人生」を書いた仲間達との会食の場でも、荒西さんが見知らぬ人と話し込んでいる姿がありました。その人も深い仲のキーマンで、たまたま初めて行ったホテルのラウンジに同じ時間にいるという偶然が起こりました。「なぜこんな場所で出会うの?」という奇遇がちょくちょく起こるようです。強い想いと行動力が、不思議な運を引き寄せているのかも知れません。

そして、若い社員の幸せを願う

今後の事業の展望と、将来どんな自分になりたいかを聞きました。まず事業では、インバウンド事業、清掃、障がい者グループホームなどが相互に成り立っている状況を作りたいということ。そして最後に、将来どんな自分になりたいかを尋ねました。「若い子達が自らの力を最大限発揮できるようになって欲しい」。迷いなくその言葉が返ってきました。

事業家としての個人の力と、人を巻き込む人格の高さを兼ね備えた人だな、と改めて感じた日となりました。

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